2014/07/31

月額10万円の介護施設は高い?安い?

先日の日経新聞。老いた犬や猫を対象とした介護施設やサービスが首都圏を中心に増えているという。


(類似記事)
 【照明灯】ペットも高齢化 | カナロコ

表題の月額10万円は、人間ではなく、犬猫が対象だ。

犬も猫も飼ったことがないので、少し理解が及ばないのかもしれないが、「ペットは家族」「退職後に相手をしてくれるのは、やっぱり愛犬」なんて話を聞くと、ペットの地位がかなり高いことは間違いない。

一方、飼い主とて、「忙しい」「自分も高齢で体力がない」等の理由から、老いた犬猫の面倒をみることが困難なケースは珍しい話ではないようだ。なので、ペットの介護サービスを利用する。というのも自然な流れなのかもしれない。

人と同様、医療が進歩し、ペットの健康に気を配り、ペットの寿命が延びてきている今、ペット業界でも、医療保険が浸透してきた。人にも医療保険ののち、介護保険ができたように、ペットにも介護保険ができるのかもしれない。さらには、ペットの健康寿命を延ばす為に、予防医療や健康増進をすることになってくるのだろう。

あと10年は自分が元気でいるだろうから犬を飼おうと考えて飼い始めても、犬が長生きをして自分が弱ってしまい、ペットに添えなくなっては10万円が高い安いという以前に、あまりに寂しい。ペットのためにも、人間が長生きをするための予防医療や健康増進に力をいれていかなければならないようだ。何はなくとも、自分自身の健康増進を忘れずに。

2014/07/30

中医協でリフィル処方せんが議論されるかも

どうやら、次回以降の中医協で、リフィル処方せんなどの議論がなされる可能性があるらしい。(詳しくは下記ニュースを)

【中医協】骨太方針など掲げる検討事項報告 | 医療経営CBnewsマネジメント

かかりつけ薬局の意義が大きく変わる可能性がある。医療機関(病院・クリニック)、薬局、患者、それぞれの立場で、メリット・デメリットがあるだろう。

どのような議論がなされるのか楽しみだ。

リフィル処方せんにも言及している弊社レポートはこちら ⇒meditur insight vol.2 調剤薬局の課題と未来 発行いたしました

医者がホテルで接客研修!? ~ガイアの夜明け~

「病院はサービス業だ」「おもてなしの心が大事だ」なんてことは良く聞く。ディズニーやリッツカールトンを参考にするなんて話は珍しくない。

先週のガイアの夜明け『”接客革命”始まる!』で兵庫県の病院の取り組みが紹介されていた。

日経スペシャル ガイアの夜明け : テレビ東京

そこでは、医師、看護師、薬剤師、理学療法士など、様々な職種が、高級ホテルに接客研修に行く、という取り組みだった。この研修は、あくまでも特徴的な取り組みの1つにすぎないのだろう。ここまで熱心に取り組んでいるのを見ると、「正直、そこまでやらなくても・・・」と思わなくもないが、医療のベースがしっかりしているならば、こういった差別化は歓迎されるべきだろう。

医療関係者は、自分の病院をどうするかは置いておき、まず、ガイアの夜明けを見てはいかがだろうか。

ガイアの夜明けで紹介されていた病院⇒ 医療法人社団 石橋内科 広畑センチュリー病院

2014/07/29

年金と医療の共通点

年金記録問題。もうだいぶ昔のことのように思うが、未だに解決はしていないらしい。当時の社会保険庁のずさんな年金記録管理により、未納になっている人がいたり、受給できない人がいたりした。自分も数度の転職をしていることに加え、名前の「わたなべ」は、旧字体の「渡邊」であり、ナベの字が自分でも知らないくらいパターンがある(邉と邊が一般的。中のうかんむりがわかんむりだったり、しんにょうの点が1つor2つ、などなど)。ゆえに不安なのだけど、ねんきん定期便を見ている限り、今のところ問題はなさそうだ。

先日、弊社の分析を手伝ってくれているスタッフから、「厚生労働省の資料で、病院名には、半角スペースが入ったり、全角スペースだったり、スペースがなくなったりするの?」「法人格はあったりなかったりするけど、ルールはないの?」「伊藤病院って2つあるのだけど、混乱しないの?」と素朴な疑問をぶつけられた。

年金記録問題と同じだ!!!

