2017/05/17

大学進学時の他都道府県への流出を止めることと病院経営の関係性

先日、東京一極集中の話題を書いた(本記事の最後にリンクを載せました)。
4月に開催された平成29年第6回経済財政諮問会議の資料(資料2-2 人材への投資に向けて(参考資料)(有識者議員提出資料)(PDF形式:533KB))によると、私立大学は中小規模のところほど経営が厳しくなっているとのこと(下記は会議で引用された資料の元資料)。

大学類型別(都市⇔地方、中小規模⇔大規模)の収支状況
出所:私立大学等の振興に関する検討会議(第1回)資料 2016/4/13開催

経営が厳しい背景には、中小規模の大学ほど定員充足率が低くなっていることが挙げられている。経済財政諮問会議の議論では再編の必要性の意見なども出ていたが、地方創生の観点で言えば、大学進学時の東京への人口流出が大きな問題だろう。

流入・流出率で見れば、東京、京都へ大幅流入。福岡や大阪、愛知、宮城等の地方の中核都市は流入傾向を示しているものの、大半の道県は流出している状況である。率でなく、人数で見ると、東京一極集中が明確になる。

大学進学時の人口流出率
出所: 平成28年度 学校基本調査を基に作成

大学進学時の人口流出数
出所:同上

このような状況を変えるには、地方の努力だけでは限界があり、国全体で考えるレベルの事象である・・・ということは先日も書いたとおりだ。

静岡市の取り組みは興味深い。これをささやかな抵抗と捉えるか、画期的なアイデアと捉えるか。正直、効果のほどは疑問だが、ただ指を加えて待っているのではなく、流出を止めるための努力をしている様子が伝わってくる。

そうか 「新幹線」 という手があった!~県外大学等への通学をサポートします:静岡市 そうか 「新幹線」 という手があった!~県外大学等への通学をサポートします:静岡市
病院の将来構想は、こういった取り組みと連動する・・・と言いたいところだが、新幹線通学レベルでは焼け石に水で、人口動態や病院の将来構想を見直すほどのインパクトはないだろう。しかし、本質的なところでは、地方創生と病院の将来構想は密接に関係するものであり、病院の将来構想、つまりは病院経営の問題事として、地方創生の議論を無視してはいけないと考えている。

以下、参考。

静岡市の事例と類似の新幹線通勤補助のニュース記事
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学生の職業選択の自由について考えさせられる記事
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先日ブログで書いた東京一極集中の話題
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