2013/03/31

がん対策、量から質へ

金曜日、今年度最後のがん対策推進協議会(資料はこちら)を傍聴してきた。

患者QOL評価指標についての方向性を確認する非常に重要な回であったと思う。これまで、国民にとって幸せに繋がっているという確信を持ち、医療技術の進歩と医療者の努力によって歩んできたがん医療は、医療者の視点において着実に進歩してきた。とは言っても、難治性のがんがあったり、個々にフォーカスをあてれば、治療もむなしく若くして亡くなる人もいたり、化学療法で副作用に苦しむ人もいたりする。

そんな中で、今回の協議会で推進することが決まった患者QOL評価指標は、患者視点での評価をし、それを社会にフィードバックすることで、今後、医療は医療者視点と患者視点の両輪で改善を進めていくことになるだろう。また、この協議会での議論は、患者団体の委員からの積極的な意見が反映されていることも大きな意義がある。

すでに患者満足度調査をしている医療機関は多いが、ここまで踏み込んだ形で患者受療経験・体験を評価することはしていないのではないだろうか。これは患者や患者家族の心情を配慮したり、患者と医療者との関係性に配慮したりする結果、踏み込めないと判断する医療機関もあるはずだ。それだけに協議会でも、慎重に進めるべき、配慮すべきといった意見も多く出ていた点は、現在、医療機関が行なっている調査でも参考にすべきだろう。

協議会の最後、門田先生がある委員の言葉を借りながら「量から質へ」と総括されていた。これまで、がん医療は治療件数、手術件数といった医療の提供量・ボリュームによって、拠点病院に認定され手厚い支援がなされてきた。病院の数が8,000以上もある日本において、拠点病院の指定は病院間の連携体制の構築や症例の集積化に貢献していることは間違いない。しかし拠点病院間での診療レベルのばらつきが指摘されたり、件数の評価では十分でないことも事実だろう。また、小児がんや希少がんのように集積化が十分でないがんがあることも課題のひとつである。そのため、質的な評価・改善目標を打ち立てることは、今後のがん医療の進歩に必要不可欠である。これががん対策における「量から質へ」の転換であり、がん医療のみならず他の医療も同様であると思うが、まずは重点的にがんから取り組む、ということであろう。

なお、患者団体の委員が指摘していた点に「教育」があった。質の向上には患者教育も重要であり、どういった内容をどのようなタイミングで教えるかということは、今後大きなテーマになるだろう。教育は知識だけでなく死生観のような道徳的・宗教的な要素も絡んでくるだけに、単純ではないと思うが大切である。ちょうど今月は大腸がんを良く知ろうというキャンペーン「ブルーリボンキャラバン」が行われていた。こういった取り組みも益々活発になっていくであろう。参加する、興味をもつといった誰でも簡単にできることから取り組んでいくべきかもしれない。


2013/03/28

はっきりとした毎日???


「発想力を高めたい人に」、「いつまでもはっきりとした毎日を」

すごいなぁ。飲んでる人がこのキャッチコピーを考えているのだと思うが、はっきりとした毎日??って何だろうか・・・。

この手の健康食品はみんなこんな感じなので、あえて特定の商品を取り上げて否定するつもりはないが、さすがに・・・である。また、このコマーシャル動画を見ていたら「マグロなら9人前。毎日は無理!」と言っていたが、何で青魚で換算しないのか??と思った。それでウェブサイトを見たら、案の定「イワシなら40g」って小皿に盛られたお刺身になっていた。これなら『毎日食べられそう』である。

健康食品のコマーシャル、すべてが悪いとは言わないが、情報を取捨選択できない弱者が買ってしまう実態を間近で見ているだけに、どうしたものか・・・と考えずにはいられない。

この商品、成分はEPAとDHAでありコラーゲンとかに比べまだマシな部類だと思う。さらに作っているのは会社名を聞いたら知らない人はほとんどいないであろうサントリーであるのだから、まともな方だと思うのだが、こんな宣伝をしていることがちょっと残念。

ちなみに、Yahoo!のリンクから飛んだコマーシャルはこちら

ここ3日ほど、仕事が溜まっていて寝る時間が減って、どうも「はっきりしない日々」である。よーし、これ買って、はっきりするぞ!!!

2013/03/27

はり、きゅう、マッサージ、健康保険は使えるのか?

