2013/01/28

自分の住んでいるところは、将来、安心して医療は受けられるのか?(続き)

前回のブログの最後に触れた医療圏のモデリングについて紹介したい。

二次医療圏の分析については、国際医療福祉大学の高橋泰教授の分析が非常にわかりやすく、また利用しているデータを無償配布してくださっている。
例えば、下記の資料が、その良い例である。

第4回医療計画の見直し等に関する検討会資料 「二次医療圏データベースを用いてわかること」
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001dlb2-att/2r9852000001dlfe.pdf
(※先日ブログ公開時、リンクが間違っておりました。申し訳ございません)

このような情報を参考に、あれこれ考えることは有益だろう。


医療計画、政策的な利用だけでなく、クリニック・病院の視点で外部環境を捉える上での考え方の一例を下記に示す。

モデルは、厚生労働省の流出入モデルに加え、人口予測のモデルを組み合わせることで、具体的な戦略策定に結びつける。ただし、簡単な分析であり、地域の実情を踏まえた理解には、疾患別や、市町村別など、細かな視点での洞察が必要となる。

<流出入型モデル>(厚労省の資料と同様)
・流出入型
・流出型
・流入型
・自己完結型

<人口予測モデル>
・都市型
・ベッドタウン型
・標準型
・過疎型

<流出入型モデル>と<人口予測モデル>の掛けあわせで、見えてくる情報としては、例えば、「流入型」・「過疎型」は千葉県安房医療圏のみである。言わずと知れた亀田メディカルセンターがある医療都市だ。同じ「流入型」であっても、「都市型」には、名古屋医療圏、福岡医療圏らが位置づけられる。これらの地域では、安房医療圏とはまったく違う戦略になることは間違いない。

これらのモデリング、および戦略の考え方について、簡単にまとめた資料(スライド)は下記を参考にしていただきたい。



なお、モデリングした二次医療圏データ、およびスライドは弊社のサイトにアップした(不明な点や、詳細な分析の希望があれば、弊社まで連絡を)。

・二次医療圏モデリングデータ(EXCELファイル
・二次医療圏モデルとその戦略(PPTファイルPDFファイル

このようなモデリングを見ていると、日本中どこでも同じ医療を受けようと思うのは、到底無理な希望であり、現実的な落としどころに向け、妥協するか、もしくは落としどころを受け入れるための別な努力(例えば、アクセス方法や宿泊施設の整備、遠隔医療の整備など)が必要かもしれない。

先日、ドクターヘリのテレビ番組を見ていたときにも感じたことだが、現状より、良い医療を受けたいという希望・願望は、医療者の努力も大きいが、一般市民の理解や妥協も必要な気がした。