(DPC公開データの資料に)伊藤病院が2つあることに対し、問題は感じているものの、仕方ない、とあきらめていた自分にとって、ぶつけられた率直な疑問で、年金記録問題と同じ本質的な問題を感じた。

本をただせば、どちらも厚生労働省。お役所仕事には困ったものだ・・・といっても仕方ない。病床機能の報告制度が始まる。制度自体は良い。これまでの経験を生かし、記録には細心の注意をしてもらいたいものだ。

2014/07/28

ホスピーをご存知ですか?

おお、ホスピー!!


日経夕刊(7月24日)に突如現れた近未来的!?ロボット。ご覧になった方も多いのではないだろうか。

病院では、薬剤や検体(検査目的で採取した血液とか尿とか)を運ぶ機会が頻繁にある。それを運ぶのに、ロボットを使おうというわけだ。詳しい経緯は、下記のプレスリリースが分かりやすい。

「病院内自律搬送ロボット HOSPI®」の販売を開始 | プレスリリース | ニュース | パナソニック企業情報 | Panasonic

ホスピー、1台約1000万円とのこと。別の新聞記事(※)によると、パナソニックは2015年度に100億円を目指すとのことなので、年間1000台を販売目標にしていることとなる。

1000万円と聞いて、高い!と思った方は、もっと安く作れれば、この市場に参入できるかもしれない。しかも、この話は日本に限ったことではない。海外にも市場は開けている。先日、ロボコンのテレビ番組を見ながら、ふと大学生あたりに院内搬送ロボットコンテストをやらせたら、すごくいいものが安価に出てくるのでは?なんて思っていた(そしたら、ちょうど日経に出てきたので、ブログに書いている)。


ただ、実は・・・、

すでに海外も含めて、このようなロボット開発、かなり盛り上がってしまってる。(下記検索結果を参照)


なので、おそらくパナソニックも1000万円というのは定価で、結構安い金額で販売しているのでは?と勝手に推測している。もし安かったら、買い!なのかもしれない。

みなさま、ホスピー、いかが?

2014/07/27

危険ドラッグでも脱法ハーブでも、名前は何でもいいのだけど

地味にすごい話。Yahoo!で「合法ハーブ」と検索すると、トップに「ダメ。ゼッタイ。」という麻薬・覚せい剤乱用防止センターのサイトが表示されるらしい。

実際、検索してみた。

「合法ハーブ」の検索結果 - Yahoo!検索

本当だ。

「ダメ。ゼッタイ。」が表示されることで、どれだけの効果があるかは分からないが、少なくとも販売店舗より上に表示されることは非常に良いことだと思う。

ちなみに、上記検索結果で、「上野で合法ハーブ・・・・」という、シャレの利いたサイトは別として、表示されているものは微妙なものが多い。こういったものを表示させないようにすることも大事なことなのだろう。確かに、グレーのままでは、民間企業は動きにくいかもしれない。つまり、危険ドラッグとかそういった名称の問題ではないと思うのだが・・・。

2014/07/26

病院内の患者をコントロールする(後半)

■患者がどこにいるか把握する

近所のクリニックでは予約システムが携帯電話やPCから見られるようになっていて、大まかな待ち時間が分かるようになっているため、クリニックでずっと待つ必要はなく、自宅で待っていてもよい。実際、知人はそのシステムを有効活用し、こまめに予約システムサイトをチェックし、クリニック内での待ち時間なしを実現している。

クリニックと異なり、多くの病院は、外来と前後して、検査などが入る。なので、病院から遠く離れ自宅で待つ・・・というわけにはいかない。そこで、外来で待つこととなる。外来を待っている患者は、待合室で本を読んでいるかもしれないし、院内の喫茶コーナーでお茶を飲んでいるかもしれない。喫煙コーナーでタバコを吸うのは・・・非常に難しくなった(喫煙コーナーが病院敷地内から消えてしまった病院が多い)。結局、患者がどこにいるかわからない。

もし、患者がどこにいるか分かったら、おもしろいのではないだろうか??

