2014/02/28

生七味、最高! ~栄養成分表示ラベルを考える~

食欲の”春”が近づいてきた。冬眠明けは食べねばならない。・・・と意味不明な言い訳をしたところで暴飲暴食が許されるものではないので、いっそ開き直って、うまいものにありつける幸せを共有したい。

最近もっぱらハマっているのが、この生七味。

生七味|久原本家|茅乃舎・椒房庵総合通販サイト

作っている茅乃舎は福岡県久山町にあるらしい。久山町スタディで有名な久山町だ。この生七味、衝撃的だった。少しお高いなぁ・・・と思ったものの、長持ちするので、食べれば分かるコストパフォーマンスの良さである。

食欲が過ぎるのは良くないと思ってはいるものの、自分の心にあるはずのブレーキが故障気味なので、あとは栄養学的にブレーキを働かせるくらいしか無いだろうか。

昨日のNYtimesに、FDAが栄養成分表示ラベルをより現実的なものに変えさせる、という記事があった。新デザインは、単に栄養成分を表示するだけでなく、食べるときに砂糖をかけるなど、実際の食事内容に則した表記を促している。

New F.D.A. Nutrition Labels Would Make ‘Serving Sizes’ Reflect Actual Servings - NYTimes.com
アメリカ人は、毎日追加でかける砂糖により300キロカロリーくらい摂取しているらしい。トランス脂肪酸を表記させることで劇的に使用量が減ったように、砂糖にも意識を向けさせたい思惑があるようだ。正直、ラベルの見方なんて、しっかり学校で習ったように記憶していない(今は家庭科あたりでしっかり習うのだろうか)。読み手のレベルは様々であることを想定し、どう受け取られても、大きな不利益が生じないようなラベルにしなければならない。ラベルにかぎらず、様々なヘルスリテラシーの人がいる前提で社会のあり方を考える。これが大事だ。

2014/02/25

インド人の料理人がいる店で食べたいカレー

インド人が腕を奮っているカレー屋で、出てきたカレーがいかにも日本人好みの味だったりすると、ちょっとがっかりする。期待しているのは、スパイシーな、現地の味を容赦なく再現したものだったりする。これは中華も同じ。日本語片言の中国人が、大衆食堂の中華丼のようなものを出してきたら、悲しくなってしまう。汗をだらだらかきながら、ここが日本であることを忘れさせるくらいの料理を食べたい(あまり辛くない中華もあるので、汗は必須でない)。

期待と現実にはギャップがある。期待するからこそギャップを感じる、とも言える。

でもインド人は、たまたま来た客が何を期待しているか分からない。もしかしたら、スパイシーなものは苦手な人かもしれないし、スパイシーなものが食べたくてわざわざ来た人かもしれないし。中華料理も一緒で、本格中華を欲しているのか、大衆食堂中華を欲しているのか、即座に理解するのは至難の業だろう。

これは医療とて同じである。骨折で医者に行き、レントゲンも撮らず、痛み止めも出さず、ただ放置されるような事態は単なるヤブ医者だとしても、その場で即手術すべきか、3日後にすべきか、状況によって異なる。もし骨折した部位が利き手ではない方の手の指で、かつ患者がたまたま翌日に入試を控えていたらどうだろうか。手術し入院させるよりも、ギプスで固定し痛み止めで対処し、入試が終わってから手術をする、といった選択もあり得る。医学的にあるべき最善策と、患者が望んでいる最善策は、いかなる時も一致するわけではない。

こういったミスマッチは、コミュニケーションで埋めるしかないと思っていたが、医療者側も埋める努力をしているようだ。日経メディカル1月号に「高齢者にやさしい 薬・検査・ロボット」という特集が組まれている。その記事のひとつに、高齢者医療の優先順位を医療の受け手側と医師で比較したものが載っていた。

