2013/06/08

不妊治療に対する新保険は本当に生まれるか

昨日、金融審議会「保険商品・サービスの提供等の在り方に関するワーキング・グループ」で不妊治療に対する保険商品の認めるような報告書をまとめていることがニュースで流れた。

不妊治療の保険商品 認める報告書 NHKニュース
新保険、不妊治療は課題山積 金融審報告書まとめ - SankeiBiz(サンケイビズ)
不妊治療:保険、解禁 新商品、来年度にも−−金融審部会- 毎日jp(毎日新聞)

実際の報告書案(http://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/hoken_teikyou/siryou/20130607/01.pdf)を見ても、ニュースのとおり、課題はあるものの、保険が果たす一定の役割はあるという見解が伝わってくる。

逆選択やモラルリスクの問題をどのようにクリアするべきかは、以前ブログで私案にまとめている。ブログは⇒
不妊治療に対する民間保険の活用案 - 医療、福祉に貢献するために

不妊かどうか分からない人しか加入できない時点で、保険としての意味合いがほとんどないように思う。なぜ意味がないのか。すでに販売されているがん保険でカバーされるがんとの比較で考えてみよう。

がん保険は、健康で生活していることが前提で、がんになってしまう事に対し経済的カバーをすることである。がんと診断されたら一時金、という商品があるように、がんにかかったグループに入ることに対し精神的な負担も含めサポートするイベント発生型の保険だ。

不妊保険(便宜上そう呼ぶとする)は、不妊であるという状態は徐々にやってくる。なかなか妊娠しないから、もしかしたら不妊かも、という時点ではまだそれほどサポートが要らない。体外受精の回数を重ねるなどの時間経過とともに精神的・肉体的・金銭的負担はピークに近づく。そして、無事妊娠・出産できれば、それもぱーっと解消されることが多いのだが、子を授かることができぬまま、不妊治療を断念する人も少なからずいる。このとき負担はピークを迎える。不妊保険は、この負担をサポートすべき出口型保険だ。

出口型保険は、出口の直前まで、保険加入できるべきである。(考え方としては終身保険に近い)

不妊の悩みは、不妊の状態からどのように『抜けだすか』、真っ暗なトンネルの先に光が見えないことと、トンネルの脇に出てしまえば(あきらめてしまえば)真っ暗ではなくなるけど負担が非常に大きいことに対する「経済的サポート」が必要なのだ。

なので、不妊と分かる前しか加入できない、費用サポートタイプの医療保険では不十分だと考えている。いつでも加入でき、積立を必要とする保険であるべきだ。逆選択やモラルリスクも軽減できるに違いない。