2017/12/27

表に出る「データ分析」としては、これが今年最後か

今年最後の記事、掲載いただいた。
記事冒頭、改定の基本方針等の比較は、個人的にいつもやっていることなので「こんな見方もあるんだなぁ」くらいに見ていただければと思う。

記事の中身だが、資格職の賃金は、資格を持った人材が他業界との流動性が低いため、景気等の影響を受けにくく、業界内の環境変化の影響を受ける。一方、非資格職は、他業界との人材の流動性が高いため、景気等の影響を受けやすい。それゆえ、麻生財務相が言うように(【安倍政権5年】麻生太郎財務相「確実に5年間でデフレ脱却が進んでいる」 - 産経ニュース)、コンビニや飲食店などの賃金がじわじわと上昇してくれば、相対的に賃金を上げていない業種の競争力は低下する。・・・といったことの部分部分を、データで示した(決して、人材確保の様々な好手・奇策が紹介されているわけではない。その点はどうかご理解を)。

ちなみに昨日の最低賃金の可視化(最低賃金の推移から、大都市圏での病院経営課題を考える)も、この記事の一環として分析したものだ。できれば、医療人材確保の地域性を示したかった。イメージとしては、医療人材の地域性については、2年近く前に、MMオフィス工藤氏のCBnews連載で触れていただいたような分析だった。

看護師離職率は地域の病院数と正の相関 - CBnewsマネジメント 看護師離職率は地域の病院数と正の相関 - CBnewsマネジメント

しかしながら、非資格職に関するデータは資格職ほど充実していないので難しいのかもしれない。

2017/12/26

最低賃金の推移から、大都市圏での病院経営課題を考える

600円以下(赤)から960円以上(緑)まで20円刻みで、2002年度から2016年度までの最低賃金の推移を見た。

最低賃金の推移
出所: 厚生労働省 地域別最低賃金の全国一覧

東京・神奈川などが高騰する一方で、地方はついてきていない。このような結果から、大都市圏と地方で病院経営課題が異なっているはずと言えそうだ。・・・とここまで分析しておいて、2017年度の数値を入れ忘れたことに気づいた。ま、いっか。

2017/12/25

佐久、鴨川、倉敷、宇部、別府 ←共通点は?

タイトルに挙げた5つの市は、雑誌「田舎暮らしの本」の特集「いま注目の移住地ベスト30」に出てきたエリア。

2018年1月号|田舎暮らしの本│宝島社の雑誌 2018年1月号|田舎暮らしの本│宝島社の雑誌

記事では佐久が大々的に取り上げられていたが、「ほかにもまだまだある!」として、鴨川以降の4つのまちが紹介されていた。

例えば、宇部市は「特筆すべきは医療環境で、高度先進医療を担う山口大学医学部附属病院(救命)をはじめ、宇部興産中央病院などがあり病床数も充分」などとコメントされている。

「病床数も充分」。奥深い言葉である。

2017/12/20

病床種類によらず全国的に見られる病床利用率の低下

可視化のサンプル。

厚生労働省 病院報告のデータより。都道府県別・病床種類別(全病床・一般病床・療養病床・精神病床)の病床利用率の推移を見た。

病床利用率に応じた色付けは病床種類の4種類すべて同じにしてある。(例: 病床利用率が80%なら同じオレンジ色に)


全病床


一般病床


療養病床


精神病床


2017/12/13

認知症の評価について

記事を掲載いただいた。まだ、分析としては粗いのだが、メッセージをはっきりさせたつもりなので、主旨はご理解いただけるかと・・・。

看護必要度、認知症の評価アップは病床高回転に水を差す? - CBnewsマネジメント 看護必要度、認知症の評価アップは病床高回転に水を差す? - CBnewsマネジメント

2017/12/12

医療需要シミュレーション(日本全体 市区町村別)

市区町村単位での入院医療需要の推移シミュレーションが一通り終わった。(福島県の浜通りの一部のエリアは試算できなかった)


この地図の基になっているのは、国立社会保障・人口問題研究所の将来人口推計で、医療需要の試算ロジックは独自のもの。受療率と在院日数が変わらない前提でのシミュレーションなので、在院日数短縮圧力がかかれば、もっと需要は減る想定。(逆に、新たな疾患が発生したり、入院で治療できる疾患が生まれたりすれば、需要は増える想定)

地域によって、多少の患者移動はあるにしても、一部例外の地域を除き、急性期の需要減少はほぼ確実。回復期・慢性期も2040年には多くの地域で需要が減る見込み。

地域によっては、雇用とか設備とか様々なものになるべくコストをかけずに、ダウンサイジングしていくことが求められている・・・・という未来がある程度見えているのならば、「今、何をすべきか?」を考える価値があるだろう。

そして、将来人口推計等をデータベース化してくれたスタッフに感謝。

2017/12/11

月刊保険診療に記事を掲載いただきました

月刊保険診療の特集「間違いだらけのデータ&シミュレーション」に記事を掲載いただいた。
月刊保険診療 2017年12月号に記事が

フィードバック方法の間違い、中長期的視点の欠落、の2つのテーマで書いた。届いた雑誌を読んでみたら、異なったテーマで似た題材のものがあったが、書く内容をそこまで細かく指定されていなかったので、お許しを。

医学通信社:雑誌『月刊/保険診療』, 診療点数早見表, DPC点数早見表, 介護報酬早見表, 医師事務作業補助書籍の出版社 医学通信社:雑誌『月刊/保険診療』, 診療点数早見表, DPC点数早見表, 介護報酬早見表, 医師事務作業補助書籍の出版社

2017/11/30

【看護必要度】と【実際の看護配置】と【算定入院料】はリンクしている?