日経メディカル 2014年1月号

患者は病気の効果的治療を期待しているのに、医師はQOLの改善を期待しているという見事なミスマッチを示していて、非常に興味深かった。欲を言えば、患者家族の優先順位も併せて評価していて欲しかった(元の論文(http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23415841)を読まず、日経メディカルの記事だけで判断し申し訳ないが)。

こういったミスマッチを把握することは非常に大事なことだと思う。「インド人がやっている店だから、客はみなスパイシーなものが食べたいに違いない」ということは95%正解だが、5%くらいハズレがあるかもしれない。物事に絶対はない。5%のハズレがあると思いながら、医療もコミュニケーションを大事にしたら、もっと良い医療になるだろう。これは患者も然りだ。「辛さ控えめで」と言うのと同じように、医者にもっと自分のことを話さなければならない。(でも話しすぎは禁物で、その匙加減が難しいかも)

2014/02/24

機能評価係数Ⅱ 後発医薬品の係数は想像以上に大きく付いた

以前、こんなブログを書いた。後発医薬品の使用インセンティブとして、機能評価係数Ⅱに盛り込んだところで、大した値しかつかないのであれば、薬価差益を上回るような魅力あるインセンティブにはならないだろうと。そして、数量ベース・・・という話になってから、PPIなど内服薬の切り替えで稼げると俄然やる気になっている医療機関があることもお伝えしてきた。
そして、先日、厚生労働省から各医療機関に26年度の医療機関別係数が伝えられた(はずだ)。その後発医薬品係数、なんと平均で0.00802、最大0.0160くらい付いている。この平均で0.00802という点数、DPC病院Ⅲ群では、どの係数よりも高い点数が付いている。効率性よりも複雑性よりも救急よりも、まさかまさかの後発医薬品だ。

効率性は非常に重要だから、まさか後発医薬品の係数をそれより大きくするようなことはないよなぁ・・・、救急の係数はそもそも補填の意味合いだから、さすがに後発医薬品の係数が大きくなるようなことはないよなぁ・・・、なんて考えていたのがバカらしい。ここまで係数がつくと、26年度(目先9月まで)内服薬ジェネリック切り替え大旋風が巻き起こるのではないだろうか。

そんなこんなで、26年度の機能評価係数Ⅱを前年度、前前年度と比較する場合には、①そもそも調整係数との置き換え率が25%から50%にアップしていること、②保険診療係数がデータ提出係数よりも高く付いていること、③後発医薬品係数がかなり高く付いていること、これら3つを踏まえた上で比較することが大事だ。係数が増えた・減っただけで判断するのは早計だろう。

(追記)各係数7項目間の重み付けは、報酬額が均等となるようにしてあるとのこと。(http://www.prrism.com/dpc/H26naijiFAQ_20140221.pdf 問5参照) これは改定の資料でも明記されている。現行のデータ提出係数みたいな係数が付くのでは・・・と勝手に思い込んだ自分が悪い。

(2014/3/14追記)ここ数日、かなりこの記事にアクセスいただいているようなのですが、最新の状況について、記事を書きました。参考にしていただけると幸いです。世知辛いです。→http://meditur.blogspot.jp/2014/03/5816.html

弊社のブログについて

これまで特に説明をすることもなかったのだが、ブログで書籍を紹介するときにamazonへリンクを貼っていたり、そもそもブログの端に広告が表示されている。これらがわずかながらも収益を生んでいる。本当にわずかなので恥を承知で開示すると、弊社創設して1年以上経過しているものの、Webサイトが生んだ収益は1万円程度。わずかとは言っても、ちりも積もれば・・・である。といっても、Webで収益を挙げて、会社の売上に貢献しようといった浅はかなことは考えていない(1万円じゃ、浅はかな考えすら浮かばないのが現実だ)。

これらの収益、何かしら役立つことに・・・と思い、弊社は以下の様な取り組みをしている。胸をはって説明するようなことでもないのだが、月1,000円くらいは超えるようになっているようなので、説明責任も果たさねばと思った次第だ。