近所の整骨院の前を通る度に思うのだが、いつも繁盛している。(ちなみに自分はあまり身体が凝ったりしないので、さっぱり縁がない。)

以前、鍼灸師の方にヒアリングする機会があり、鍼治療の持つ力は大きな可能性を秘めているとのことだった。特に、妊婦さんのような、西洋医学では薬物治療の選択肢が限られてしまう人たちにとって、鍼灸であれば、あまり影響なく、施術ができるとのことだった。

また、「逆子」と「針治療」の相性はかなり良いことで有名だそうだ(まったく知らなかった)。病院によっては、鍼灸外来といった名称で専門の窓口を用意しているところもあるらしく、そんなに珍しいことでもないようだ。

高齢化の進展とともに医療費の増大が止まらない現状において、このような鍼灸や柔道整復は医療費を増加抑制に貢献する可能性を秘めている。貢献してもらうためにも、まずは、一般市民が鍼灸治療などを知らなければならない。健康保険を使えるかどうかはダイヤモンド オンラインの記事が詳しく書かれている。整骨院では健康保険を使えるケースもあると知っていれば、これまで利用したことがない人でも、立ち寄る機会ができるかもしれない。

ただ、1点きになることがある。

出所: 厚生労働省 第2回社会保障審議会医療保険部会柔道整復療養費検討専門委員会 3/26 資料
この上のグラフは、人口千人あたりの都道府県別の療養費の比較である。大阪、和歌山、京都の順に金額が高くなっている。大阪と最も低く抑えられている鳥取県と比較すると実に14倍もの差があるとのこと。さすがに何かおかしくないか?? 鳥取が少なすぎるのか、大阪が多すぎるのか、どちらかはっきりさせることはできないが、大阪での不正請求などのニュースを聞く限り、大阪、和歌山、京都といった上位都道府県は、根本から見なおす必要がありあそうだ。

2013/03/26

IBMが描くコンピュータによる医療

昨日の日経産業新聞の記事。


『米IBM「考えるコンピューター」、ワトソン、医者をお助け、保険事務や臨床診断。』というタイトルで書かれていた内容は、これまで聞いていたものと大差はないものの、確実に進歩している様子が伺える。
医療分野では「急速な進歩で関連情報が5年ごとに倍増している」が、そのうち臨床治療に反映される成果は一部だ。ワトソンを使って膨大な医療関連データから、必要な情報を的確・迅速に引き出すことで、医療現場での大幅な時間短縮や効率化につなげるのが狙いだ。 (中略) 
IBMは2011年に米保険大手ウェルポイントと、12年にがん治療専門のメモリアル・ソラン・ケターリングがんセンター(MSK)と組み、保険事務と臨床診断を焦点にそれぞれプログラムの開発を進めてきた。  この日発表した2つのプログラムのうち、より商用化が近いのがウェルポイントと開発した保険請求手続き簡略化に関するシステムだ。  出所:2013/3/25 日経産業新聞
この記事にも書かれているように、IBMは保険会社(ウェルポイント)と病院(メモリアル スローン ケタリング)と組んで、プログラムの開発を進めてきたことは、独自性があり、他の追随を許さない有益なものになるかもしれない。新聞では細かく触れられていなかったが、NEJM等の論文を自然言語処理し、臨床にフィードバックする仕組みは、早かれ遅かれ、スタンダードになるような気がする。

論文検索結果イメージ(弊社作成イメージ)
この図はこれからの論文検索結果のイメージである。自然言語処理が進むと、とある事象に対して調べようとすると、過去に遡って検索され、どういった論文が発表されているか、時系列で、ネガティブかポジティブか、さらにはインパクトファクターや、どの地域での研究か、さらに図では示していないが、症例報告なのか、大規模無作為比較対照試験なのか、メタアナリシスなのか、といった情報が可視化されるイメージだ。PubMedを検索したら、関連性の高い論文がピックアップされるだけでなく、このような可視化がなされると、日本の最新情報はどれを見たら良いのだろうか?とか、様々な情報が見えてくる。しかも、医師が努力して様々な論文を探すのではなく、整理された要約が得られるとしたら、こんなに素晴らしいことはない。

EBM(Evidenced Based Medicine)が診療の基本のひとつとして理解されている現状において、最新情報を得ることは何よりも重要である。そのために医療者が多くの時間を割いていてはいけないのかもしれない。