すでに、技術的には難しくない段階に来ている。

■iBeaconが可能にする病院の未来

iBeaconの説明はインターネット上のサイト(例えば下のもの)を参照いただきたい。
ASCII.jp:アップルが普及を狙う「iBeacon」とは何か? その基本を押さえる (1/4)

このテクノロジーを活用すれば、患者が院内のどこにいるかがいつでも分かるようになるだろう。タブレットを渡したと仮定するならば、待ち時間に患者がタブレットで何をしているのかが分かる。患者の病状にあわせ、勉強になるようなコンテンツをプッシュすることもできる。事前に問診しておくこともできる。

生理検査室の前に来たら、検査の実施前に、注意事項を動画でプッシュしてみるのはどうだろうか。

例えば、心エコーを受ける人には、こんな動画。


待ち時間がちょっと素敵になった気がしないだろうか。また、毎度毎度の人には、同じ内容を繰り返し見せても仕方ない。プッシュする内容を変えてみても面白いだろう。

■診察室の場所が分からなくても、端末が誘導してくれる

いつもと同じ場所なら、患者は困らない。例えば「栄養相談室にお越しください」なんて案内が出てきたら、滅多に行かない場所で戸惑うだろう。そして、余談だが栄養相談室の場所は、大抵、ちょっと暗い、奥まったところにある。

この技術を見てもらいたい。


どうだろうか。院内のナビゲーションも可能だろう。

これまで、このような患者の誘導は、職員であったり、ボランティアであったり、人を介して何とかしていた病院がほとんどだ。院内掲示を良くする等も大事だが、このような手元で誘導できるメリットは非常に大きいように思う。


さらには、患者がどこで何をしているのか、情報を蓄積できれば、患者がどこで滞留しているか分かるだろう。

■iPhoneやiPad、Android端末で使えるiBeacon

これらの技術、専用端末は不要だ。iPhoneやAndroid端末を使うことができる(アプリは専用で開発が必要)。iPhoneやiPadを病院の受付で貸し出す形を取ってもいいし、患者自身が持参したら、それを使えるようにしてもいいだろう。

もしかしたら、低コストで拡張性のあるシステムを導入できるかもしれない。

もうすでにどこか大手ITベンダーが動いている気もするが、このアイデア、いいな、と思った方はぜひ一緒に考えましょう!

2014/07/25

病院内の患者をコントロールする(前半)

■外来待ちの本質的な問題は「長さ」よりも「質」

外来の待ち時間。その「長さ」が問題となる事が多い。もちろん、長さも問題だが、フォーカスすべきはその「質」である。

サッカーをテレビで見ているだけでは気がつかないのだが、スタジアムに足を運ぶと、試合開始までの待ち時間、様々なことが行われている。選手のウォーミングアップやスタメン発表は当然ながら、それ以外にも、チアリーディングだったり、地元の学校生徒の出し物だったり、アーティストによる歌だったり。様々な楽しめるイベントが用意されている。

これは野球でも似ているし、スポーツに限らず、待ち時間を、ただ「待つ」時間にしないための努力がなされている。つまり、「質」を大事にしているのだ。

病院に来ている人は、病人ではあるものの、待ち時間を短くするだけでなく、その質を上げることを考えることが大事になるだろう。

待ち時間に関する話題はこのブログでも度々書いている。今回の内容と深く関連するもの2つを紹介しておく。
  1. 待ち時間自体の問題点についてまとめた今月上旬のブログと資料はこちら ⇒ 外来は待たされるもの?
  2. いつまで待たされるか分からない待ち時間ほど、しんどいものはない。その点について、積極的な取り組みをしている医療機関の事例を紹介した記事はこちら ⇒ 月曜と祝翌日は医者に行くな!

■患者を意のままにコントロールしたい病院

待ち時間は素直に待合室にいてもらいたい。呼び出した時に、すぐ出てこないのは困る。そういった観点から、テクノロジーを積極的に利用している病院は多い。

画面に「診察室10番の前でお待ちください」「検査室の前でお待ちください」といった表示が出る携帯電話のような端末を渡されることは、それほど珍しくなくなってきた。

先日も、こんなニュースが流れていた。

病院は、この事例では9000万円近くの費用をかけ整備している。それだけ真剣に取り組んでいるということだろう。このようなテクノロジーで、患者をうまくコントロールしたい、という意図が見えてくる。また、待ち時間を「監禁状態」から「軟禁状態」にすることで、待ち時間の質の向上も期待できる。

しかし、なぜ9000万円もかかってしまうのだろうか。記事から読み取れる情報には「呼出受信機は、患者呼出システムのために独自に開発した、専用の無線LAN端末」とある。専用の端末を開発したことは、費用が高騰した理由なのかもしれない。

もっと安価に、いい仕組みを導入できないのだろうか。

次回、アイデアベースで、その仕組みを提案してみたい。(続く)

2014/07/24

病院と薬局は近い方が良い?

