2018/08/09

人工関節置換術は日帰り手術になる時代が来るのか

以前、人工関節置換術の在院日数が、アメリカでは「何日」から「何時間」レベルで短縮しつつあることを述べた。

TKA(人工膝関節置換術)の在院日数短縮は、再入院率の増加と関係ない(Clin Orthop Relat Res. 2012 Jan;470(1):166-71) - 株式会社メディチュア Blog TKA(人工膝関節置換術)の在院日数短縮は、再入院率の増加と関係ない(Clin Orthop Relat Res. 2012 Jan;470(1):166-71) - 株式会社メディチュア Blog
背景には、日本に比べ医療費が高いことなどがあると思われるが、日本では1週間程度でも短いだけに、日本は優しいというべきかもしれない。ただ財政的に厳しいことを考えれば、今以上に短縮プレッシャーがかかることも想定される。

ちなみに、アメリカは、当然さらなるプレッシャーがかかっているようで、日帰り手術の割合が急増しているようだ。(将来予測では、2026年には日帰りの件数が入院の件数を上回る勢いとのこと。詳しくは下記の論文を)

Outpatient Total Joint Arthroplasty Outpatient Total Joint Arthroplasty

日帰り手術は適用患者を厳選しないと大変なことになる・・・という話が、上の論文に書かれている。患者選択を間違えると、“avalanche events”(雪崩イベント)とか“bundle busters”(バンドルバスター。包括払い壊し屋)になって、10万~15万ドルもかかってしまうとのこと。バンドルバスターってすごい呼び方だな・・・。日本ではDPCバスターとか、DPCデストロイヤーみたいな名前になるのかもしれないが、さすがに聞いたことはない。

ただ、しっかり患者を選べば、コスト面でのメリットは相当大きいとのこと(ただし、アメリカは入院費が高いので、単純に日本でも同じコストメリットがあるとは言えないだろう)。

術後のリハビリなどについても述べられていて、患者の状態・家族環境に合わせて訪問リハや外来リハを選択するようだ。当然「術後のリハは回リハ(病院)で」みたい流れはあまりないようだ(術後ですら、その日に自宅に帰るのに、リハのために入院するのは考えにくいか。一部SNFに行くのはあるようだ)