そして、論文だけでなく、様々な情報ソースから、患者向けに上記イメージを作ることはできないだろうか。患者理解を深める仕組み、何とか考えて行きたい(上記イメージ、実のところ、元々は患者向けで構想を練っていたのだが、この日経産業新聞の記事を読んで、医療者向けにもいいかな、と思った次第である)

「医療のあり方を変える」と言っているIBMの取り組みは、決して歩みを止めないだろう。日本でもどういった動きが起きようとしているのか、注目して行きたい。

2013/03/25

日本の風疹流行、海外の渡航者向け情報でもアラートが

以前、風疹が関東で流行という話題をブログに書いた(3月1日)

国立感染症研究所 風疹発生動向調査 2013年2月11週
その後、収まるどころか、勢いは増すばかりで、去年までとは比べ物にならない状況だ。上のグラフは累積報告数の推移であり、黄色の2012年は年末にかけ、多少傾きが緩やかになったような気もしたのだが、今年の赤色の推移は、かなり急激である。

海外の旅行者情報サイト http://www.traveldoctor.com.au/Article/Alerts/Asia/Rubella-in-Japan
上記のような日本への渡航者向け情報でも、かなりアラートが発せられているようだ。

国内での感染地域の拡大は、首都圏から帰った人が持ち帰っている可能性も指摘されている(NHKニュース 首都圏から戻って発症(2013年3月19日))。諸外国もこういった状況には敏感になっているに違いない。4年ほど前、新型インフルエンザで特定の国からの航空機で搭乗者全員が機内で検査を受けたことは記憶に新しい(風疹ではこういった事態になることはないだろうが)。新幹線や飛行機などの国内外の移動手段の利便性が増すことは、感染症における地域的な境目が無くなることを意味している。そして、今、春休みに入り、人の移動が活発になっており、ますます注意が必要と思われる。

以前も紹介した厚生労働省のサイトは何かと役立つのではないだろうか。情報は確かな、信頼できるところから得て、適切な判断を。余談だが、このサイト、ポスターが増えた気がするのは気のせいだろうか。

副作用の情報、まともに報告・収集されていなかったのか?

先週のニュースより。
総務省は22日、医薬品の副作用が疑われる事例の報告を医療機関に徹底させるよう厚生労働省に勧告した。薬事法は厚労省への報告義務を規定しているが、総務省が行った調査で報告を怠っている病院があることが判明したため。
総務省には各省庁の業務を調査したり是正を勧告したりする権限がある。同省が2008~11年に全国の23病院を調査したところ、5病院で副作用情報を厚労省に報告していなかった。総務省は「治験データだけでは安全性の確認に限界があるため、製造販売後の副作用情報の収集が重要だ」と指摘している。
 
出所:日本経済新聞 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG22014_S3A320C1CR0000/
上記ニュースの赤字部分、総務省が指摘しているものの、この重要性は厚生労働省が一番認識しているはずである。いったい、こういった報告を怠っている病院がどのくらいあるのか。4年間かけて調査した23病院のうち報告を怠っていたのは5病院。ということは、全国にある病院を8,000病院としたら・・・、恐ろしい。

厚生労働省では、費用対効果が・・・といった議論をしているが、まずはこういった情報収集と開示が最優先されるべきなのではないか。(そもそもの前提が怪しいのに、いくら議論をしたところで、有益な結果が得られるとはとても思えない。)

総務省が業務を調査し、是正勧告するという機能を初めて知った。消費者庁なんてのもあるが、患者視点で厚生労働省の業務を見直してくれはしないのだろうか。

2013/03/24

花見



この週末、ちょこちょこ仕事をしつつも、桜が満開と聞けば、いてもたってもいられない・・・。 ということで、近所の仙川や砧公園に桜を見に行ったりした。(砧公園には水曜にも行ったのだが、この時期は何度行っても楽しめる)
今日が一番の見頃なのではないだろうか。風がなければ寒くもなく、満開の桜を楽しめる。あとはお酒でも・・・と言いたいところだが、昼間から飲むと一日使い物にならなくなってしまうので、ぐっと我慢。