先週金曜の中医協総会で示された急性期入院の新しい評価体系案(下記CBnewsの記事参照)。点数や要件が明確に見えてこないと、なかなか賛否が言いにくいかもしれない。

【中医協】急性期入院の報酬体系を抜本見直し - CBnewsマネジメント 【中医協】急性期入院の報酬体系を抜本見直し - CBnewsマネジメント

そんな中で、日病の相澤会長が会見で述べられていた懸念(下記引用した文の赤字部分)は、真剣に考えないと医療システム崩壊につながると考えている。

日病、急性期入院報酬見直しを条件付き容認 - 医療介護CBnews 日病、急性期入院報酬見直しを条件付き容認 - 医療介護CBnews 
「診療実績に応じて段階を付けるのは当然で、報酬に差があっていいだろうと賛成する意見が多数だったが、今の看護必要度が急性期病院の大変さを表しているのか、現場感覚ではちょっと違って、ずれがあるのではないかを議論すべきではないかということになった」

CBnewsに、この懸念に対して言及した原稿を掲載いただいた。(正確には、原稿を書いたら、上記の記事が出てきた。それゆえ、この記事を引用して、それに言及する形が取れなかった)

看護必要度と看護師配置のずれから見える懸念 - CBnewsマネジメント 看護必要度と看護師配置のずれから見える懸念 - CBnewsマネジメント

具体的な内容は原稿をお読みいただきたいが、【看護必要度】と【実際の看護配置】と【算定入院料】。この3つがリンクしていない可能性について、病床機能報告データから示した。

リンクしていないと何が行けないか?

①看護必要度が高くても、看護配置は手薄にしている病院
②看護必要度が低くても、看護配置は手厚くしている病院

①が、少ない看護師で現場を回せるよう他職種がサポートしたり、システムが充実しているおかげで、高い看護必要度の負担の重い病院であっても看護配置を手薄にできるのであれば問題はない。看護師のスキルの高さや他職種の支援、システム充実が、病院の収入・利益につながると言えよう。

しかし、①が、看護必要度の評価ほど負担はなく、少ない人材で現場を回せるのであれば問題だ。このような病院では、冒頭の評価体系の変更により、一層、利益が増える可能性がある。

②も然り。看護必要度が低くても、現場を回すには看護師が大勢必要で、手厚い配置にしている場合、冒頭の評価体系の変更により、一層、利益が減る可能性がある。

つまり、評価体系を変えるには、前提として「看護必要度の評価は現場の負担を適切に表している」ということが極めて重要なポイントになる。しかし、現状はそれがおかしいのではないか?ということを、CBnewsで述べさせてもらった(一番肝となるデータは、CBnewsの記事の最後に)。


また、12月以降のセミナーでは、この内容について、いくつかのグラフをご覧いただきながら話をさせていただこうと思い、準備している。もしご都合があえば、セミナーもどうぞ(野村ヘルスケア主催のものは、病院関係者でしたら、ご参加いただけると思います→ 野村ヘルスケア・サポート&アドバイザリー

2017/11/29

昨日の続き ~看護配置の機械学習~

看護配置に関する分析の話題(趣味の世界 ~看護配置の機械学習~)の続き。

看護配置を手厚くする要因について、事前予測を列挙した。あわせて、分析した結果から得られた要因についても列挙しておく。

事前予測:

  • 看護必要度(高いほど手厚い)
  • 平均在院日数(短いほど手厚い)
  • 手術件数(多いほど手厚い)
  • 救急医療管理加算(多いほど手厚い)

分析結果:

  • 平均在院日数(短いほど手厚い) ⇒想定どおり、関係あり
  • 病床利用率(低いほど手厚い)
  • 病棟あたり病床数(少ないほど手厚い)
  • 7対1か10対1か(7対1ほど手厚い)
  • 診療科(脳外や循環器内科は手厚い)
  • 看護必要度(高いほど手厚い) ⇒A3点以上は関係性ありか。C1点以上はよく分からない

■看護必要度はノイズか??