CSR | 株式会社メディチュア

2014/02/23

趣味で俳句や川柳を・・・

そんな粋な生き方をしてこなかったし、周りにも文化的な人が少なかったため、俳句や川柳には縁がなかった。

でも、このような仕事をしているご縁で、病院や介護施設では俳句や川柳を良く見かけるのだ。先日、とある病院で病棟を見学させていただいた時にも「シルバー川柳」なるものが貼ってあった。ユーモアあふれる数々の句は、読む人の気持ちを和ませてくれる。

この俳句や川柳、何も病棟の患者さんや家族、職員ががんばって書いてもいいし、書かなくてもいい。目的は病院や施設を和ませることにあり、文化的な創作やユーモアセンスを試しているわけではない。なので、本などから引用してもいいかもしれない(もちろん、引用元は忘れずに)。実際、とある病院では引用していた。

書籍も様々出ているようだが、メジャーなのは下のものだろうか。すでにバージョン3まで出ている。 子どもの時から文学的センスや、国語の学力が足りないことを痛いくらい分かっているのだが、正直なところ、正当な川柳や俳句よりシルバー川柳の方が楽しめる。というわけで、シルバー川柳、万人におススメだ。

2014/02/14

書評: 週刊ダイヤモンド 2014/2/15号 アレルギー花粉症のウソホント


週刊ダイヤモンド 2014/2/15号 アレルギー・花粉症特集
今週のダイヤモンド、表紙はマスクだ。ここ1,2週間ほど、花粉症関連のテレビ番組や雑誌特集などをよく見かけるようになった。

BS日テレ - 「深層NEWS」番組サイト │ ラインナップ
きょうの健康 |スギ花粉症 治療最前線

上記どちらの番組もアレルゲン免疫療法の舌下療法を紹介していた。そして、週刊ダイヤモンドでも紹介していた。ダイヤモンド、内容は概ね良いのだが、アレルギー市場が拡大していることを示すグラフで、縦軸が0はじまりではなく、恣意的に表現していることが気になってしまった。

そして、もっとも気になったのは、頼れる医者、医療機関の選び方と題して、「アレルギー専門医がいる主な医療機関」の独自リストを掲載していたことだ(下の写真参照)。


このリスト、大半が大学病院だ。まさかとは思うが、この記事を読んだ花粉症の患者が大学病院に殺到しないことを祈りたい。クリニックで信頼できるところを探すことが本来のあるべき医療提供体制、役割分担であるならば、これは無責任な記事と言わざるをえない。しかもリスト化するにあたって、各病院に了承を得ているとは思えないため、各病院では突然溢れかえる患者に困ってしまっていたりする可能性すらある。(了承を得ているのであれば、それはそれですごい)

正直、今回は多少残念な特集だった。

2014/02/13

包括払いがますます増える診療報酬

昨日、診療報酬改定の答申が出た。

平成26年度診療報酬改定について |厚生労働省

この内容を見て慌てるようでは準備不足だ・・・・と言いたいところだが、昨日は答申の内容を踏まえ、影響調査などに追われた。病院では地域包括ケア病棟の入院基本料が新たに設定され、クリニックでは地域包括診療料が設定されることとなった。「地域包括」という言葉は、医療者にとっては分かりやすいのかもしれないが、患者からしたら???に違いない。そもそも「包括」という言葉に弱い。なにせ、包括以前から医療費がどういった内容なのか分からないのに、それを包括してしまったものだから、もう高いか安いか、真っ当な判断基準を持ち合わせている人は皆無に等しいだろう(専門家、マニアを除く)。

