トクホを買う人はどんな人なのだろう。自分もたまに買うとは言え、それだけでは実態が見えてこない。そこでインターネットアンケート調査(30歳以上を対象。N=100)を実施した。
まず、飲んだことがあるかどうか聞いたところ、男女間に大きな差異は見られず、5~6割程度、飲んだことがあることが分かった(図1)。年代別に見ると若年層ほど飲んでいるように見受けられる(図2)。
図1: トクホ飲料、飲んだことはありますか(男性・女性別) |
図2: トクホ飲料、飲んだことはありますか?(年代別) |
では、飲んでいる人たちは実際に効果を感じているのだろうか。印象を聞いてみた。回答の選択肢は「はっきり効果があった」「効果があったように思う」というポジティブのもの、「よくわからない」というニュートラルのもの、「効果はなかった」というネガティブなものの4つ。自由記載できる「その他」という選択肢も用意しておいた。
図3: トクホ飲料、効果は実感できましたか? |
その結果が図3だ。ある程度、冷めた消費者の姿が浮かび上がってくることを想定していたが、想定をはるかに超える冷めっぷりだ。飲んだものの効果はまったく実感できていない、というのが実態のようだ(効果を感じている人はわずか2%弱)。
これは期待する効果を感じにくいということもひとつにはあるだろう。ダイエット中にトクホ飲料を摂取しながら運動もしていたら、痩せたとしてもトクホ飲料のおかげか運動のおかげか分からない。
ほとんどの人が「効果は分からない」といっている点は興味深い。正直、効果が期待できる成分が何も入っていなくても、みな「トクホ」を信じて、少し高い飲料を買うに違いない。単に売れればいい、「トクホ」にするとちょっと高くても売れる、という企業側の論理は分からなくはない。しかし、お墨付きを与えている行政側は、詐欺的な商売に加担してしまうリスクを認識しているのだろうか。
企業側の認識と顧客側の認識の間には大きなギャップがあることは、今回のアンケート結果から容易に想像がつく。このギャップは埋まらないものだ、という姿勢で企業がトクホを売り続けるのであれば、いずれ顧客は「トクホ」に見向きもしなくなるだろう。と同時に行政は「トクホ」という制度が一般市民の健康のためでなく消費拡大策でしたと弁解せざるを得なくなるだろう。