在院日数が短いほど看護配置が手厚いのはまだ良いとして、病床利用率が低いほど看護配置が手厚い!? 利用率が下がっても看護師の配置数は速やかに減らすわけではないので、結果的に手厚い配置になっているのかもしれない。

利用率が下がると「手厚い配置」になるという構図。看護配置重視の評価制度は、利用率右肩下がりの時代には問題の多い制度と言えるかもしれない。

机上の空論で好き勝手言っておくと、看護配置に対する看護必要度の影響はノイズと言ってもいいレベル(あくまでも機械学習の的な観点で)。正直、看護必要度の評価自体に疑念を抱く・・・はさすがに言いすぎか。精査が必要だ。

2017/11/27

趣味の世界 ~看護配置の機械学習~

急性期病床の評価体型案が中医協総会で示された。中央社会保険医療協議会総会審議会資料 |厚生労働省
2017年11月24日 中医協総会資料より引用

以前、下記に述べた考えだが、7対1と10対1で、看護配置以外に違いがないのであれば、報酬は同じにすべきでは、といったことが現実味を帯びてきた。

一物二価を解消することで見えてくる質の向上 - 医療、福祉に貢献するために 一物二価を解消することで見えてくる質の向上

質の向上の観点では、看護配置よりも医療の中身にウエイトを置いた方がよい。スタッフのレベル向上がコスト抑制につながり報酬増となるため、効率的な働き方を促すこととなるはずだ。

週末、7対1・10対1の11,000病棟の稼働率、平均在院日数、看護必要度等のデータと、看護師・准看護師数データを突き合わせ、看護師の配置状況について、分析していた。個人的にはかなり興味深い結果が出てきたのだが、絶対的に誤解を産まない説明が難しく、自己満足感が強いデータだ。

重回帰分析とランダムフォレストによる機械学習の結果、看護配置に影響をおよぼすのは、7対1か否か、病床利用率、病棟あたりの病床数、看護必要度(A2点以上かつB3点以上、A3点以上)、平均在院日数、等々。看護必要度のC1点以上や手術件数は微妙な結果だった。手術件数は眼科や皮膚科などの手術も含まれているためと思われる。単純な手術件数より全麻件数の方が影響していた。C1点以上は想定外。もしかしたら、データ精度の問題かも。(データクレンジングしても30万床くらいの規模で分析できているのは、データベースを整備してくれているスタッフのおかげ。感謝!)

今回の分析結果、どこかで発表したいが、マニアック過ぎるか・・・。

2017/11/17

療養2から療養1への移行は難しい

療養病床の入院基本料2は今後の見通しが不透明だ。療養2から療養1に移行しているところがある一方で、移行できていないところも少なくない。

・・・ということを公開データから検証してみた。

高知に見る「療養2から1」への移行のハードル - CBnewsマネジメント 高知に見る「療養2から1」への移行のハードル - CBnewsマネジメント

療養病床の病床数が多い高知県では、療養2の病床も結構あるのだが、療養1へ移行しているのはごく一部であった。

ちょうど、今日の中医協で療養病床の2段階制の廃止について議論されたようで、療養2は経過措置が設けられることに対しポジティブな反応だったようだ。

【中医協】療養病棟基本料、2段階制を廃止へ - 医療介護CBnews 【中医協】療養病棟基本料、2段階制を廃止へ - 医療介護CBnews

療養病床の可視化が進めば、今後、病床数や受療率のような「需要と供給」の議論から、「質・中身」の議論に移行することとなるだろう。


療養病床における患者の疾患、治療内容やリハビリの実施状況、アウトカムが見えてくると、医療機関に対する評価が劇的に変わる可能性がある。

個人的な感覚として、充実した医療提供内容の療養病床と、そうでない療養病床を比較した場合、後者の方が利益率が良いように思う。本来あってはならない報酬体系だ。これは中身・質を軽視していることが原因なのではないだろうか・・・。

2017/11/10

東洋経済の薬局特集、冒頭の写真は・・・

今週の東洋経済は薬局の特集。

記事冒頭の調剤薬局が並ぶ絵(下の写真参照)や、伸び具合などなど、弊社のレポート(http://www.meditur.jp/reports/mediturInsight_vol_2.pdf)と類似している点があって興味深かった。

以前弊社レポートに掲載した広尾の日赤医療センター前の光景
「一般人」には不思議な光景であるがゆえ、東洋経済にも似た写真が載せられたのだろう
4年半前に書いたレポートにもはや新鮮さはないが、当時抱いていた課題感などは変わっていないということだろう。

当時も書いたが、薬局の課題は、利便性等の観点で一般人の感覚とずれてしまっていること。そして、現場で一生懸命、医療の質の向上に努めている人がいるのに、それらの人たちが報われない制度にどんどん向かってしまっていること。この2点である。

よろしければ、以前のブログ記事や、弊社レポートもどうぞ。

関西医大の話題
院外処方から院内調剤へ 街の光景はどうなったか(前半)
院外処方から院内調剤へ 街の光景はどうなったか(後半)

それ以外の話題
医薬同業への転換には「アウトカム重視」が不可欠 
門前薬局は不便だから門内薬局!? それでいいのか?? 
「とりあえず買収だ」が戦略として成り立つ調剤薬局 

 

2017/11/09

適切な評価に必要な「患者像の把握」

先日、野村證券から、これまでのデータ分析内容等を中心に改定向けの議論をまとめたものをレポートとして発行いただいた。次期改定にどこまで反映されるか分からないが、大きな国の方向性を考えたり、中医協の議論の「ずれ」を考える上で参考にいただけたらと思う。