でも、正直言うと、包括の中身を事細かに理解することが大事か、というとそんなことはない。温泉旅館の宿泊料金を考えてもらいたい。朝食がいくら、夕食がいくら、温泉入浴料がいくら、ベッドメイクがいくら、部屋代がいくら、なんて細かく設定されているところはほとんどない。(例外として、ユースホステルは細かく設定している) 分からなくても、温泉でゆっくりできて、満足できれば、料金の内訳に疑問を持つことはない。医療と温泉旅館は同じではないが、納得感の高い医療サービスを提供することが本質的に重要なことだ。

その先には、提供されている医療サービスの違いを理解できる患者力・ヘルスリテラシーの向上が求められることは言うまでもない。ヘルスリテラシーを高めると「包括」はより意味あるものになるだろう。

2014/02/10

こどもの花粉症用メガネでは運動しないで

花粉症シーズンに入り、先週は周りでも辛い辛いという人が結構いた。国民生活センターでは、花粉症用メガネによる運動の注意について、シーズンインにあわせ、昨年夏に公表した内容を再度注意喚起している。

子ども用の花粉防御用眼鏡の安全性(再注意喚起)-衝突や転倒などによる目の周辺のけがを防ぐために-(発表情報)_国民生活センター

子ども自身がこういった情報を積極的に得て、運動中に着用しないようにするとは考えにくい。やはり家族の理解が不可欠だろう。

なお、花粉症は、花粉を遠ざけることが一番の対処法だ。このようなメガネも含めて、弊社レポートを参考にしていただけると幸いだ。


2014/02/09

大雪でも休めない職種

土日、東京でも大雪だった。人生に一度の成人式が16年前の大雪の日だったことを、こんな機会にまた思い出した。

これだけ雪が降ると、慣れていない東京は交通機関などが大混乱になるのは仕方ない。そして、そんな中でもいつもと同じ、いや、むしろそんな中だからこそ、いつも以上のサービスを期待される仕事がある。近所で見かけた消防車と救急車は出動するだけでも大変そうだった。雪だから行けませんというわけにもいかないだろうし、患者を乗せてスリップ事故なんてのもシャレにならないだろうし。頑張ってたみなさんに感謝感謝。

そして、当然、医療機関も通常通り。土曜なのでクリニックなどもともと休みのところもあっただろうが、入院患者がいる病院はそういう訳にはいかない。これも働いてくださっているみなさんに感謝感謝。

大雪の環八 いつもよりスピードは遅いもののビュンビュン車が通過していく

当たり前のように感じてしまうことも、日常の変化で気づくことがある。家の近所は大雪で車通りが急激に減ったものの、環八はトラックなどが普段と変わらず走っていた。日本中を走っているであろうトラックはこのくらいの雪は当たり前なのだろう。これらトラックには、雪だから、なんて言い訳はもちろん通用しない。日々の生活ができるのはこんな当たり前のような当たり前でない数々のことのおかげだ。

2014/02/08

患者が不安になる瞬間 その2

昨日、患者・薬剤師・医師がミスコミュニケーションにより、不安になった例をあげた。今日は患者・クリニック医師・病院医師の例を見てみたい。


クリニック医師:内視鏡で見たところ、胃に問題がありそうなので、専門病院を紹介します

患者:え、それはがんかもしれないということですか?

クリニック医師:はい、悪性の可能性もあります。しっかり診てもらって方がいいです

患者:分かりました



~ようやく外来・検査の予約がとれた2ヶ月後、専門病院で内視鏡検査を終えて~

患者:先生、どうでしょうか

病院医師:何とも言えません。病理の結果をお待ちください

患者:がんかどうかは分かりませんか

病院医師:待ちましょうって言ってるんですから、待ってください

患者:はい・・・

患者:(クリニックでがんかもしれないって言われたから不安になってるのに)

患者:レントゲンとか血液検査とかで気になるところはありませんか。

病院医師:次回、まとめて話しますから。予約入れて帰ってください

病院医師:(素人が分かりもしないくせに色々聞いてきて面倒だなぁ)

患者:すいません・・・・

患者:(この2ヶ月不安で仕方なくて・・・。今日はちょっとでも様子がわかると思ってたのに)