病院の前には、大抵、調剤薬局がある。1件、2件ならまだしも、4件、5件と並ぶことも珍しくはない。複数件並ぶのは、単純にそれだけ儲かるからだ。

これらの多くは、病院を出て、薬局まで行く途中、雨に打たれることとなる。なぜか? 病院と薬局が一体となってはいけないというルールがあるからだ。

なので、こんなニュースが流れたりする。

【都薬】病院内敷地の開設薬局、厚生局に再検討要請 : 薬事日報ウェブサイト

病院敷地内に薬局があったら便利なのになぜ??

確かに敷地内に調剤薬局がある
現地を確認すれば分かるとおり、確かに便利そうな病院玄関から直行できる場所に立っている。でも雨に濡れないわけでもない。それほど目くじらを立てることなのだろうか。

医薬分業という元々の理念や、かかりつけ薬局の普及という観点から考えると、こういった調剤薬局は適切ではないのかもしれない。

しかし、調剤薬局の立地に関する規制や制度は、一般庶民が考えている以上に不可解な状況らしい。その一端が、規制改革ホットライン検討要請項目の資料(下記リンク)から垣間見れる。


保険薬局の指定に係る基準の見直し(近隣相場程度の賃貸借)について、以下に引用する。(赤字・青字は弊社で色付け)
【具体的内容】
薬局が、医療機関若しくは保険医の血縁関係者の所有の土地建物に関し、直接賃貸借契約を結ぶ際、近隣の賃借料と比較し妥当性が検証できれば、保険指定を受けられるようにすべきである。
【提案理由】
薬局から医療機関への利益供与を防ぐため、薬局は医療機関から経済的に独立していなければならないとされているが、薬局が、医療機関もしくは保険医の血縁関係者が所有する土地建物を直接賃貸借する際の、保険指定の是非について、各厚生局によって判断が異なる。
そこで、薬局が当該土地所有者と不動産賃貸借契約を結ぶ際に、近隣の賃借料と比較衡量し妥当性が認められれば、保険指定を受けられるようにすべきである。
※「保険指定に問題なし」との見解を示した厚生局は以下の通り。
東北厚生局 岩手・宮城事務所、関東信越厚生局 埼玉・千葉事務所、東海北陸厚生局 愛知・三重・岐阜事務所、近畿厚生局 奈良・滋賀・兵庫事務所、中国四国厚生局 広島・島根・山口・香川・徳島・愛媛・高知事務所、九州厚生局 宮崎事務所
※「保険指定に問題あり」との見解を示した厚生局は以下の通り。
北海道厚生局 北海道事務所、東北厚生局 福島事務所、関東信越厚生局 栃木・茨城・東京・神奈川・群馬・長野事務所、東海北陸厚生局 静岡事務所、近畿厚生局 大阪・京都事務所、中国四国厚生局 岡山事務所、九州厚生局 福岡・鹿児島事務所
え?? 同じことが都道府県によって違うの?

関東信越厚生局の事務所間でも見解が違うらしい。

父親と母親の言っていることが異なっていたら、子どもはグレる。結果的に、その子どもは自立し、大きく成長した・・・なんて美談が待っているのかもしれないが、薬局にそういう美談はいらない。

写真には写っていないが道を挟んだ反対側にも薬局がある

制度は平等に、そして、患者にも医療者にも悪くないようなものにしてもらいたい。かかりつけ薬局の価値を理解していない一般市民の意見を聞くと、上の写真を見て「なぜ入り口が病院玄関の方を向いていないの?」「別棟になっているのはなぜ?」「雨に濡れる。微妙な距離がバカらしい」と言っていた。ごもっともだ。