ここでいう「ずれ」とは、例えば、改定までの時間が限られている中で、看護必要度の議論が、DPCデータでの評価・置き換えの妥当性等に費やされていて、患者像に迫る内容の見直し議論があまりされていないことを指している。2025年に向け、適切な医療提供体制を整え、かつ、現場の負担・患者に提供する医療の質に応じ、適切な報酬を設定するという意味では、置き換えの議論は昨年から下準備できていたはずであり(置き換え余地についてはだいぶ前にCBnewsで記事を書いたくらいなので)、このタイミングで委員の貴重な時間を使っていいものか疑問である。ICUの議論のように、患者像に迫り、追加で必要な評価項目がないか議論していかないと、改定に間に合わないように思う。今日の入院医療等の分科会で議論されるのかもしれないが・・・。

レポートのご希望は野村證券のお近くの支店まで。




2017/11/07

用語が面白い

MMオフィス工藤氏の書籍、日経ヘルスケアの巻頭コラムを再編集されたと聞いているが、読み直していると、あらためて面白いところに気がつく。

2018年同時改定から2025年へ“攻める”診療報酬−戦略と選択 2018年同時改定から2025年へ“攻める”診療報酬−戦略と選択
例えば、これ。
工藤氏のP.146はディスカッションの題材に最適では
医療生態系、ガラパゴス等々、言葉の選択が興味深い(ギャグのセンスはそうそう追いつけないだけでなく、こういった文章力や用語選択のセンスは、どうひっくり返っても一生追いつけない)。言葉の選択から、生態系を維持することのメリット・デメリットは他分野の事例も参考になるかもしれないことを考えさせられる。

この146ページのケースは、ディスカッションには持って来いの事例かもしれない。5~6人でのグループディスカッションであれば、役割分担をしても面白い。公立病院の院長、自治体の首長、周辺病院の院長、患者、などなど。正解はない。立場が変われば意見が変わることを理解することも大事である。

2017/11/02

年93億円らしいヒルドイド

ヒルドイドの話題が盛り上がっている。



確か6年くらい前に、生活習慣病の分析のついでで、医療制度の問題を議論するためにヒルドイドと乳幼児医療費助成制度の分析をしたことがあった。そのような経緯で、気になっている薬剤として、1年前にもオープンデータでジェネリックの処方状況を分析していた。

オープンデータは新たな議論のきっかけとなる - 医療、福祉に貢献するために オープンデータは新たな議論のきっかけとなる 

オープンデータは新たな議論のきっかけとなる(続き) - 医療、福祉に貢献するために オープンデータは新たな議論のきっかけとなる(続き)

上記の記事では、ヒルドイド(ヘパリン類似物質)に加え、セフカペンピボキシル塩酸塩(フロモックス等)の分析もしている。その理由は上述の6年前の分析になるのだが、下記の本を読んで、非常に勉強になった。この本を当時、まだ6月だというのに、2016年の個人的大賞に決定してしまったが、その評価は変わらないくらい良い本だった。

Low Value Careを減らす方法、High Value Careを増やす方法を考えさせられる本(2016年 個人的読んだ本大賞に決定!) - 医療、福祉に貢献するために Low Value Careを減らす方法、High Value Careを増やす方法を考えさせられる本(2016年 個人的読んだ本大賞に決定!)

社会保障費の財源が厳しく、改定に向けた議論が本格化するタイミングを狙ってのマスコミの報道か、などと言われている。しかし、限られた財源で、価値あるところに適切な評価をするためには、価値のないところの評価を厳しくするのは当然である。ただ、制度を変えるときに不利益が生じる患者や医療者への配慮も必要である。

2017/11/01

スーパー10対1の病院像に迫ってみた

以前CBnewsに掲載いただいた記事(同じ看護必要度でも7対1と10対1では患者像は異なる - CBnewsマネジメント)の分析内容を大幅にアップデートし、評価すべき病院像について、より具体的に示してみた。

看護必要度高い「スーパー10対1」などを評価すべき - CBnewsマネジメント 看護必要度高い「スーパー10対1」などを評価すべき - CBnewsマネジメント

看護必要度の該当患者割合だけを見て「スーパー10対1」と呼ぶ場合、それらの病院には大きく2パターンあること、そして、そのパターンの分布には大都市圏とそれ以外の地域の違いがあることを示せたつもりだ。その結果として、看護必要度の加算に対する示唆が得られたことを述べた。

なお、今回の記事は、16都道府県のデータを収集・整理してくれたスタッフのおかげだ。

余談だが、病床機能報告のデータは、国がまとめて開示してくれればいいのに(個人的な希望として、データクレンジングをして欲しいという意味が強い)と思う。データは財産・資源であるが、活かさなければ、荷物でしかない。
いっそのこと、活かしやすい形に集計・加工したものを配ってしまおうかと考えてもみたが、クレンジングなど独断で手を入れてしまっているので、公のデータとしては微妙であり、データがひとり歩きしてしまうことは避けたい・・・。難しい。

