2013/02/23

東京医大茨城センターの不正請求と保険医療機関の取り消し・再指定について

先日、東京医大茨城センター、保険医療機関の再指定が決まった模様だ。(m3のニュースより

一連のこの話、一体、誰にとって、どんなメリットがあったのだろうか。不正請求に対する厳罰は、保険医療機関取り消ししかなかったのだろうか。



現在、健康保険法等に基づく監査後の行政上の措置としては、保険医療機関、保険医の「取消」「戒告」「注意」があり、取消が最も厳しい処分であるのが実態だ。ただ、この処罰、いずれもあくまでも行政側の都合であり、あまりにもデキの悪い処罰である。取消が決まってから、連日、新聞やニュース、インターネットで話題になったことからも分かるように、取り消されてしまうと、その地域住民に対して、多大な影響が出てしまう。地域の医療は絶妙なバランスの上に成り立っている。この事例だけでなく、全国各地の病院で、「医師不足から産科を休診します」「救急の受け入れ、制限します」など、ニュースが流れる裏では、その患者をどこか他の病院が受け入れているという事実がある。今回であれば、病床規模や医師数から判断するに、相当多くの患者が影響を受けたことは想像に難くない。

国民皆保険の根幹を揺るがす不正請求に対し、厳罰に処したい行政側の心情も理解できなくはないが、地域住民に対する影響があまり出ないように配慮した処罰を考えられないものだろうか。そこで簡単なスキームを提案したい。

提案

新しい処罰:「医療機関は金銭的なマイナスを負い、地域医療への奉仕する」

処罰内容
  • 初診料、再診料、入院料の病院収入に対する減額
    • 診療報酬点数の請求額に対し、5~20%を国へ納める(患者負担は変わらず)
    • 不正請求の内容に応じた処罰の重さは、減額のパーセンテージと、その処罰期間の長さで調整する
    • 減額によって得られた請求の一部は、他保険医療機関で発覚した不正請求に対する患者、保険者への保障に充てる




    地域のバランスを保つことは、何よりも重要であり、医療というものが社会的インフラであることを、行政側も認識を強くし、処罰のあり方を考えなおしてもらいたい。現状、不正請求に対する処罰が厳密に法整備なされていないことも問題であると思う。取消後、再指定までは原則5年かかるという慣例も、そもそも意味をなさなくなっている。そういった意味でも、形骸化した処罰ではなく、きっちり法の下で、患者、地域住民にとってデメリットが生じないような処罰を整備してもらいたい。