調剤薬局、敷地内の設置については、以前もブログに書いた。一緒にお読みいただければと思う。

門前薬局は不便だから門内薬局!? それでいいのか?? - 医療、福祉に貢献するために

2014/07/23

森林セラピーと言われてもよく分からないけど、この時期の木陰は気持ち良い

7月上旬、仕事のため山梨に3日間ほど居たのだが、連日雨で思ったように表に出ることができなかった(仕事なので、まぁ、それはそれで良かったのだけれど)。

最終日、自宅に戻る道すがら、西沢渓谷に寄ってみた。山歩きにはあまり適さない靴と格好だったので、ちょっとだけ散歩のつもりで遊歩道を進んでいたら、思いの外気持ちが良く、散策コースを一周歩いてしまった。


一周4時間のコースタイム。滝で写真を撮りながら、軽いジョグで2時間弱。

一周の最後、ゴール目前で、森林セラピーの文字を発見
森林セラピー、生理実験地!?

滝がきれいに見えるわけでも、何でもないところにあったこの案内板。さらには下のような「座観場所」と印と説明が書いてあった。

森林セラピー生理実験「座観場所」

実験の内容の一部は、下記パンフレットに記載されている。
www.yamanashishi-kankou.com/sonota/pamphlet/therapy/data/therapy.pdf

都市部と違って、山の中は、リフレッシュでき、快適だったということらしい。

当たり前って言えば、当たり前なのだが、男子学生12名が実験に協力してくれたのだがら、分かったことなのだ!(パンフレットだけでは分からないが、きっと脳波なんかを測ったに違いない)

ま、難しいことはさておき、山の中は本当に気持ちが良い。ロコモ対策にも適度な山歩きは良い。梅雨も明け、山の天気は安定しないことが多いとはいえ、早朝から午前中は非常にリフレッシュできる時期なのではないだろうか。


ホーム | 森林セラピー®総合サイト

2014/07/22

患者満足度より患者納得度

先日、家の掃除をしながら、本棚の整理をしていた。数年前の雑誌や資料を見返していたら、『「患者満足度」よりも「患者納得度」が大事だ』なんて話が書いてあった。当時はピンと来なかったのだろう。読み込んだ記憶はあまり残っていない。

食事が不味い・味が薄いという患者を満足させるには、味を濃くするか、薄い味付けを意識させないような食事にするか。前者の味を濃くしてしまえば、満足はするだろうが、患者のためにはならない。後者の薄い味付けを意識させない食事にすれば、そのときは良いかもしれないが、自宅に帰ったあと、いつもの食事になれば、いつもの濃さで食べてしまうかもしれない。

大事なのは、患者の病状・健康状態を考慮し、薄味で食べることを納得してもらうことだ。納得してもらうことに、医療チームが全力を尽くす。納得できない患者と満足できない患者。これはそもそも意味が違う。

病気で入院している時点で、そもそも健康状態に満足はできないだろうし、きれいさっぱり治るような病気でない限り、治療に100%の満足を得ることは難しい。
一方で、「納得」は違う。納得できない状態で医療を行うのは、医療者と患者・患者家族にとって良くないことである。

薄い味付けの食事を守らないと大変な状態にあることを納得させる。いかに納得させるか。それが医療者の腕の見せどころ、なのかもしれない。もちろん、そんな腕を客観的に評価できる方法はない(知らないだけであるのかもしれないが、少なくとも一般的な評価方法になっていない)。

Informed Consentという言葉。Consentは「合意」という訳が一般的だが、「納得」に近いと思う。なので、医療者から、薄味の食事を勧められて、納得できないから濃い味で食べる、というのもアリだと思う(個々人の意思は尊重されるべき。健康を害する人が国民皆保険の存続を危ぶんでいる点は十分考えなければならないが)。

「満足」よりも「納得」

ちょっと意識してみてはいかがだろうか。

2014/07/20

座薬は正座して飲む? 食間は食事中に飲む?

コミカルな動画、すごくいい。どんな説明より、見てもらった方が良い。こういった活動、素晴らしい!!






2014/07/19

ロコモ先進県・佐賀

佐賀県と言えば、かつて知名度が低いことなどをネタに芸能人が歌っていた。佐賀はいいところだと思う。有田・伊万里・唐津といった焼物の産地だし、サガン鳥栖のホームスタジアムは鳥栖駅前にある。武雄は図書館など何かと話題になるし、昨日・今日はオスプレイも話題だ。

なぜ唐突に佐賀の話題をしているか。

5月に発表されたロコモティブシンドロームの全国調査で佐賀県が日本一だったからだ。

2014年度ロコモティブシンドローム生活者意識全国調査|ロコモ チャレンジ!


