2014/11/11

TKA(人工膝関節置換術)の在院日数短縮は、再入院率の増加と関係ない(Clin Orthop Relat Res. 2012 Jan;470(1):166-71)

先日聞いたセミナーでTKAやTHAの在院日数は、もはや『日数』ではなく『時間』であると聞いた。そのドクターのいるアメリカの病院では、今年の目標は60時間で、すでにそれを切る水準に達したため、来年は50時間を目指すとのこと。

50時間??

驚くのはそれだけではない。術後、その日の晩御飯の前に歩くらしい。それが基準となっているとのこと。

再入院率が増えたり、後方病床での在院日数が伸びていないのか、という疑問が湧くに違いない。前者はPubMedに載っている論文が参考になる。
上の論文の結論は、TKAの在院日数短縮は再入院率の増加と関係ない。再入院の最も多い理由は心疾患であり、再入院率低下にはそのコントロールが重要と書いてある。

後者の後方病床の件では、Skilled Nursing Homeや、Home Nursingの利用状況について説明していたが、やはり問題となっていなかった。さらには、患者満足度も向上していた。

在院日数短縮を目指すだけではなく、様々な指標を同時に見ることで、適切な医療が行われているか判断できるよう努力している様子が非常に良く理解できた。

日本では短い病院でも1週間、長いところではリハビリテーション目的の入院期間も合わせ1ヶ月以上入院するケースもある。それとアメリカの50時間を比較するのは間違っているのだろうか。あっているか間違っているか正解を探すことは不毛かもしれない。
ただ1つだけハッキリと言えるのは、まだまだ短縮の余地があることは確実だろう。

そして、多面的評価を行い、改善を実行していく病院の取り組みは、非常に参考になることが多かった。