それにしても、今日は混んでいた。

たまには医療と関係のない話で・・・と思ったが、公園に行く途中で通りかかった近所の病院の前でもパチリ。病院の前の道も満開だった。

2013/03/20

経過措置がそろそろ終わる「初診料の減額」、いったいどこの病院が

24年度の診療報酬改定で初診料270点が、下記の要件を満たす場合、200点に減額される制度が、いよいよ来月からスタートする(逆紹介して外来受診した場合の減額も)。これに合致する施設がどのくらいあるのかという点も興味がある。

初診料 200 点(紹介のない場合)

[算定要件] 
  1. 紹介率が 40%未満の特定機能病院及び 500床以上の地域医療支援病院において、紹介のない患者に対して初診を行った場合に算定する。
  2. ただし、1の要件に該当する医療機関であっても、逆紹介率が 30%以上の場合は、当該初診料は算定しない。

  • ※ 紹介率及び逆紹介率の計算については、下記のとおりとする。 
  •  紹介率 = (紹介患者数+救急患者数)/ 初診の患者数 
  •  逆紹介率 = 逆紹介患者数 / 初診の患者数
[経過措置] 紹介率の低い特定機能病院及び 500 床以上の地域医療支援病院において、 紹介なしに当該病院を受診した場合の初診料の評価を導入するのは、平成 25 年 4 月 1 日とする。

しかし、この制度、ペナルティとしてはあまりインパクトがない可能性が高い。というのも、とある病院で試算したところ、外来単価に与える影響は非常に軽微で、外来患者数がわずかに増加すればカバーできる(1%未満の増加率で十分なケースも)見込みであった。また、患者視点で考えると、紹介状なしで上記条件に合致する病院に行けば、割安になる制度である。
さらに、選定療養費のことを考えると、もはや無意味な制度としか思えない。選定療養費を700円アップさせれば、病院にとってはこの制度自体が完全に形骸化し、患者も自己負担ではわずかに増えるものの、影響はほぼ無いといっても過言ではない。(その点では逆紹介後の外来診察料はまだ合理的)

フリーアクセスである日本の皆保険制度。その制度を維持しつつ、医療資源を有効に活用するためにコントロールするには、以前ブログでも書いたが、外来のペナルティについては、入院料の減額など、これまでとは発想を変えた制度を検討すべきではないだろうか。

いずれにせよ、経過措置が終わり、4月1日から開始するこの制度、注目である。

2013/03/19

医者は1年のうち3週間は事務作業をしている

  • 1日に43分

  • 1週間に3時間

  • 1年で3週間

1日に40分と言われるのと1年で3週間と言われるのでは受け取り方が変わってくる。3週間の休みであれば、南の島で優雅にバケーションといった選択肢もあり得る。

CMSのE-Healthの紹介ビデオで、医者がいかに事務作業に追われているかと述べている。それを改善するためにも、事務作業の単純化・標準化が必要であり、記録の電子化は必須であると言っている。

 

日本でも電子カルテ、オーダリングシステムの普及は広まっているものの、事務作業から開放された、圧倒的に楽になった、という話はなかなか聞かない。システム導入ありきではなく、作業効率化の検討や医師事務作業補助者の活用など、本来あるべき姿というものを考えなおしてみてはどうだろうか。

ちなみに1年で3週間という話の論文はこちら  https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19443477 (2017/1/30 リンク切れのため更新)

2013/03/18

コンサルのイメージ

○○コンサル、という名前。経営コンサルとか人事コンサル、営業コンサル、ITコンサルといった業務の切り口だったり、製造業コンサルとか保険コンサル、医療コンサルとか業種・業態を切り口にしていたり、さらには、就活コンサル、転職コンサル、結婚コンサルとか、イベントを切り口にしていたり様々ある。世の中に悩み・課題があり、知識・経験の移転が価値を生むのであれば、それを生業にできる。実際、もう何でもありなわけで、産後ケアをしている人が「育児コンサル」はまだしも、占いをしている人が「開運コンサル!?」とか。成功するかどうかは別として、開運コンサルなら明日から始められそうだ。
この○○コンサル、このように様々な言葉が頭に付くが、これまでのものとは少し毛色の違う種類で、悪徳コンサル、というのがある。「悪徳」が頭に付く言葉、他には悪徳商法や悪徳業者などがパッと思いつく。どれも、何か悪いことを企み、そそのかしているのでは、というイメージが浮かぶ。

そもそも、コンサルという仕事については、社会人になり、最初の研修を一緒に受けた山村のブログが非常に整理されている。(こういう整理ができる奴が羨ましい)

