2014/12/02

「医療体制の維持」と「医療費の低さ」から興味深い町、千葉県旭市

週末、千葉県旭市で開催された「患者さんがより良い医療を受けるためのシンポジウム」を聴いてきた。わざわざ片道3時間以上かけ、よそものの自分が千葉の話を聴きに行ったのは、言うまでもなく目的があったからだ。

■「医療体制の維持」と「医療費の低さ」から興味深い町、千葉県旭市

旭市には国保旭中央病院があり、医療関係者なら知らないものはほとんどいないであろう超有名病院だ。しかし、ここ数年、ニュースになるのは医療の継続が危機的な状況にあるという内容ばかりであった。

病床規制の問題1:千葉県の病床配分と医療危機|医師・医療従事者向け医学情報・医療ニュースならケアネット
再生に懸ける銚子病院(中) 旭中央病院の“悲鳴” | 医療介護CBニュース

このようなニュースが流れている旭市において、「患者さんが・・・・」という主題のシンポジウムの開催は非常に興味深いと思ったのが、最初の理由だ。

また、今年は特に医療費の地域格差について、ブログでも記事を書くことが多い。

医療費格差の解明にビッグデータは要らない
都道府県間の医療費格差だけでなく、介護にも差がある
医療費の地域差、どう解消したいか。ただ下げれば良いのではない

この医療費格差を考える上で、国保の状況を比較した結果において、旭市は全国でもトップクラスに医療費が少ない市のひとつだ。下記は2012年度の全国の市区の比較なのだが、全国で5番目に低く、離島である沖縄を除くと、愛知県田原市に次いで2位である(田原市も旭市も神栖市も、陸の孤島??)。

この医療費が低い要因を探るのに、シンポジウムは非常に良い機会ではなかろうか、と思ったのが2番目の理由だ。

2012年度 市町村国保における1人あたり医療費 低い順 TOP10(町村は除く)
出所: 厚生労働省 医療費の地域差分析(2012年度)を基に作成

■会場には200人以上の地域住民が

会場は九十九里浜の目の前
片道3時間かけて到着した会場には60歳以上の年配の方を中心に200人以上集まっていたと思われる。この地域における医療に対する関心の高さがうかがえた。会場内では、近所の人同士なのだろう、そこかしこで、挨拶がなされていた。(東京から来た自分はかなり場違い・・・)

基調講演の前には会場の参加者向けに、どこから来たか、何歳か、行天氏から質問が投げられたのだが、ほとんどの人が旭市から来ており、また年齢層は高めだった。

そして、シンポジウムは地域住民の関心の高さを反映し白熱したものとなり、予定時間を30分弱オーバーして終わった。

「患者さんがより良い医療を受けるためのシンポジウム」 プログラム
講演では、患者さんがより良い医療を受けるためのヒントが多く散りばめられていた。ヒントのいくつかは、医療者確保に困っている病院で自分が改革の提言をした内容と非常に似たものもあった。これらの講演の内容については、明日以降のブログで書こうと思う。地域完結型の医療を目指すに当たり、何かしら参考になれば幸いだ。(続く)

(Part.1) 「医療体制の維持」と「医療費の低さ」から興味深い町、千葉県旭市
(Part.2) おらが街の病院は、たまたま大病院だった
(Part.3) 限りある医療資源を分け合う意識の醸成には時間がかかる
(Part.4) シビックプライドの醸成には住民の協力が重要