医療とて同じで、病院経営を重視しすぎてしまうと医療の質やスタッフの労働環境に問題が生じる。そうならないように組織運営をしましょうという話なのだが、大学病院はなかなか色々な背景があって難しい。
週刊エコノミストのスペシャルレポート『経営重視し手術数増加が「院是」 規制強化で体質は改善しない』には、これまでの複数の報告書の内容等を踏まえた本質的な問題点の指摘がなされている。記事自体が非常に分かりやすいので、一読の価値があると思う。
様々な病院から病院経営をテーマに自分が呼ばれるシチュエーションでは、基本、何かしら改善したいという病院側の意向がある。それに対する答えとして手術件数を増やせばよいという話では簡単すぎるが、実際には、どのようなところが増やせるのか、どうやって増やせばよいか等々、具体的な話に落とし込んでいる。受け止め方次第では、自分の言っていることは、エコノミストの記事に出てくる群馬大学と同じであり、自分自身も気を引き締めなければならない。先週話していた病院では、議論の途中で、ちょうど、この群馬大学の例を出させてもらったところだったので、感慨深くエコノミストの記事を読んだ。
このような問題を考える上では、『ビジネスエシックス』という言葉がカギになるように思う。病院によっては言葉は違えど、中身としては同じようなことを学んでいるところもあるようだが、今後、重要性が高まる内容であると考えている。参考になるオンライン記事を紹介したい。
ハーバードの必修科目「不祥事を回避する方法」とは |
この記事の一部を引用する。
判断が迫られるような場面は、企業のリーダーやマネジメント職になってから直面するものばかりではありません。上司に命令されたが、行動に移してよいか迷う、自分の考えと会社の方針が食い違う……こうしたことに、誰でも悩まされた経験があるでしょう。自分自身で「これが問題だ」と課題に気づき、判断をくだし、自身の価値観を築いていくことは、どんな立場であっても求められることです。意思決定を避けない、そして、倫理の問題について語り合うことを厭わないことこそが、ビジネスマンに必須の素養といえるのではないでしょうか。病院全体で適切な価値観を築くには、ミッションやビジョンなどの意思決定をブレさせないものが改めて大事になるだろう。
週刊エコノミスト 9月6日号
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