2014/11/24

週刊誌の見出しはいかがなものか、内容は間違っていないが

週刊誌はキャッチーにせざるを得ない事情があるのだろう。

ただ、下の記事。冒頭の文章は、いかがなものか。

30万人の「医療ビッグデータ」がはじき出した 部位別・男女別・ステージ別の計238種類 これがすべての「がん」の5年生存率ナマ数値だ | 賢者の知恵 | 現代ビジネス [講談社]

医者が決して教えてくれなかったというが、ニュースでも新聞でも話題になった内容だ。全がん協の公表数値を基に記事を書かれているのだが、この数値は隠そうとしたりする類のものではない。また、全がん協の会議には、前職でオブザーバー参加した経験もある。その中での議論は、情報を公開することに対し前向きで、いかに情報をより良いものにしようか努力していた印象が残っている。

情報を開示しようと医療者側が歩み寄っているところを、患者側も理解できるよう努力しなければならない。「医者が教えてくれなかった」と何でも医者のせいにしては行けない(そういう論調での記事は好きでない)。

全がん協の数値は32施設の集計結果に過ぎない。たった32施設の数値だが、このような集計がなされたものは他になく貴重だ。がんの生存率データを取るのには、医療者の努力と患者の協力、それに長い年月を必要とする。それだけに32施設から一気に施設数を増やすことは難しいだろう。しかし、がん登録を義務化するなどの動きもあるだけに、今後、充実が期待される点だ。

記事の内容自体は間違っていないだけに、医者の悪を記事が暴く的な見出しや「医者が決して教えてくれなかった」の文言が残念だ。


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