2015/05/23

地域差を可視化する(Part.2 大腿骨頚部骨折)

前回、心臓カテーテル検査入院について、地域差を見た。

前回記事はこちら→地域差を可視化する(Part.1 狭心症カテーテル検査)

今回は大腿骨頚部骨折について、手術入院症例数を比較してみた。

沖縄が圧倒的な1位だ。いくら沖縄に頚部骨折の手術がうまい有名病院が数多くあろうとも、わざわざ他都道府県から海を越えて沖縄まで行く人が大勢いるとは考えにくい(もちろん、海を越えて行く人が少数ながらもいることは事実であり、自分も知っている)

前回同様、非DPC病院で非常に多くの手術をしているところもあるため、これだけでは言い切れないが、間違いなく地域差はある。このような地域差は、厚労省の統計資料「患者調査」を見ていても分かることだが、DPCデータでは疾患・手術を絞り込み比較することができる。

膝関節の人工骨頭置換術では、さらに差異が広がる。


沖縄は極端に多く、島根は極端に少ない。30倍以上の開きになってしまう。でも2位の山形と下から2位の岩手でも6倍弱の開きだ。地域差があることは間違いない。

なお、医療は『医療費が少ないほど良い』とも言えない。医療費が多いところは『充実している』と受け止めることも可能だ。逆に医療費が少ないところは、何かしら制約が生じている可能性もある。格差の解消は大事だが、少ない方に合わせるのではなく、どのような水準に持っていくか、十分な議論が必要であることを常に意識しなければならない。(続く)