中央社会保険医療協議会診療報酬調査専門組織(DPC評価分科会)審議会資料 |厚生労働省 |
資料を見ると、機能評価係数Ⅱについて、救急医療係数の評価およびⅠ群・Ⅱ群の重み付けの議論がなされるようだ。
重み付けは賛成である。医療機関の負担と努力を報酬で評価することは重要であり、適切なインセンティブは医療の質を向上させる。重み付けの資料の対応方針(案)を見ると、次のように書かれている。
○ 総合的な体制を既に有していると考えられるⅠ群については、在院日数短縮の努力を促すために、効率性係数を重み付けすることとしてはどうか。
○ 在院日数短縮について既に一定の取組を評価出来るⅡ群については、総合的な体制をより評価するため、カバー率係数を重み付けすることとしてはどうか。
Ⅰ点目の効率性係数、強く同意。ただ、単に「在院日数短縮」を促すのではなく、「疾患ごとの相対的な評価により適切かつ効率的な病床利用」を促すと言った方がよいだろう。個人的には、どのような反論・意見が出てくるか、楽しみである。
2点目、カバー率。なぜそうする?? 以前から、カバー率は病床数に依存していて、努力余地がない・少ないと言ってきた。データからもその特徴は明らかであり、大病院を優遇する係数と言って良いだろう。
参考までに、そのことを述べるために使ってきた資料の一部を紹介する。
以前、カバー率の努力余地はまったくないと述べていたが、 千葉大の井上先生の話を聞き「高回転化で多少伸びる」とトーンを変えた |
DPC算定病床数でカバー率係数は決まることを示した散布図 |
年10症例を超える疾患数と病床数の関係(※カバー率の評価は月1症例以上が対象) ・箱ひげ図の「ハコ」が小さい⇒病床数に強く依存 ・箱ひげ図の「上のヒゲ」が短い⇒病床数の縛りを超えてカバー率の高い病院はほとんど存在しない ・箱ひげ図の「下のヒゲ」が長い⇒病床数の縛りを超えてカバー率の低い病院はある(専門病院等) |
こっちの制度で大病院を評価し、あっちの制度で専門病院を評価し、そっちの制度で中小病院を評価し・・・なんてことをしていれば、制度を複雑化させているだけで結局のところ意味がない。
重み付けをするのであれば、カバー率はむしろ評価を軽くすべきだと思う。今日の分科会でそのような意見が出てくることを期待したい。
なお、カバー率係数自体が不要というのが自論ではあるが、もしⅡ群・Ⅲ群間の移動の不公平さの解消を目的として重み付けを調整するのであれば、やや賛成である。その不公平さについては以前MMオフィス工藤氏とCBnewsで記事にさせていただている。