2015年8月号目次 - 中央公論.jp 特集 地方移住は「姥捨て山」か 激震!介護破綻 増田リポート 都知事、高齢者の増加を受け止めきれますか? 《対談》舛添要一×増田寛也 |
中央公論8月号、巻頭の記事に義祖父のことが載っていた。その記事だけは7月に読んだのだが、メインの特集を読んでいなかった。
特集、読んでおいて損はない。シルバーウィークに改めて読んで、そう思った。
増田リポートは、むやみやたらと危機感を煽っているわけではなく、人口構造の激変に向け備えあれば憂いなしと警鐘を鳴らしていることを理解できる内容であった。また、移住候補となった41地域の首長のアンケート結果も興味深い内容だった。医療・介護が充実していることを評価されたと前向きに捉えるものから、今でさえ介護等の人手不足に悩んでいるのに・・・といった現実論や、はたまた回答なしの自治体まで、反応は様々であったが、今後、地域地域でどのような取り組みをすべきか参考になる内容であった。
地方から首都圏に若者が吸い寄せられ、一方で、高齢者を首都圏から地方に移住させようとするのは、あまりにいびつすぎる話だ。いびつになりすぎれば、地方で医療・介護の人材需要が膨らみ、首都圏で人材が余る結果、賃金等で人材市場が調整される・・・ということを期待したいが、医療・介護は報酬が公定価格のため、賃金での差をつけにくい。結果的に、若年層の人材が地方に還流せず、地方の医療・介護が崩壊するというシナリオもありえる。
参考までに、日経ヘルスケア2015年9月号によると、2015年7月時点の介護職の賃金は高い方から関東・東海・近畿・中国・九州沖縄の順で、逆に低い方からは北陸・四国・北海道・東北・甲信越の順であり、首都圏は賃金が高い状況にある。現状は、首都圏から地方に人材が流れるような賃金格差は生じていないどころか、飲食業や製造業など他業種の人材獲得競争が活発な地域ほど、介護職の賃金も高くなってしまっているように思う。
ミクロな視点では、医療・介護施設での離職防止や、地域地域での住みやすさの向上など、取り組みが重要であることは間違いない。しかし、マクロな視点で、若年層が動くような仕掛けが必要な気がする。例えば、一案として、医療・介護の費用負担について、各地域に大きな決定権限・裁量を与えてはどうだろうか。
逆に、そのようなメリハリをつけることができないのであれば、医師・看護師等の医療スタッフと介護スタッフは、地域に固定させるような制度が必要とも言えよう。
シルバーウィーク、中央公論を読みながら、そんなことを考えていた。