横柄な態度の病院医師に問題があるように思うかもしれないが、この医師の置かれている環境が、極めて忙しく、まともに食事を取る暇もない状況であったなら、この対応も理解できる。

また、患者は長い間不安なまま待たされているだけに、診察の限られた時間の中で、精一杯のことを聞きたくなる気持ちも分かる。

そして、クリニックの医師は、患者が自分のアドバイスを無視し専門病院へ行かない事態などを避けるため、その時点で考えられるリスクを説明し、紹介することの必要性を話している。決して過度に不安を煽っているわけではない。

このようなケースは避ける事ができないのだろうか。昨日の患者・薬剤師・医師のミスコミュニケーションの例と合わせ、またの機会に考えてみよう。

2014/02/07

患者が不安になる瞬間 その1

とある病室での出来事。

薬剤師:『この薬は飲み忘れないように注意してくださいね。忘れてしまったら連絡をください』

患者:『分かりました』

~翌日~

患者:(それなのに飲み忘れてしまった、困ったなぁ・・・)

とそのとき、ちょうど通りかかった主治医

患者:『先生、この薬、飲み忘れちゃったんですけど、どうしたら良いですか?』

医師:『では、夕食後から再開してください』

患者:(ほぉ、良かった良かった)

~その翌日~

薬剤師:『○○さん、この薬、どうして余っているんですか!!』

患者:『昨日の昼、飲み忘れてしまったんです』

薬剤師:『なぜ、すぐ私に連絡をくれなかったんですか!?』

患者:『ちょうど先生が通りかかったんで、先生に話しましたよ』

薬剤師:『そういうの、困るんですよ。連絡くださいって言いましたよね』

患者:(なんで怒られなきゃいけないんだろう・・・。先生にちゃんと相談したし・・・)

薬剤師:(なんで言ったことを守ってくれないんだろう・・・。簡単なことなのに・・・)


こんなシチュエーション、よくあることでは困るのだが、ミスコミュニケーションというのは、多かれ少なかれ、どこの病院でもある。もちろん病院に限った話ではない。自分だって「人の話をちゃんと聞いていない」「都合の悪いことはすぐ忘れる」と家庭で毎日のように怒られている。

このミスコミュニケーションがきっかけで、患者は不安になるという。特に各職種が責任をもって、患者と向き合うようになり、「チーム医療」の重要性が高まっている現在、どの職種の誰が何を言ったか、聞いたか、しっかり把握できていないと、病院の信頼性は下がってしまう可能性がある。患者は入院していること自体ですでに緊張し不安であるのに、病院の人から聞く話に整合性が取れていなかったら、その不安は益々増大してしまう。

このミスコミュニケーション、防ぐ手立てはないか、別の機会に考えてみたい。

2014/02/06

インフルエンザ クイズ (by CDC)

インフルエンザ、身近なところでは先々週くらいにピークが来た。近所の小学校では学級閉鎖にもなったようだ。まだ落ち着いていないようだし、今週は気温変動も激しいので、気をつける必要がああるだろう。

アメリカのCDCのサイトにインフルエンザクイズがあった。スプレータイプのインフルエンザワクチンがある等、日本と事情が異なる点もあるが、2択のクイズ自体は楽しめると思う。 自分は恥ずかしながら、1問、間違えてしまった。トホホ。

2014/02/05

悪気のない「よい評価」は何も保証してくれない

一昨日、ブログにて、健康食品に対するガイドラインなどを踏まえながら、曖昧な表記が売る側と買う側のミスマッチを生み、問題となってしまっていることを書いた。しかし、健康食品の類は、すべてが悪いというわけではない。実際、自分の知っている医者でもサプリメントを積極的に摂っている人もいる(その人は雑誌のインタビューでも同じように答えていた)。またエビデンスが出ているものもあるし、医薬品として認可されている成分の容量を下げて健康食品としているものもある。なので、一概に怪しいものと捉えるのは間違っている。

