『実務経験が浅い、若いデータ分析者の報告などを見ていると、確かに分析そのものの品質や精度は悪くないものの、「それだと、そもそもの課題の捉え方が限定的なのではないか」と気付くことがよくある。自分で気付いていないことに「気付きなさい」といっても無理な話である。そのため、上位者であるマネジャーがそこをサポートしてあげる必要がある。』
『視野の広さや気付きは、データ分析スキルの有無とはあまり関係がない。』
激しく同意である。昨年の日経ヘルスケアのセミナーの最後で、まったく同じような話をさせてもらった。
データ分析スキルも大事だが、経験に裏打ちされた課題発見・仮説設定・問題解決力も大事であり、それぞれの足りないところを補完し合うべきだ。そして、データ分析を繰り返し、経験のあるマネジャーがサポートすることで、経営改善を達成するだけでなく、人材の育成にもつながる・・・という内容が、セミナーの最後の2枚のスライドだった。
余談だが、自分が医療データの分析を専門にしていながらも、いつも何人かの方々を頼りにしているのは、まさにこの「視野の広さ」が別次元であることだ。ここで言う別次元とは、知識を点として記憶している人間と、点と点が線で結ばれ、それが複雑に絡み合った状態で記憶している人間との違いとでも言えばよいだろうか。物事に対し、経緯や背景、人それぞれの考え方・感じ方などを理解している状態というものには、到底、追いつけない。
この「データ競争力を上げる上司、下げる上司」の本と関連して、ちょうど医学書院の月刊誌「病院」の最新号で、こういった人材の重要性についての特集が組まれていた。今回の「病院」は、個人的に非常に読み応えがある内容だ。