2014/04/10

お薬手帳、意義が浸透しない中での点数上下は、混乱とムダを生む(後編)

昨日の前編に続き、お薬手帳の話題を。


・医療の質の向上、患者の健康管理に「お薬手帳」はあるべき
・薬局は薬歴管理することがあたりまえ
・薬歴管理できない患者、管理しない患者は罪

以上の3点を前提に考えてみたい。


2点目、3点目から考えられることは、

・管理しない薬局は、報酬を得られない(現状の診療報酬と同じ)
・手帳を持参しない患者は、金銭的負担を負う(新しい概念)

とするならば、患者はお薬手帳を持ってこないと追加負担(例えば1回3,000円とか)が生じる、としたらどうだろうか。すべての責任は持ってこない患者が悪い。管理する必要はない、という患者側の論理は、ちょっとした薬であれば正論のように思うが、様々な薬との相互作用などをチェックするためのデータ蓄積には不可欠な「手帳」とすれば、「持参しない」ことは日本の医療費抑制に役立っていないため、その代償として大きな負担を強いてもいいのではないだろうか。


提言:お薬手帳はパスポートや運転免許証と同じ重要な「手帳」であることを認識させ、不携帯での薬処方には患者に大きな負担が生じるようにする(当然ながら保険適用外の自己負担)

ただし、風邪薬だろうが、湿布薬だろうが、処方薬について国を挙げて管理することに意味があるとするのならば、管理自体の効果をしっかり検証すべきだと思われる。そもそも管理する意味がないのでは?管理してもらわなくても結構です!と思われている現状が少なからずあるのならば、この議論は破綻する。調剤薬局のカウンターでお薬手帳を広げて説明するだけでは、国民の理解は得られないだろう。薬剤師がしっかり管理した結果、ムダな処方を抑制できた、危険な飲み合わせを回避できた、健康管理に貢献した、といった効果を見える形にするには、現場から情報を吸い上げる仕組みが必要なのではないだろうか。(たまの調査で聞くのではなく、継続的な調査とすべき)

余談:お薬手帳を完全ICカード化して、データは国のデータベースを照合するような仕組みがあれば薬歴管理における調剤薬局の薬剤師の役割自体が変わるように思うだけに、上記提言は過渡期の対応かもしれない