2014/12/28

行動経済学が医療を良くする?

先日、千葉県旭市のシンポジウムを聴いて感じたことを中心に、地域完結型医療における課題と、それらを乗り越えるためのアイデアをブログに書いた(Part.1~4)。

(Part.1) 「医療体制の維持」と「医療費の低さ」から興味深い町、千葉県旭市
(Part.2) おらが街の病院は、たまたま大病院だった
(Part.3) 限りある医療資源を分け合う意識の醸成には時間がかかる
(Part.4) シビックプライドの醸成には住民の協力が重要

そのPart.4の中で、医師確保のための利用者負担、地域負担について述べた。

この内容を考える上で参考になる調査結果が、日本医療政策機構の2008年のレポート(医師不足と負担に関する実態調査(概要))にまとめられている。

これで興味深いのは、医師不足対策に対する負担増は、誰しもが賛成しているわけではなく、高所得・高資産層で賛成が多く、低所得・低資産層ほど反対が多くなっている点だ。これは当たり前の結果と感じるものの、病院完結型医療以上に医師確保が課題となるであろう地域完結型医療を進める上で、医師確保の負担をどのように分担するか参考にすべきだろう。

医師不足対策のための負担増に対する賛否
出所:医師不足と負担に関する実態調査(概要)

大病院を受診すると初診時選定療養のために数千円負担しなければならない地域においては、所得に関係なく費用負担が発生する。費用を負担させる以上、地域住民にはかかりつけ医と病院の役割分担を十分に理解させ、かかりつけ医からの紹介であれば、初診時選定療養の費用はかからないことを周知するべきだ。

それらを理解した上でも紹介状なしで大病院を受診するのではあれば、それはある程度の費用負担はやむなしだ。

余談だが、初診時選定療養の金額の決め方は、行動経済学において、非常に興味深い課題である。医療の現場とは異なる世界でも議論が活発となりそうだ。