2015/10/28

医療の質指標を特集した「病院」、非常に良い内容が盛り沢山

医学書院/雑誌/病院
巻頭の国立病院機構 桐野理事長と産業医大 松田教授の対談が素晴らしい。

例えば、P4Pについての議論。
桐野 パフォーマンスをもって支払いを増やすのは悪いとは言えません。公正で透明性の高い評価システムがコストをかけずに出るのであれば、それも1つの方法だとは思います。しかし、パフォーマンスが公正に測定できて、誰が見ても明瞭であるという状況は、医療にはないのです。逆に言えば、自分の健康管理をした人は保険料を安くしようという発想と同じで、これはよく考えないと危ない。わかりやすく言うと、リスク調整ができないのですよ。例えば、同じ手術の死亡率を考えても、比較的元気な方の手術と、非常に合併症の多い方の手術とではだいぶ違いますので、注意が必要です。(病院11月号から引用) 
強く同意する。リスク調整がされないままの評価指標は読み手の理解力が必要だ。このことは、たびたび弊社のブログでも述べている。

リスク調整について直接的に言及している記事がこれ

病院ランキングと高校ランキングの共通点 - 医療、福祉に貢献するために

次の内容も強く同意。
松田 日本は医療提供体制を支える医療制度が弱いです。例えば保険料は、日本はたかだか10%ですけれども、欧州は軒並み高い。フランスは18%の保険料ですが、国民皆保険を守るために仕方がないから彼らは払うわけです。(中略) 「負担を上げられるのは嫌。でもサービスはたくさん受けたい」というのは無理な話です。(中略) 国民の理解を求めるためにも、日本の医療はパフォーマンスやプロセスも含めて透明化する必要があると思います。(病院11月号から引用) 
医療の質と透明性については下記で言及しており、その中でQIプロジェクトを紹介している

よい患者を育てる『医療の透明性』 - 医療、福祉に貢献するために

対談では、今後、医療の質の指標をどのように展開していくか、日本全体のみならず世界レベルで捉えた考え方を議論されている。一般人・患者向けの内容ではないが、医療者は読んでおいて損はないと思う。