2014/06/09

『プロが選ぶ名店』が知りたい

飲食店の世界。食べログやザガット・サーベイを見れば、客の選ぶ名店が浮かび上がってくる。一方で、ミシュランガイドはプロが選ぶ名店と言えるだろう。
どちらの評価も一長一短。絶対的なものはない。ましては、各人の舌は千差万別。他人が美味しいといったところで、自分にとっても美味しいかどうかは分からない。

病院はどうだろう?

病院ランキングは、新聞や週刊誌の人気企画だ。ただ、内容は玉石混交。順位だけで単純に良し悪しが決まるわけではないため、読み手のレベルが問われる側面もある。飲食店で喩えるならば、食べログに近いものから、ミシュランに近いものまで、様々だ。

食べログに近いものとしては、病院の口コミサイトなんていうのもあるが、コメントは愚痴や文句などの辛辣なものが多い。やたらめったら褒めているものがあると、かえって、サクラなのでは?と穿った見方をしてしまうくらいだ。また、患者個人個人は、『病院通』でないため、ちょっとしたことで良い評価をつけたり、悪い評価をつけてしまう。どれだけ票数が集まっても、絶対的な医療の質を反映しているとは言えないデータだろう。

また、ミシュランに近いものとしては、「医者がすすめる・・・・」なんて本もあるが、そもそも紹介している医者が臨床から距離のある人だったり、読み手の近所の病院でなかったり、あまり役に立つとは言えない。

ミシュランついでに、ビバンダム君が描かれた
自転車のチューブやドリンクボトルの写真をアップしようと思ったが、
身近なところにあったのはBONTRAGERのチューブだった。残念!!

では何か役に立つデータはないのだろうか?

実は、紹介状のデータ、というものがある。紹介状とは各クリニックや病院から、別の病院などへ紹介するときに書く手紙だ。紹介状を書くというのは、信頼できる医療機関に、自分の患者を紹介するのだから、紹介先は「選ばれている」のだ。選ばれている情報は、まさに「プロが選ぶ名店」であり、かつ地域密着の情報だ。しかも、これらには診療報酬の算定が絡んでくるため、すでに世の中にデータとして収集されている。

国は、こういった情報を整理し、開示してくれないだろうか。DPC病院(急性期の病院の多く)の機能評価係数Ⅱに、病院情報の開示を加えてみたらどうか、という話を今年度からまた再開しているようだが、改めて、患者にとって意味がある情報・価値がある情報というものを考えてもらいたい。紹介率や紹介元医療機関別の紹介件数を開示してくれたら、『プロが選ぶ病院』が一目瞭然となるのだが。

情報開示に関する以前書いた記事。例えば・・・ということで、2つ挙げてみた。よろしければ、こちらもあわせてどうぞ。

患者視点が置き去りになったDPC/PDPS制度 Part.4 - 医療、福祉に貢献するために
DPC評価分科会 何のための指標か、誰のための指標か - 医療、福祉に貢献するために