2017/10/29

習熟を要するロボット支援手術に対する評価は厳しい

ロボット支援手術と通常の腹腔鏡下手術で、コストやアウトカムなどを比較したJAMAの論文。

1つ目が腎切除術。2つ目が直腸がん切除術。

Outcomes and Costs of Robotic-Assisted vs Laparoscopic Radical Nephrectomy | Minimally Invasive Surgery | JAMA | The JAMA Network Outcomes and Costs of Robotic-Assisted vs Laparoscopic Radical Nephrectomy | Minimally Invasive Surgery | JAMA | The JAMA Network
腎切除術のケースでは、徐々にロボット支援手術が増えてきているものの、合併症等はあまり変わらず、コストや手術時間はロボット支援手術の方が悪いと言っている。

Robotic-Assisted vs Conventional Laparoscopic Surgery for Rectal Cancer | Colorectal Cancer | JAMA | The JAMA Network Robotic-Assisted vs Conventional Laparoscopic Surgery for Rectal Cancer | Colorectal Cancer | JAMA | The JAMA Network

また、直腸がんのケースでは、ロボット支援手術は術者の経験の影響が大きいことや、ロボット支援手術が従来の腹腔鏡下手術と比べアドバンテージはないと言っている。

これらの論文については、下記ニュースでもまとめられている。


このような論文は、黎明期ゆえの課題なのか、一般化が進んでも生じる課題なのか、判断は難しいが、患者・病院にとってメリットがなければ、ロボット支援手術に高い点数をつけることの合理性は乏しいと言わざるをえないだろう。次の改定で一気に厳しくなることは望ましくないが。難しい問題である。

2017/10/24

「マクロな数値は気にせず努力を」と言いつつも、やはり気になる

鈴木医務技監、診療報酬大幅マイナスの可能性に言及 - 医療介護CBnews

この牽制の具体的な内容が日経に。

診療報酬下げ、2%台半ば 財務省案   :日本経済新聞
保育所2万人分整備 財務省、来年度にも補助金転用  :日本経済新聞

診療報酬下げたら、労働環境、悪化しかねないだけに、このタイミングで、この記事が出てくるのも興味深い。
病院などの労働時間違反率、全業種と比べ「高い」 - 医療介護CBnews

今週は介護もデータが出てくる。
衆院選:介護経営実態調査、公表を自粛 厚労省「選挙に配慮」 事業者からの反発恐れ - 毎日新聞
10/26 第24回社会保障審議会介護給付費分科会介護事業経営調査委員会の開催について |厚生労働省
10/27 第148回社会保障審議会介護給付費分科会の開催について |厚生労働省

さらに中医協総会もあるし、DPC評価分科会もある。

改定率に代表されるような大きな数値・指標に一喜一憂しても仕方ない、経営にインパクトがあるのは個別改定項目の内容だ、と常々言っているものの、正直、改定率は気になる。

2017/10/23

病院敷地内に○○○

「病院敷地内」で昨今の話題といえば、調剤薬局のことばかりなのだが、来年1月に獨協医科大学病院にホテルが開業する。

ホスピタルイン 公式ホームページ|トップ ホスピタルイン 公式ホームページ|トップ
病院敷地内のホテルは初めてらしい(1年前の新聞記事参照→ 病院敷地内初、来年12月開業 東横イン「ホスピタルイン獨協医科大学」|下野新聞「SOON」

以前、集約化にはホテルが必要と書いた。あれからもう4年経っていた。時が経つのは早い。

病院機能の集約化に必要な「新たな機能」 - 医療、福祉に貢献するために 病院機能の集約化に必要な「新たな機能」

2017/10/21

整形外科病棟の看護必要度は必ず低いとは言えない

整形外科病棟の看護必要度と在院日数の関係について、7対1の143病院で評価してみた。(疾患構成を無視するため、Nをある程度増やしている)

病床機能報告(2016年度、13都道府県のデータ)による
7対1入院料を算定している整形外科病棟の看護必要度分布

平均在院日数が20日を超えると看護必要度が20%未満の施設(黄・オレンジ色)が増える。
15日未満だと看護必要度が25%以上の施設(青・水色)が増える。

整形外科病棟だからといって、看護必要度の足を引っ張るのではない。高回転化できれば、病院全体の看護必要度向上に貢献する。逆に言えば、高回転化しなければ厳しい。

次期改定がどうなるのか定かではない。ただ、いかなる改定であっても、高回転化を意識せざるを得ないだろう。看護必要度の分析結果から見えてくるのは、整形系の疾患は、特に高回転化を意識する必要性がありそうだ、ということである。

2017/10/19

ビジュアライゼーションの続き

さきほどの分析画面で、右画面で160800xx01xxxxのコードを選択した例を示す。

160800xx01xxxx 大腿骨頸部骨折 01手術ありを選択した場合の画面
(クリックすると拡大します)