ロコモティブシンドローム 都道府県別 認知率(濃青 認知率高 ←→ 白 認知率低)
出所: 2014年度ロコモティブシンドローム生活者意識全国調査を基に弊社で作成
認知率は佐賀県が67.4%と、2位の秋田県51.1%を大きく引き離し、ダントツの1位だった。上記の地図の塗り分け結果からは、西高東低や、太平洋側・日本海側、大都市・それ以外、といった差異の傾向は特に見られない。なので、この認知率の差異は、各都道府県の温度差を表しているのかもしれない。

佐賀県の資料をサガしていたら、こんなものがあった。

www.saga-art.info/data/siryo/12kaikenminkoukai_kouen1.pdf


佐賀、何気にすごいのかもしれない。

なお、ロコモティブシンドロームの意識調査、弊社でも以前実施している。その結果については、後日紹介したい。

2014/07/18

JR東日本が駅構内で薬を売るわけ

最近、JR東日本の駅構内で、くすりやさんに出会うことが多いなぁと感じていた。気にして見るようになったから、というのが一番の理由だろうと思ったのだが・・・

上野駅のくすりSTATION
新宿駅のくすりSTATION

ふと店名が似ていると思い調べてみたら、JR東日本リテールネットというJR東日本の子会社が運営しているようだ。

店舗検索結果 |エキナカポータル

駅構内という一等地をどう活用していくか。くすり販売というのは重要な候補となるのだろう。店舗を展開している駅名を見ていると、いずれも乗り換え客数が多い駅だ。

東京駅には、改札外に大手調剤薬局チェーンの店舗がある。このような形態も進む一方で、JR東自身が手がけていることには、それなりの意図が透けて見えてくる。JR東日本は自らテナントを入れるときは、サービスの多様性と、収益性を見ているはずだ。つまり、くすりSTATIONは、それなりの収益性を見込んでいるに違いない。でなければ、他の飲食店や衣料品・雑貨等の店舗にするはずだ。

駅構内に薬局を展開する動きは、JR東のみならず、今後も拡大するのかもしれない。

アイン薬局 アインズ&トルペ東京駅店:店舗検索|アインファーマシーズ

そういえば、新宿駅のくすりSTATIONは薬剤師を募集していた。新たなところで活躍したい意欲があれば、面白い勤務先かもしれない。

くすりSTATION新宿南口店 薬剤師募集について|エキナカポータル

2014/07/16

毎日、「お一人様一点限り」で売ってます

スーパーやコンビニで医薬品を売っている場面は珍しくなくなった。様々な場所で薬が買える。これは必要なときに容易に手に入るという意味で、悪いことではない。またインターネット上の店舗での販売も、悪いことではない、

性善説で考えるのであれば。


しかし、世の中、そうでない人もいるから、規制があったり面倒なルールが設けられたりしている。


とある店舗では、「1人1包装以上買う場合は購入理由を確認しますよ」「若年であれば氏名・年齢を確認しますよ」という掲示が出ていた。

この掲示、何もこの店舗だけが特別に慎重を期しているわけではない。これは薬事法の改正で、こういうルールになったのだ。

1包装以上買うことなど、通常は無いと思うのだが、一部薬は乱用される恐れがある(そんなこと、普通の人は知らないことだ)。

例えば、これ。コデイン。

薬物乱用防止「ダメ。ゼッタイ。」ホームページ

ヘロインやモルヒネと兄弟らしい。そう聞くとすごい効きそうだ。(もちろん、そんなに効かないから、普通に市販されているのだが。) これを乱用してしまうと問題があるのは事実であり、なので、たくさん買う人はチェックされるわけだ。「お一人様1点限り」だ。

ジヒドロコデインリン酸塩が含まれている薬は、例えばこれ。
新ブロン液エース(ブロン:シリーズ)/製品情報【エスエス製薬】

たくさん買って、一気飲み、なんてバカなことをしてはいけない。

こういった法整備は意外としっかりしている。それだけに脱法ハーブのような問題はどうしたものか・・・。早急に何とかしてもらいたいものだ。

2014/07/15

食育に無頓着な沖縄と三重

食育という言葉を耳にする機会が増えてきた。保育園や学校といった教育の場でも、様々な取り組みがなされているようだ。

食育は医療とも切り離せない大事なテーマであり、生活習慣病の予防には、食事に対する正しい理解が不可欠だ。平成26年度版の食育白書によると、生活習慣病の予防等に対する食育への活動参加意欲は非常に高いようだ(下図)。食文化の伝承などとの重要性の比較ではなく、あくまでも参加意欲の比較だ。

