2013/01/28

生活習慣病ガイドラインの重要ポイントは?

昨日、第11回EBM研究フォーラムを聴いてきた。痛風、高血圧、糖尿病、脳卒中と代表的なガイドラインに関する話だった。会場の聴衆には医師や薬剤師を始めとした医療者も多く占めていたようで、EBMに対する関心の高さがうかがえた。

■診察室血圧から家庭血圧へ
次のガイドラインでは、より家庭血圧に診療のウエイトをおいた基準にしていくとのこと。白衣高血圧(家庭:低い 病院:高い)はそもそも問題ない(エビデンスがない)。仮面高血圧(家庭:高い 病院:低い)は高血圧の管理が不十分だったり、潜在的な問題が大きいとのこと。
家庭血圧の測り方も、1日何回測るか、いつ測るかといったことも周知していくようだ。日本における高血圧患者が約4,000万人とのことだが、風邪を引いた時に体温を測るように、血圧も、健康診断で気になったりしたら、定期的に家で測るようにすべきだろう。血圧計、最近のはコンパクトで、デザインもすっきりしているものもある。決して高くもないだけに、一家に一台、ぜひ。

■ガイドライン間の整合性を
各治療ガイドラインで共通していたのが、ガイドライン間の整合性を取るよう、尽力している点だ。各ガイドラインが、個別でエビデンスを元に基準を作ってしまうと、血圧の基準が微妙に違っていたり、現場では混乱を招くことにもなり兼ねない点を、あらかじめ議論し、整合性を取るようにしているとのことだった。また、高血圧のガイドラインであれば、妊婦や授乳期の降圧薬の服用など、他学会からの意見なども反映させてようと努力しているとのことだった。
小さな積み重ねの裏には関係者の多大な努力があり、より理解しやすいガイドラインができていることを知った。

■有名人の病気経験
脳卒中のガイドラインの話を、KKR立川病院の篠原病院長がされていた。その際、ラクナ梗塞(坂上二郎)、アテローム血栓性脳梗塞(大鵬親方)、心原性脳塞栓症(長嶋監督、小渕首相、オシム監督)の3つについて、それぞれ有名人の名をあげ、説明していた。一般人にとって、親しみのある有名人の名前を聞くと、記憶に残りやすいと感じた。(自分も学生時代、他の人には小渕首相の例をあげ説明していたことを思い出した)
特に、脳卒中のガイドラインでは、再発防止に効果的なエビデンス、日本人のエビデンスをしっかりと積み重ねてくださっているようで、有名な方(例えば、西城秀樹)が再発防止の重要性をアピールをできると、一般人にとって非常にインパクトが強いだろう。

■ガイドラインはあくまでガイドラインであり、現場は医師と患者の対話で
最後のディスカッション、横浜の医師がされた、認知症の方の服薬に関する質問が、非常によい話を引き出した。ガイドラインは、遵守することが大事ではなく、基準であり、現場では、医師の判断や、患者・患者家族の意見を尊重し、判断すべきだと。
ガイドラインだけで物事すべてが決まるのであれば、医師は要らないという議論すら起きかねない。各種ガイドラインを理解し、様々な状況、患者の意見や社会的背景を踏まえ、柔軟な対応をしてくださる医師が、良い医師だと評価されるようにしなければならないと感じた。