左上の大学名が示されている青緑色のバブル画面において、左上から右下に直線的に大学が並んでいることが分かる。転院率が高いほど在院日数が短く、転院率が低いほど在院日数が長くなっていることを示している。

大腿骨頸部骨折の術後、転院させるか否かは、大学病院によって大きなばらつきがある。当然といえば当然だが、可視化してみると興味深い。

※病院情報の公表、2016年度実績を用いて分析している。そのため、各病院の掲載データの信頼性等に不安があり、当分析は参考であることをご理解いただきたい
診療科名がおかしい(漢字ミス??)、データがおかしい(平均在院日数が1000日を超えている??)、「ファイルダウンロード」のボタンを押してもダウンロードできない(頻発!!!!)、などなど、不安要素がいっぱい

データビジュアライゼーションのサンプル

病院情報の公表データを用いた分析事例。
大学病院本院のデータを使って効率性の可視化を行ってみた(横軸は在院日数の短さ。左ほど短く、右ほど長い。縦軸は転院率)。まだ基になっているデータ(診療科ごとのDPCコード上位5疾患)の精査が出来ていないので、あくまでも参考データ。

左上のグラフの大学病院のバブルをクリックすると、連動して、左下に診断群分類別の詳細データ、右にDPCコード別のデータが示されるはず。

右のDPCコード別のデータをクリックすれば、そのコードの大学別のデータが左上に表示されているはず・・・。

Power BIの使い方がよく分かってないので、おかしなものが表示されてもお許しを。



2017/10/15

急性期病院の稼働率が低下する訳

日本全体をマクロに捉えた場合、急性期病院の稼働率が低下している理由にはいくつかある。そのひとつが「低侵襲化」であると考えている。

例えば、胃がんの手術症例(外科的手術と内科的手術をあわせて見ている)の平均在院日数は、DPC算定病院においては、18日程度(2012年度)だったものが、16日(2015年度)と年々短縮している(グラフ1 参照)。

グラフ1 胃がん平均在院日数推移

在院日数の短縮には、次の2つの理由がある。

① 同じ術式での在院日数の短縮
② 在院日数の短い術式の選択増加

この2つについて、それぞれデータ分析結果を示しながら考えてみよう。

① 同じ術式での在院日数の短縮

DPCコードに従って、開腹、腹腔鏡、試験開腹の外科手術3つと内視鏡手術の計4つについて、それぞれの平均在院日数の推移を見ると、2012年度からどの術式も在院日数が短縮している(グラフ2)。
グラフ2 胃がん術式別在院日数増減比

このような術式別に見た場合の在院日数短縮は、DPCの階段状の逓減性の点数設定や、効率性係数への影響、看護必要度の厳格化等によるプレッシャーによるものと考えられる。また、医療機関個別では、術前検査の外来化や、術後の早期退院などの取り組みがなされたものと思われる。

② 在院日数の短い術式の選択増加

術式別に平均在院日数を見ると、開腹24日、腹腔鏡17日と1週間の開きがある。また、内視鏡手術は9日台と、腹腔鏡よりさらに1週間短い(グラフ3)。

グラフ3 術式ごとの平均在院日数(2015年度)
2012年度~15年度までの術式別の症例数推移を見ると、年々内視鏡手術の患者が増え、外科的手術の選択が減っている(グラフ4)。
グラフ4 胃がんの術式別症例数比率推移

このように、内科的手術のような在院日数の短い術式の選択割合が高くなれば、全体の平均在院日数は短くなる。また、外科的手術においては、開腹・腹腔鏡で1週間の在院日数の違いがある。開腹手術は減る一方で、腹腔鏡手術の比率は高まっている(グラフ5)

グラフ5 胃がん 開腹・腹腔鏡の選択比率推移
グラフ4、5は比率で見たが、症例数で見ても、内視鏡手術や腹腔鏡手術は増加し、開腹手術は減少していることが分かる(グラフ6)。

グラフ6 胃がん 術式別症例数推移

このような2つの理由から、在院日数が減少すれば、結果として稼働率の低下は避けられない。医療技術の進歩は、よりよい医療を受けることができ喜ばしい。ただし、マクロで見れば、病院経営を不安定にさせる要素もあると言えるかもしれない。難しい問題である。

2017/10/14

7対1は減らない(後半)

「7対1を減らす」ことを目的とするのではなく、現場の負担と努力に応じた報酬を設定し、「アウトカムを達成するために必要な看護配置を行う」ことを目指すべきである。

近未来的な夢物語を言えば、ある医療機関がモニター類の革新的な高度化を図り、現場の負担を大幅に軽減し、少ない人手で医療安全・医療の質の向上を実現したとする。しかしながら、現行の評価制度が続くならば、看護師の数を減らすと収入が減ってしまう。質の向上を実現していたとしても、である。

このような「アウトカム」よりも「配置」に重視を置いた評価制度は、革新的な技術導入に対する意欲を低下させるだけでなく、近年極めて煩雑さを増す各種記録の義務付けに対し、看護配置の多い病院がそれを受け入れている原因にもなっていると思う。(アウトカムの達成に必要なのは記録でないが、記録に必要なのは余裕のある配置だから)