山村のブログ記事はこちら ⇒http://next-change.blogspot.jp/2013/02/blog-post_17.html

シンプルな例で説明してみる。クライアントが経営的に困っていて、いかに収益を上げようか相談を受け、色々考えた結果、100万円新たに稼ぐ方法が3つあったとする。

  • 1つ目は血のにじむような努力が必要な方法
  • 2つ目は手間はかからないものの100万円稼ぐには1年以上時間を要する方法
  • 3つ目は合法か違法かといえば合法だが、倫理的に明らかに問題がある方法

コンサルタントとしての能力というのは、3つ思いつくこと自体に価値がある場合と、解決方法に付加価値をつけるか(1つ目の血のにじむような努力をいかに負担軽減させるか、2つ目の1年以上時間を要するものをいかに期間短縮するか、3つ目の倫理的な問題をいかにクリアするか)だと思っている。

各クライアントの状況を理解した上で、解決方法にいかに価値を付けるかがコンサルタントに求められていることだと思っている。この価値を付ける作業を怠ってしまうと、クライアントは勝手な判断で、3つ目の倫理的に問題のある手法を選択してしまうかもしれないという自覚がコンサルタントには必要である。

先日公表された厚生労働省 中医協のDPC評価分科会の議事録に、以下のようなくだりがある。
藤森委員のコメント抜粋:「診療密度のところで後発品を使うと診療密度が下がるので、使わないほうがいいですよということを言って歩いているコンサルティングがどうもいるようで、ですからぜひこれは全部先発品に置きかえて再計算をするということをしないと、せっかく医療機関は後発品に置きかえる努力をしているのを無にするところがあるのかなと思います。技術的には大変かもしれませんけれども、そのような手当は必要なのかなと考えておるところです。」
こんな”悪徳”なコンサルがいるのか!?と思ってしまうが、おそらく事実なのだろう。診療密度の評価を高めるには、医療資源を多く投入しなければならない患者を集めることに他ならないのだが、そのコンサルの提案は先発品を使え、というあまりにも愚かな話である。消費税増税など社会的制度・環境に左右されない強固な経営体制を構築していく上では、そういった狭い視野での提案は非常に残念である。また、「診療密度の評価向上」と「先発品使用の財務的負担増」を天秤にかけた適切な判断がなされているか疑問もある。

こういった「コンサル」には、速やかに退場いただきたいものだが、なかなかそうはいかないようだ。自分は、悪徳と呼ばれないよう努力するのではなく、知識・経験の獲得と付加価値向上に努め、結果、悪徳でなくても生きていける人間を目指したい。

余談だが、議事録に、相川委員の発言でDICのことが触れられている。何を基準として判断するかが臨床の現場と乖離している点があるとの内容だが、この件はDPC関係なく自分も聞かれることが多い。レセプトの査定もそうだが、制度を良くするために、現場の声をもっと効果的に吸い上げる仕組みというのが必要なのかもしれない。

2013/03/15

書評: メディカルタウンの自分力

以前、健康増進外来という本を紹介した(紹介したブログはこちら)。非常に感銘を受けた本であり、日々の生活・仕事の中で、こういった考え方・取り組みをされている方がいることを知ってもらうか、そして、何か自分でもできないか考えている・・・といっても、大したことはできていないが。

そんなことを漠然と考えていた時に読んだ本が、この表題にある「メディカルタウンの自分力」という本だ。

この本は、「30年後の医療の姿を考える会」の市民公開シンポジウムの内容をまとめたもので、健康増進外来の著者である佐藤先生の講演も含まれている。(佐藤先生の講演については、健康増進外来の内容と重複する内容も多い)

各演者の講演内容がバラエティに富んでおり、また、実際の体験・経験に基づくものが多いだけに、非常に興味深いと感じるとともに、自分の勉強不足を痛感させられた。

医療だけでなく、介護も含めた、コミュニティでの生活、生きるということは、個々人が受け身でなく、自らの力を出して行かなければいけないということを感じた。デイサービス、デイケアにしてもそうである。こちらが良かれとおもって、ご年配の方に手を貸したり、作業をしてあげてしまったが、もしかしたら相手が生きがいを奪っている可能性はないか、という思慮に欠けていたかもしれない。個々人が力を出しやすく、生きがいを感じるような環境を作ることが大事であり、また、個々人が生きていく上で必要な賢さを身につけなければならないと思った。教育にも言及している箇所があるが、いろいろ考えさせられることが多い本である。パネルディスカッションの中で、柳田邦男氏が聖路加の副院長の細谷先生の俳句を紹介し、医療者は広い視野が必要であると話されている箇所も、これまでの医療、医療者の教育、市民の医療への関わり方を考えさせられた。

