これらふたつの自由診療に共通するのは、非常にポピュラーで、宣伝が盛んに行われていることだ。自由診療ゆえ、レーシックであれば両目で10万円未満から50万円以上まで、インプラントは1本10万円台半ばから60万円くらいまで、どちらも費用に大きな幅があることが特徴である。しかも、値段は高いものが良く、安いものが悪い、というわけではないのだ。
値段の高い安いだけで品質が決まらないものの一例としてワインがある。ワイン好きに言わせると、値段の割にウマい、高い分すごく美味しい、5年後が楽しみな味、と自分にはさっぱり意味不明なのだが、美味しさは単純に値段に比例するものではないらしい。
ワインは飲んだ瞬間に「あ、失敗したぁ〜」と思ったとしても飲み終われば終了だが、インプラントやレーシックはそうでない。インプラントであれば、歯を埋めた後、何十年も生活する。その中で違和感無く自然に噛み続けられるかが本当の価値・評価である。レーシックも同じだ。直後の視力だけでなく、長期的にストレスなく生活できるか。さらには将来的に老眼になった場合や白内障などの病気になった場合に影響がないか、その価値・評価は非常に長期的な視点で行わなければならない。その治療時点での10万円の価値と、30年、40年といった長期にわたる10万円の意味合いは全く違うはずだ。しかも、繰り返しになるが、10万円が絶対的に品質が悪いということはできない複雑さが伴っている。
さらには「レーシック難民」「インプラント難民」という言葉が浸透してきたほど、治療の失敗事例を聞くようになった。
歯科インプラント トラブル急増の理由 - NHK クローズアップ現代 |
また死亡事故で有罪判決が出たことも記憶に新しい。
インプラントの死亡事故で有罪 歯科医に東京地裁判決 :日本経済新聞 |
このような不安な情報があふれていることには何かしら問題があるはずだ。ただ正しい情報を知りたくても自由診療ゆえ、国すら情報を把握していないなど問題の根は深い。
たまたま今月のZAITENと今週の週刊ダイヤモンドが歯科医の特集をしていた。内容は結構似ている。週刊ダイヤモンドが多少読者寄りの情報提供と問題提起をしているのに対し、ZAITENは辛口の問題提起になっている。
レーシックもインプラントも、それしかない選択肢であるということは少ない。レーシックであればコンタクトレンズも眼鏡もあるし、最近ではオルケソラトロジーもある。インプラントもブリッジや入れ歯だってある。その中で積極的に選択するからには、もっと情報を知るべきだ。インプラントはまずこの雑誌(どちらでもいい)を読むことをおすすめする。余談だが、同じタイミングで似た内容の雑誌が並ぶのは何か法則でもあるのだろうか・・・。