より良い医療を受けるためには(より良い医療提供を促すためには)、配置よりもアウトカムに重きを置くべきである。

 昨日からの話の続きになるが、現実的には、看護必要度の評価についてA項目とC項目により重きを置き、徐々に7対1と10対1をシームレスにしていくのが良いと思っている。シームレスにする方法の例として、次の2つを挙げる。

 ①看護配置に重きを置かない「短期滞在手術等基本料3」の対象拡大

7対1でも10対1でも、診ている疾患・治療が同じであれば、診療報酬は同じにすべきである。参考になるのは短期滞在手術等基本料3だ。これは定められたいくつかの手術を行い5日以内の入院であれば、どの看護配置の病棟で入院しても、同じ診療報酬になる制度だ。つまり看護配置はまったく関係ない。つまり、このような疾患・治療を拡大していけば、実質的に看護配置の重みは薄れていくことになる。

 ②看護必要度の評価を反映したDPC点数の設定

DPC制度では、医療資源投入内容に応じて階段状の点数が設定されている。現在、Hファイルとして看護必要度の情報を収集していることを踏まえれば、各疾患・治療に応じた看護必要度の情報が得られているはずである。この看護必要度の情報に基づき、階段状の点数を上下させてみてはどうだろうか。「7対1だから係数で10%上乗せ」ではなく、「○○の疾患は看護必要度の評価が高いから点数にXX%上乗せ」というようなことになれば、看護配置は関係なくなる。

このような疾患を徐々に拡大してくことで、看護配置の重みは薄れていくことになる。この2つの案のように看護配置に重きを置かない評価制度に移行するのであれば、粗診粗療を避ける仕組みが重要になる。再入院などの評価や、医療安全に対する評価などを充実させることが不可欠だろう。患者が求めていることは、他病院よりも看護師が多いことではなく、他病院よりも良い医療が受けられることである。これは現状看護師の教育等が充実している病院を評価することにも通じると考えている。現状は「配置」に極めて重きを置いているが、医療安全等の対策はかなり実力差があると思っている。このようなことを評価しなければ、患者がより良い医療を受けることはできない。

『「7対1を減らすこと」が診療報酬の適正化につながり、国民がよい医療を受けられる』というロジックは一見正しいことのように思う。しかし、7対1が減らない以上、別のロジックを考える必要がある。それにはアウトカムを重視した報酬制度に徐々に移行していくことで、医療機関がさらなる質の向上を意識し看護の充実(≠看護配置の充実)を図ることになるだろう。結果的にIoT等の技術的な革新を活かすことにもつながるはずである。

2017/10/13

7対1は減らない(前半)

興味深いレポート。
7対1病床が10対1からの転換などで増加 - CBnewsマネジメント 7対1病床が10対1からの転換などで増加 - CBnewsマネジメント

以下、私見。
7対1が減らない3つの理由

①就労環境が良好
②医療安全等も含めた医療の質で有利
③7対1を死守するのは経営的に必然

これらの理由で、急性期病院はみな7対1を目指す。そして、目指すことは悪いことではなく、前向きな評価されるべき経営努力である。

にもかかわらず、7対1を減らしたがっている(少なくともそう感じる改定が繰り返されている)のは、行政側が現場を理解できていない(or 病院団体がうまくかわしている)と思ってしまう。7対1が減らない3つの理由について、少し細かく考えてみたい。

①就労環境が良好

7対1の要件は、平均在院日数(疾患構成に強く依存しているものの、クリアすることは比較的容易)や看護必要度(これも疾患構成に依存。現状は高齢者の比率が高いほどクリアが容易)などである。7対1も10対1もこれらの要件の状況は似ている(10対1でも在院日数が短い病院は珍しくない)。これらをクリアしているのであれば、10対1よりも7対1のように、看護配置を手厚くした方が、現場が円滑に回る。

円滑に回るということは、就労環境として相対的に良好であり、看護師確保に有利となる。看護師確保が難しい地域では、10対1よりも7対1を目指す(周辺病院が7対1ならなおのこと)。

②医療安全等も含めた医療の質で有利

看護師確保に有利であれば、相対的に優秀な人が集まりやすい。医療の質向上にも貢献する。また、そもそも看護配置が手厚い時点で、医療安全等において有利である。

③7対1を死守するのは経営的に必然

7対1と10対1で比較した場合、7対1にしたら病院経営が圧倒的に改善するわけではない。しかし、7対1の配置に近い看護師を確保している病院であれば、7対1を算定できるようになれば収入は激増する。否が応でも7対1を死守する(病院の経営改善の努力をするのは、働き手に相応の賃金を払い、医療機器等の維持・充実を図るために、当然のこと。稼ぐことは悪でなく、稼ぐことは医療の質向上にプラス)。


以上3つの理由を述べたが、看護必要度のような「看護配置」の必然性に対し評価をもたらすであろう指標が、現状は不適切であるがゆえに、これらの3つの理由から、みな7対1を目指し維持するのだ。