今日は、陥りがちな事例を紹介したい。

アマゾンをはじめとしたインターネット販売では、その商品に関するレビュー・コメントが掲載されていることが多い。購入者・消費者がレビュー・コメントしているがゆえの正直な「まったく効果がない」「あわなかった」といった意見がある一方で、「サプリが効いたかわからないけど、楽になった」というような感覚的な意見や、「飲んだ途端、長年の悩みが解消された」というような絶賛コメントまで、様々な意見があふれている。

amazon.co.jpのカテゴリ「サプリメント・ビタミン」で”花粉症”で検索した結果(人気順)

でも、コメントは自由に付けられるがゆえ、良いコメントであふれていると「関係者がサクラになって良い評価を書いているんじゃないか??」などと疑念を持たれるケースまであるという。いわゆるステルスマーケティングだ。アマゾンではそれを判別できるように「amazon購入済み」の表記により買った人と買っていない人が区別できるようにしている。

しかし、調査の一環でコメント欄をずっと読んでいたら、様々なサプリがめちゃくちゃ効くんじゃないか??と思うようになってしまった。コメント欄、すごい。疑ってかかって読んだつもりなのに効果抜群の洗脳をされたようだ。実際、効くのかもしれない。

ただ、この評価は、自分が飲んだ時の効果を保証してくれるものではない、ということを理解しておくべきだ。レビューにはガイドライン(amazonはこちら⇒レビューガイドライン)もあるが、個人が効く効かないの感想を述べることは問題にならない。

おそらく良い評価をした人も、あくまで個人の感想を述べたのだろう。まったく悪気はないし、裏でお金をもらっているようなこともないだろう。ただ、読み手の意識が足らないと、レビューを鵜呑みにしてしまう。騙されたと思っても、法的な制約・制限もないレビューは、誰も責任を取らないだろう。結局、損をするのは消費者だけだ。自分の身を守るのは自分しかいない、ということだろう。

(余談だが、この記事を書いている今、鼻水が止まらない。ノアレ、買ってみようかな。コメント、絶賛されているんだよなぁ・・・)

2014/02/04

その後が報じられない記事 ~抗がん剤記事に製薬会社が金銭~

昨年の12月だ。驚きと失望を感じながら読んだ記事がある。

抗がん剤記事に製薬会社が金銭…薬事法違反か : アラカルトニュース : yomiDr./ヨミドクター(読売新聞)

抗がん剤記事に金銭、薬事法違反の疑い 厚労省調査 :日本経済新聞

ただ、ニュースが報じたからといって鵜呑みにしてはいけない。そう思って、その後の調査や反応を待っていた。しかし、年が明けても一向に新たな情報が出ないまま、1月も終わってしまった。どうしたものだろうか。

すでに、他の雑誌(別冊宝島 「大学病院 タブーな裏側」 記事最下部amazonのリンク参照)では、この記事で指摘されている”雑誌”は「がんサポート」(ウェブサイト:http://www.evidence-inc.jp/index.htmlhttp://gansupport.jp/)ではないか、といった推測でものが語られ始めてしまっている。この数年、がんサポートを愛読しているがゆえ、冒頭のように失望感が少なからずあった。がんサポートは、他の患者向け雑誌と異なり、「がんは治る」「これが効いた」みたいな煽りが少なく、医学的な観点での中立的な情報提供に徹している傾向が強かった。2010年12月号だったかと思うが、肺がんのALK阻害剤について、やや熱のこもった感じで、ドラマチックに書いていたときなどは印象が強い。医学・ドクターの世界ではもう知っていて当然の話なのだが、患者のところまでは情報が届いていない、といった内容を冷静に伝えてくれる役目を担っている貴重な雑誌のように思う。