クリックすると拡大(出所: 平成26年度版食育白書)

このような機会は、病院や薬局などで設けることができないか考える余地があるはずだ。実際、病院・薬局で積極的に取り組んでいる話は最近多い。

やや余談だが、食育白書には、都道府県別の食育推進計画作成状況をビジュアライゼーションしたものがある(下図)。計画作成に熱心か否かで色を塗り分けているのだが、沖縄、三重、千葉といったところは計画作成が進んでいないようだ。


クリックすると拡大(出所: 平成26年度版食育白書)
これほどまで大きな違いが生じている理由を、上の日本地図から考えてみたいのだが・・・中四国は優秀かと思いきや、鳥取が低いなど、明確な傾向は見つからない。データビジュアライゼーションの価値が少ないようにも思う。

食育白書には、様々な情報・事例が載っているので、時間があるときに目を通そうと思う。

平成26年版食育白書(概要)PDF形式 - 内閣府

2014/07/14

「まぶたがピクピク」ならセルフメディケーション?

昭和40年代の写真を引っ張り出してきた。


といっても、信じて疑われないような写真。実際は、先週撮ったものだ。

写真右下、「まぶたがピクピク」「足のつる人」ご相談下さいとある。そういえば、子供の頃、薬局には、ぜんそくも相談下さいと貼ってあったことを思い出した。

「取り敢えず、何でも医者に行く」というのは、あまりよろしくない。何でも相談できるような、かかりつけの薬局の環境を整えることも大事だろう。

セルフメディケーションと叫ばれているが、実は、かなり昔から、あまり変わっていないのかもしれない。

しかし、この写真にある「まぶたがピクピク」。相談したら、どんな薬を売ってくれるのだろう。休息するくらいしか治す方法がないと思っていた。もし自分が同じ状況になったら、貴重な機会だ。まず薬局に行って相談してみたい。

2014/07/12

ヘルスリテラシーの向上はゲーミフィケーションが大事かも

ここ半年ほど練っているアイデアがあるだが、なかなか形にならない。ヘルスリテラシーを向上させるには、ゲーミフィケーションというのは非常に効果的だと思う。うまい形でアイデアをまとめられるといいなぁ。

というわけで、アイデアの参考になるネタのご紹介。




2014/07/11

「電柱の地中化、断固反対!」 by とある職業の人

日本は電線の地中化が諸外国に比べ遅れているらしい。海外に行って、電線を眺めた記憶もないので、曖昧なのだが、言われてみれば、そうなのかもしれない。

ただ、東京と言っても23区の大都会から、奥多摩や伊豆・小笠原まであるわけで、港区とか中央区とか千代田区といった本当の大都会は、比較的地中化が進んでいるとも思う(これまた、しっかり見ているわけではないので、適当な記憶での話)。
電柱を新設するときには地中化しなければならない規制を作ろうとしているらしい。へぇー、景観も良くなるし、災害にも強そうだし、いいことずくめのような気がする。

でも、医療関係者の一部は世の中から電柱が無くなったら困るに違いない。

だって、電柱は大事な広告設置場所だから。

近所の商店街の電柱と医療機関の広告(黄矢印)
電柱という電柱には、広告がついていて、その大半が医療機関のものだ。上記写真は見える範囲の広告すべてが医療機関のものだった。

電柱が地中化されてしまったら、医療機関も困るだろうし、この広告の営業をしている人も困るだろう。もしかしたら霞ヶ関あたりで断固反対!というデモをするかも・・・。

2014/07/10

これからの医療を変える存在 SalesforceとIBM

何度となく、このブログでは書いている内容なのだが、病院は患者情報をどう蓄積し、共有するか。この大きなテーマに対し、真剣に考えるか考えないかで、将来の組織の価値が異なる。