適切な診療報酬を設定するためには不適切な看護必要度の指標をどう変えればよいか。 ※ 看護協会を中心とした長年の研究に基づく看護必要度の評価自体は重要であり、否定しない。診療報酬や病床機能分化の誘導に使おうとすることには限界がある

「看護配置に関係なくアウトカムで評価していくこと」が究極的なところにあるとするならば、看護配置を定めるための看護必要度は不要であるといえる。ただ、あくまでも極論である。現実的には、A項目とC項目により重きを置いた評価をし、徐々に7対1と10対1をシームレスにしていくのが良いと思っている。

シームレスにしていく具体的な方法については、明日、述べたい。

2017/10/12

アウトカムとファクターの対比

コンテンツもビジュアル的にも興味深いウェブサイト。

County Health Rankings & Roadmaps County Health Rankings & Roadmaps

アメリカの各州について、郡ごとの健康に関するアウトカムとファクターのランキングをしている。アウトカムとファクター、それぞれのランキングについて、地図を2つ横並びで表示しているおかげで、各エリアの特徴が分かる見せ方は非常に興味深い。
ランキングについては是非があるかもしれないが、そのランキングシステムについても詳細な説明がされている。


2017/10/11

集約化に必要な情報の非対称性解消

ダヴィンチのようなロボット支援手術システム等の最新技術導入が、病院間の患者確保競争や施設集約化にどのような影響を及ぼすかをテーマにしたLancetの論文。

Effect of patient choice and hospital competition on service configuration and technology adoption within cancer surgery: a national, population-based study - The Lancet Oncology Effect of patient choice and hospital competition on service configuration and technology adoption within cancer surgery: a national, population-based study - The Lancet Oncology

がん診療の質向上に施設の集約化を図ろうとしても、ロボット支援手術の導入のように、病院の努力によって、患者はそちらを選択してしまい、意図していない病院間の患者確保競争が生じてしまっていることや、患者が病院を選ぶクオリティ・アウトカムの明確な違いが示されていないことなど、非常に興味深い。

集約化を進めるには、地域医療構想のような大きなビジョンだけでなく、医療の質の透明性確保も重要であると感じた。

2017/10/10

nudge に関心が集まるか

ノーベル賞に詳しいわけでも、極めて強い関心を持っているわけでもないが、今年の経済学賞は、Richard H. Thaler教授とのこと。

ノーベル経済学賞、セイラー教授の受賞理由 | 市場観測 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準 ノーベル経済学賞、セイラー教授の受賞理由 | 市場観測 | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準

2年ほど前に、著作を読んでいる。

CVSのタバコ販売打ち切りのその後。ジャンクフードはどうなる?? - 医療、福祉に貢献するために CVSのタバコ販売打ち切りのその後。ジャンクフードはどうなる?? - 医療、福祉に貢献するために

行動を変えるのは難しい。正しい知識があっても、である。

2017/10/08

組織の力

昨日は飯塚病院のTQM発表大会に。

TQM発表大会のご案内|TQM活動|飯塚病院 TQM発表大会のご案内|TQM活動|飯塚病院

何年か前にMMオフィスの工藤氏と一緒に参加させていただいたのをきっかけに、それ以降、毎年、聞きに行っている(特別な立場でなければ参加できないイベントではなく、誰でも申し込めば参加できる。自分も普通に申し込みして参加)。

毎回新しい発見があり、刺激をもらっている。参加の回を重ねてくると、他病院では一朝一夕で真似できないところが具体的に分かってくる。また、時代のニーズにあわせて、進化させている内容も興味深い。そして、参加する度に確信を強めていることは、個々人の能力の積み重ねでパフォーマンスを発揮するだけでなく、「組織力」をいかに高めパフォーマンスを発揮するかということに努力できるかが重要ということだ。

「チーム医療」とて、特定の個人や才能に依存していれば、それを失った瞬間に機能しなくなる。強い組織は、そうなっていない。システムとして機能できるように考えている。今年は歯止め(フォローアップ)の報告を聞きながら、100年続く組織だからこそ「組織力」がしっかりと根づいているのだな、と感じ、また、最後の講評などを聞きながら、100年続く組織のトップは未来に向けたビジョンを掲げ、力強いメッセージを発するのだな、と感じた。

2017/10/07

地域包括ケアシステム・地域医療構想での救急医療体制の議論

先週の岡山での話題でブログに書いた救急の件(波平54歳、大人気)、日経メディカルのウェブサイトのコラムで8月に読んでいた(どおりで、自分の中で課題感が明確だったわけだ)。

地域包括ケアシステムに抜け落ちた救急医療:日経メディカル 地域包括ケアシステムに抜け落ちた救急医療:日経メディカル

こんな時間でも救急車の音が鳴り止まない地域の基幹病院の前で、このことをふと思い出した。

先週の岡山県地域包括ケアシステム学会のシンポジウムの中で、
具体例として挙げられていた福岡県飯塚市のサンメディラック飯塚
(昨年の秋、前を通ったときに撮った写真)

サンメディラッック飯塚の2階に夜間急患センターが入っている