2014/01/23

データドリブンな医療で重要性を増すコミュニケーションスキル

現代の医療には、血液検査、レントゲン撮影、CT、MRI、超音波検査といった様々な検査・画像撮影がある。

ニュースなどでも「血液から○○がんの早期発見が可能になりました」といった話はよく聞くものだ。(下記は、先日流れていたニュースの一例)

唾液・血液でなりたてがん発見…経産省開発支援 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

技術の進歩で、検査精度は向上し、レントゲン撮影やCTなどの世界では、自動で病気を判断するといった芸当も可能になってきている。変わったところでは、先日の日経新聞に載っていた「舌診」だ。舌診はおそらく珍しいのだろう、さすがに自分も初めて聞いたのだが、様々な自動分析の研究が進んでいる。


また、医療において「ビッグデータ」という言葉もよく聞くようになった。以前ブログでも書いたかもしれないが、だからといって、医師の診察が要らなくなるといったことは想像できない。これからの医師は、膨大な知識や経験を持っていることに対する価値は相対的に低下し、一方で、コミュニケーションの巧みさの価値が増すのではないだろうか。

医師が病気の判断に必要な情報は、血液検査やレントゲンだけでなく、五感を研ぎ澄ませ得られる身体の情報や患者の日々の生活習慣だったりもする。いくら自動で情報を得られる仕組みがつくられたとしても、最後に残るのは、患者の悩みなどを思い浮かべ、想像力を働かせ、情報を引き出す能力、つまりコミュニケーションスキルだ。これすら、コンピューターでシステム化できるとなると話は別だが、ビッグデータが・・・などと言っている間は、その元となる情報を引き出すコミュニケーションスキルの重要性が注目されるに違いない。

コミュニケーションは一方通行ではない。スキルを身につけるべきなのは、医師だけでなく、患者もである。医師も患者もベースとなる知識・情報が必要なことと、コミュニケーションスキルが重要なことを模式的に示したのが下の図だ。ここで書いている「ヘルスリテラシー」については、また別の機会に触れたい。