下記の動画を見ると、その必然性が明確になる。


医療者と患者をどうやってつなぐか。この領域に対し、投資できる医療機関は強い。電子カルテもオーダリングも大事だ。でも、それらによって医療に革命は起きていない。なぜなら人が紙などに向かっていたことを電子的にしただけだから(劇的に時間は短くなったり、保管スペースがなくなったり、新たな価値を生み出したことは否定しない)。

医療者と患者のコミュニケーションが記録・蓄積され、それを医療に活かそうと考え出したら・・・。間違いなく新しいアイデアが生まれてくるはずだ、UCSFのように。

ちなみに、IBMの医療に対するアプローチも何度がブログで紹介していると思うが、ワトソンなどは日本で動き出すまで時間がかかるかもしれない(言語の壁が大きいように思う)。それに比べて、Salesforceは、本気を出したら、明日にでも売れるのではないだろうか。日本のベンダーは、診療報酬の内容を反映させた超ドメスティックなシステムのビジネスは安定的に続くだろう。しかし一番大事な部分は海外ベンダーに持って行かれてしまう。

残念ながら、日本のベンダーに対しその危機感を煽りる以上に、正直Salesforceを使って、新しい医療のスタイルを現場と模索する方が楽しそうだし、日本の医療のためになりそうだ。


2014/07/09

臨床試験が医療の質を上げる

先日、臨床試験に関する話を聴いてきた。

アピタル夜間学校 特別授業 もっと知ってほしいがんの臨床試験のこと | NPO法人キャンサーネットジャパン

がんの臨床試験に関する話題とは言え、昨今ニュースを騒がしているディオバンやタシグナのことにまったく触れないのは不自然だろうと思いながら、聴きに行ってきた。

内容は、思ってた以上に分かりやすく、ためになるものだった。臨床試験が患者に取って、どういうメリットがあるか、日本の臨床試験の課題は何か、考えさせられることが多かった。

その中で、特に印象に残ったのは、臨床試験に一生懸命取り組んでいる施設は、プロトコルの遵守や、安全性情報の共有等の徹底が医療者間でなされ、結果的に一般診療の質が向上する、という話だ。(下の模式図を参照)

臨床試験の取り組みは一般診療の質向上につながる
出所: 上記講演で聴いた内容を基に作成
臨床試験は大学病院など特別なところだけではない。様々なところで行われている。それだけに病院側は、もっと積極的に情報を開示した方がいいし、市民もその情報から「この病院は質が高い」と認識するようになるべきかもしれない。

昨今、一般市民が触れるレベルの臨床試験の話題は、ネガティブなことが多い。しかし、医療の進歩には不可欠だし、また、非常に役に立っているということを理解すべきだろう。

2014/07/08

こどもが入院中、兄弟は病院に入れない?

こどもの入院で困ることのひとつが、兄弟姉妹がいるときのその面倒を見ることだ。多くの病院では、こどもは感染防止等の理由で、病棟や病室に入れない。

すると、入院したこどもに付きっきりの親は、別のこどもたちはどこか(祖父母等)に預けておく、片方の親が仕事を休む等の困難がつきまとう。

先日読んだ本がこちら。

チャイルド・ライフ・スペシャリストの藤井さんによる話で、宮城県立こども病院の話が中心になっている。その中に、こどもも含めた家族がいつでも会えるべき、といったことが書かれていた。

てっきり、医療者側の人が「こどもは感染防止のために病棟に入れない」と主張しているのだと思っていたのだが、まさか医療者側の人から、いつでも会えるべき、という話が聞けるとは!?

多少の驚きがあり、さっそく宮城県立こども病院のホームページを見たところ・・・

宮城県立こども病院 - 面会のご案内

確かに二親等以内であれば、こどもでも会える。「未就学児はなるべく短時間に」ということだが、例えば、第二子、第三子が産まれた時に、長子が会いに行くことができる(会うだけなら短時間で十分。通常は会えないことも多い)。

全国のこども病院、面会基準なんて大差ないと思っていたのだが、意外と違うのかもしれない。今度、調査してみたい。

チャイルド・ライフ・スペシャリストについては、以前、下記のブログに書いた。素晴らしい仕事だと思う。前述の本も、その素晴らしさが十分に伝わってくる。ぜひお読みいただきたい。

チャイルド・ライフ・スペシャリスト ~診療報酬は無くとも、価値があるから仕事を~ - 医療、福祉に貢献するために