この本。ぱらぱらと読み直しながら、改めて、多くの知識が得られるわけでもなく、驚きの発見の連続があるわけでもなく、革命的な医療の話があるわけでもない。ただ、ひたすら考えさせられることの連続である。ぜひ、医療者に限らず、読むことをお勧めする。

2013/03/14

fitbit、ソフトバンクが販売開始!!

ソフトバンクがfitbitの国内販売を開始するとのこと。
これまで、並行輸入や個人輸入しかできなかったことを思うと、喜ばしいことだ。

ソフトバンク社のプレスリリース
携帯の価値を高める施策として、「健康」というのは、大きなキーワードだと思う。ソフトバンクは、こういった活動に、地道に取り組んでいる印象だ。というのも、実は、昨年夏、fitbitではない、とあるアメリカのヘルスケアデバイスのベンチャーに、日本での販売予定・提携予定を質問したことがあり、そのときの回答が「ソフトバンク社と交渉している」というものだった。どこも手をつけていないようであれば、自分が提携しようか・・・と妙な希望を抱いたものの、ソフトバンクの名前を聞いた瞬間に、しゅーんとしぼんだことを覚えている。

さすが、ソフトバンク!!(携帯はイー・モバイルだけど)

2013/03/12

薬剤師の涙ぐましい仕事

「薬局にいて、薬を処方してくれる人」、「薬に詳しい人」、「ドラッグストアで白衣を着ている人」。薬剤師といっても、大半の人はこんな印象ではないだろうか。

マイナビニュースに出ていた、薬剤師にまつわる話→リンク切れのため別サイトを紹介 高給なの?薬剤師の興味深い話 - ライブドアニュース
――薬剤師は給与が良いという話なんですが……。

誰がそんなことを言ってるんですか(笑)。そんなことないでしょう。普通だと思いますよ。先日、近所であるチェーン調剤薬局の「薬剤師募集、年収は新卒600万、経験者650万」というチラシがありましたが。

――今、日本のサラリーマンの年収が400万円ぐらいですから、600万円だったら平均収入以上ですよ!

いや、そこぐらいまでしかいかないってことですよ(笑)。薬剤師で年収1億円とか聞いたことないですもん。「夢がない」とも言えますよ。
出所:マイナビニュース →リンク切れのため別サイトを紹介 
高給なの?薬剤師の興味深い話 - ライブドアニュース

「夢がない」という言葉はあまりに悲しい。サラリーマンはみんな夢がないように聞こえてしまうインタビューに思えてしまう。もちろん、薬剤師という職業、夢がないわけではないどころか、日本調剤を創業した薬剤師の三津原博社長は、他の上場企業を差し置いて、非常に高給(報酬総額は6億を超えており、日本調剤の大株主でもある(出所:平成24年度 有価証券報告書))であるくらいなのだから、夢があるように思う。

むしろ、夢がないのは、薬剤師がしている仕事の内容ではないだろうか。誰しも、つまらないけど、やらなければいけない作業や、単調・単純だけどミスは許されない作業など、少なからずあるとは思うが、薬剤師の知人の話を聞いていて、極めてアホらしい作業の筆頭が「除包作業」だ。

除包作業とは、PTPシート(左の写真)から錠剤・カプセルを取り出す作業のことで、1日にこの作業を続けていると、腱鞘炎になってしまう人もいるらしい。

そもそも、せっかくシートに包装されているものを取り出さなければいけないのか。これには「一包化」という仕組みが大きく関係している。一包化は、服用時期(朝食前とか、寝る前とか)が同じ薬を、まとめて一つの包みにしてあげることで、例えば、1回に3種類の薬を飲まなければならない人にとって、飲み忘れを防いだり、1回で飲む錠数間違いを防いだりすることができる、ありがたい仕組みである。

この一包化作業のために、さきほどの除包作業が発生しているのだ。手で1錠、1錠出しているのだ。まさか薬剤師がこんなことをしているなんて・・・。(間違いが許されない点を除けば、子供にそら豆の皮をむかせたりするのと同レベル。もちろん、その間違いが許されない点が最重要なのだが)

