2017/09/21

再入院率減少プログラムは個別医療機関の対策を超えている

COPDの再入院率減少プログラムについて話を聞いてきた。アメリカでは入院報酬の包括払い制度において、再入院率に応じたペナルティの制度が始まっている(詳しくは下のリンク参照)ことや、再入院費用自体が包括化されてしまうことが背景にある。再入院率を減少させることは病院経営に直結するため、重要な取り組みとして認識され始めているのだ。

取り組み自体は、下記のレポートを参照いただきたいが、要は、病院に入院中の患者に対する取り組みは、取り組み全体のごく一部で、様々な職種が長期間にわたって接触し、取り組みを行っている。


日本の現状にあてはめると、かかりつけ医やかかりつけ薬局の努力が入院診療報酬の向上につながるような状態になっている。

もし、再入院率減少に対するインセンティブを日本でも導入しようとしたら、現状の日本の診療報酬制度において、アウトカムでかかりつけ医・かかりつけ薬局・他院と自院に対し同時に評価するようなものはない。(ストラクチャーやプロセスでは評価する制度がある。周術期の口腔ケアや、感染対策防止加算等)

再入院率減少策をより効果的にするにはアウトカム評価が重要であり、その取り組みが広い領域・多職種にわたることを考慮するならば、既存の包括化(1日の入院包括化、1入院の包括化)の概念を越えた1エピソードの包括化などの新しい報酬制度が必要かもしれない。また、その場合に、かかりつけ医・かかりつけ薬剤師・病院間の利益配分などの新しい考え方が必要になるかもしれない。

ちょうど、先日、NEJMに再入院リスクに関して、患者の影響を排し病院の影響を独立評価できるかどうか検討した論文において、病院のクオリティの高さが、患者ファクターとは独立し、再入院率に貢献していることが示唆されたと述べられていた。(下記参照)

Hospital-Readmission Risk — Isolating Hospital Effects from Patient Effects — NEJM: Special Article from The New England Journal of Medicine — Hospital-Readmission Risk — Isolating Hospital Effects from Patient Effects

再入院率を正当に評価することは、よりよい医療が受けられることに繋がるはずである。アウトカム評価の時代は着実に近づいてきている。