それが記事に対し、製薬会社から広告料をもらっていたとなると、残念ながら、多少事実が歪められてしまったのではないだろうかという疑念が残る。また、もしかして記事は最終的に患者が利する情報ではなく、新薬開発のために投下した莫大な研究費を少しでも回収しようと躍起になっている製薬会社が利する情報が記事になっていたのかもしれない。

読売新聞の記事には、「医師らが薬を客観的に評価しているように見えるが、裏に金のやりとりがあるなら客観性に疑いが生じる」と日本医大の勝俣教授がコメントしている。

こういった根の深い問題は、正直、患者側の理解力アップや知識増強だけでは、立ち向かうことができない。法律で厳しく制限することまでは望まないが、製薬会社間の意識に温度差が生じることがないよう明確なルールが策定されることを期待したい。

それと、本件、続報を早く知りたい。

2014/02/03

弱者を食い物にするビジネスから身を守るには

日曜日の日経朝刊。「健康食品、問題表示に注意」の記事があった。(webはこちらhttp://www.nikkei.com/article/DGKDZO66235310R00C14A2MZ4000/

以前ブログで書いたこともあるが、健康食品の宣伝文句は、すごい!の一言に尽きる。何を訴えているのか分からないような言葉で気を引こうとするものや、曖昧な表現を徹底していたり・・・。

はっきりとした毎日??? - 医療、福祉に貢献するために

消費者庁が景品表示法や健康増進法で、厚生労働省が薬事法で、それぞれ問題のある表現などに対し、規制・取り締まりを行おうとしている。

でも、正直、線引がグレーすぎて、分からない。ガイドラインを読めば読むほど、微妙な表現を助長しているような気がする。ガイドライン(※)では、「著しく事実に反し、著しく人を誤認させる表示」はNGであって、そうでなければ景品表示法上は問題がないと読み取れる。


「はっきりとした毎日」みたいな表現が乱発されるのだろう。ちなみに日経には、「広告宣伝の行間を読んで、自分で勝手に効果を想像しないこと」という群馬大学の教授の言葉を紹介している。いやいや、本当だろうか。勝手に想像させてしまうような表現だというのであれば、消費者はもはや守られていない。弱者を食い物にすることを許容している。本来は消費者を守ることができるところで線引がなされるべきだ。

ただ、売る側の創意工夫も認めるべきかもしれない。「はっきりとした毎日」と真面目に書いているくらいだ。売る側だって、ぎりぎりの線を攻めたいに違いない。脱線するが、ある意味アダルトビデオみたいに、誰が見ても、もうこれはエロいです、みたいな分かりやすいものであれば、いくらエロくても構わない(人権侵害、傷害とかそういったレベルはNG)。見る側も覚悟ができている。つまり、売る側と見る側の期待が一致している。そのような状態であれば、表現は自由だ。

本質は、健康食品の問題は、買う側と売る側の期待が一致していないことに問題がある。はなっから健康食品に何か期待しようとすることが間違っている。なので、『健康食品』と書いた製品には、いっその事、「病気が治る」等の薬事法で触れる文言でなければ、一切自由にしてみてはどうだろうか。『健康食品』という表記は、映画でいうところの「R18」みたいなものだ。そうしたら、売る側は独創的な表現で、買う側ももっともっと楽しめる気がする。

日経の記事、最後に国立健康・栄養研究所の梅垣情報センター長の次の言葉で〆ている。「薬のような副作用がなく安全で、しかも病気の治療もできるなんて都合のいい製品はありません」とのこと。買う側は期待するな、売る側は期待させるな、と言っている。

んー、ここはやはり「R18指定」ならぬ、「『健康食品』表記」で解決するのではないだろうか。

2014/02/01

1月に読まれた記事TOP3

1月も多くの方がブログを御覧くださり、ありがとうございました。 花粉症のシーズン到来でしょうか。今月は花粉症の記事へのアクセスが増えていました。また、ヘルスケアポイントの記事は、12月下旬に読売新聞の記事で言及していたようで、検索などでお読みいただけたようです。