さすがに、この単純作業、自動化しないわけはなく、こんな機械も売られている(http://www.nyk.gr.jp/product/01_01_06.html →リンク切れのため別サイト紹介 PTP除包機 パラスター : 中洲電機株式会社)。そして、一包化の作業まで自動になったこんな機械も登場している(キャノンライフケアソリューションズ 錠剤供給ユニット E-DROP http://www.canon-lcs.co.jp/service/machine-healthcare/pharmacy/lineup/e-drop/top.html)。この機械の紹介サイトでは、動画もあるので、興味があればぜひ。

このような涙ぐましい作業をしていては、正直「夢のある」仕事とはとても思えない。さらには、この一包化の作業、薬剤師の無料奉仕ではなく、しっかりとその対価が支払われている。こういった医療の質の向上には、必要と思われる費用の負担は致し方ないと考えるべきだと思うが、これらの作業を薬剤師がやらなくてもよいのでは・・・と思ってしまう。医療費の増大は、今後ますます厳しくなることが確実であり、また高齢者が増えることは、服薬のミスを防ぐといった質の向上の重要性も増してくる。そのような中で、薬剤師の作業も有資格者と無資格者の作業の境界線を明確にし、質の向上と経済的な効率性の両立を追求していくべきではないだろうか。

規模の小さいところから大きいところまで全薬局がこのような機械を導入することが、その唯一の答えではないと思う。無資格者の活用など、自由な発想ができるような規制・規則の改訂と、さらにその改訂とあわせ、現状において実態の不透明な無資格者の調剤作業を厳しく取り締まる制度も設けるべきではないだろうか。調剤の質の向上と、財政的な効率化に対するインセンティブを与えることが「夢のある」薬剤師へのひとつの道だと思う。(もうひとつの道は、服薬指導への期待)

2013/03/09

予算委員会がおもしろい!!(医療への株式会社の参入)

昨日、3月8日の衆議院、予算委員会の一幕。
※登場人物の答弁は、速記者じゃないので大まかな意味で受け取って欲しい


みんなの党 江田憲司議員からの質問
「病院経営になぜ株式会社が入れないのか?」

田村厚生労働大臣
「参入・退出の自由、また、保険の制度の上で、株式会社は利潤の最大化を考えると、問題になりかねない。DPCを導入しているところが増えているとはいえ、出来高で取る部分はやったらやった分だけ取れるので医療費が増大しかねない」

江田憲司議員
「突然ですが、麻生財務大臣。麻生飯塚病院という病院は、田村厚生労働大臣がおっしゃるような問題だらけの病院なんでしょうか?」


麻生財務大臣
「今まで聞いた質問の中で、最も鋭い角度からの質問・・・」(以下、略)

麻生大臣の答弁に、予算委員会の部屋は爆笑に包まれた。
これは文字で書き起こすと伝わらないので、動画を見てもらいたい。

3/8予算委員会の中継録画

上記のリンクを開き、江田憲司議員のところから見始め、スライドバーを6時間31分にあわせて見ていただきたい。40分までの約9分くらいが、その爆笑に包まれる答弁である。
いやぁ、おもしろい。(しかも、話の内容は非常に重要なテーマである)

2013/03/07

日経テレコンでMDV??

今週、日経テレコンを使っていて、何だか見覚えのある文字が並んでいるなぁ・・・と思ったのだが、やはり気になってしまい見てみたら、あのMDVだった。といってもあまり伝わりにくいだろうが、あのMDVである。

MDVからのプレスリリース

詳しくは、このプレスリリースを見ていただきたいが、要は、日本中の急性期病院から集めたデータを加工して、コンテンツとして販売しているのだ。病院からしたら、高いお金を払って、データを提供、そして分析してもらっているのだが、そのデータを使って、さらにお金を儲けているという批判をしたくなる気持ち、分からないでもない。

しかし、そのデータ収集、および、そのデータに対する加工に価値があるならば、話は変わってくるのではないだろうか。もしかしたら、データ・コンテンツの販売によって、病院の分析のフィーが下がるかもしれないし、販売の収入が大きくなれば、下手したら、データボリュームに応じてディスカウントなんてこともあるかもしれない(普通の分析だけなら、むしろ逆で、データボリュームに応じて、費用がかかる)。

