2013/07/21

歌舞伎町で医療を考える

学生時代、パン工場のラインで「1点」というシールを貼るバイトをしていた。1分間に100個くらいの製品が流れてくる製品ラインの最下流で、シールを手にパンや饅頭と格闘した。自分の手は1分に60個も貼れれば良い方で、シールを貼れなかった饅頭が自分の後ろに高く積み上がり、ライン担当の社員から怒られたのは懐かしい思い出だ。

ちなみに食パンくらいのメジャーな製品になるとロール状のシールがセットされた機械がラインの最後にあり、自動でペタペタシールが貼られていく。

そんなパン工場の社員は「ロボットは壊れたり、機嫌を損ねたりするし、融通は利かないし、商品が頻繁に変わるところは人間の方が良い」なんて言っていた。それゆえなのか、パン工場はロボットが活躍する部分と人間が活躍する部分がそれぞれあり、うまく分担していた。
3年前くらいに亀田が導入したとのニュースがあった抗がん剤自動調整装置が、国がんなど他の施設でも導入され始めているようなのだ。薬剤師など医療者の曝露リスクを最小限に抑えるに有効なロボットだろう。病院では他にもロボット支援手術(da Vinciが有名)の一部手術に保険点数がついたり、ロボットは活躍する余地が色々とありそうだ。

ちなみにCytoCare、1台1億5千万円くらいするらしい(ソースはこちら)。かつてパン工場の社員が「人は安いし、壊れたら交換すればよい」というブラックジョークを言っていた。ロボットは確かに高い。でも、人の代わりを買っているだけではなく、質の向上も買っていると考えるべきだろう。

医療の質向上、医療現場の環境向上のため、ロボット活用の可能性はまだまだ余地があるのかもしれない。歌舞伎町のロボットレストランの前を通りながら、そんなことをふと考えた。