このビジネス、国はまったく同じデータを持っているだけに「開示します」と言った瞬間に終わるに違いない。そこで大事になってくるのは、加工で付加価値を増すことだ。同日のMDV社のプレスリリースにて、MDV EBMデータベースを用いた研究が紹介されていた。こういった形で、価値ある活用を検討する力が問われるに違いない。

ちなみに、この話、もともとは患者の入院情報(外来情報)である。活用次第では、データは宝にも、ゴミにもなる。国は、このDPCデータに限らず、医療関係のデータを大量に保有している。活用の検討もなされているが、なかなか民間まで開示される予定は見えてこない。ぜひ、産業の活性化、および、医療費抑制の検討のために、積極的な開示を検討してもらいたいものだ。

2013/03/06

地域医療支援病院の制度、いったい誰に向いて決めているのか

「地域医療支援病院(wikipedia)」 一般人には馴染みのない言葉である一方で、医療従事者、特に急性期病院の人であれば知らない人はほとんどいないのではないだろうか。

昨年秋、近所の病院がこの地域医療支援病院の承認を受けた。医療者側の視点で言えば、充実した医療を提供できることに対し、お墨付きをいただけたことを喜んだに違いない。ただ、患者の視点で言えば、突然の値上げであることは、その言葉自体の認知度が低い以上に、知られていない。

知られていないから、ほんのわずかな値上げだと思ったら大間違い。1回の入院で1万円の値上げである(ただし、急性期病院の多くはDPC制度という包括払い制度で算定しているため、1万円とは限らず、入院料の包括部分に3%弱の係数がかかる。詳細は省略)。病院にしてみれば、この値上げで、年数千万から数億円の増収になるほどのインパクトがあるのだ。

そして、この値上げ。病院が嬉々として「地域医療支援病院の承認を受けました!」と報告しているのだ。もちろん病院には悪意は全くない。つまり、医療者は良心のもとにこの地域医療支援病院の承認を目指し、日夜努力しているのであり、このことはもっと多くの人が知るべきことであろう。この地域医療支援病院とは、地域のかかりつけ医などと連携し、より効率的な質の高い医療を提供する努力に対する報酬であり、日本の医療制度において医療費が増大一方の中、急性期医療を効率的にするインセンティブを与え、医療費を抑制しようという仕組みなのだ。つまり、「突然の値上げ」ではなく、「報われていなかった努力に対する正当な評価」に近いものだ。地域医療支援病院の制度、これはもっともっと市民が理解すべきことだと思う。かかりつけ医を持ち、急性期医療の医療資源(人的資源、財務的資源)を有効活用することに対し、真剣に考えなければいけないと思う。
日医総研 ワーキングペーパーNo.274 

先日、日本医師会総合政策研究機構ワーキングペーパーにおいて、この地域医療支援病院に関する都道府県医師会のアンケート結果がまとめられていた。(日医総研のワーキングペーパー、興味深いものが多くまとめられている。かなりオススメ)

非常に興味深い結果、コメントがあったので、ぜひご覧頂きたい。特に現状の制度・報酬のあり方は見なおすべきという意見も多くある。また、承認後の都道府県から医師会への情報提供の点でも、医師会は情報が提供されない、満足していないという回答が多く占めている。すでに地域医療支援病院の承認を受けている病院だけでなく、制度ありき・報酬ありきで地域医療支援病院の承認を目指している病院も、本来の目的である患者・市民のための地域医療を支えることとは何かを考えなおすよいきっかけとなるのではないだろうか。


なお、厚生労働省でも、この地域医療支援病院の承認のあり方については議論している。昨年夏に議論をし、実態調査を行った後・・・と言っていたが、まだ次の会が開催されていない。こちらの動向にも注目して行きたい。

2013/03/04

花粉症にガイドラインなんてあるの?

「花粉症」という限定的なものではないが、鼻アレルギー診断ガイドラインというものがあり、改訂第7版が今年の1月に出版された。花粉症のピークに間に合ったといったところか。

そのガイドラインの中身は、専門的なものなだけになかなか手が出ないものの、クリニカルクエスチョンなど、意外と読むと参考になる情報もある。また、ダイジェスト版として簡潔にまとめたものを600円で販売していたり、一般人向けにガイドとして絵や大きめの字で書かれたものも600円で販売している。ダイジェスト版は良く見かけるが、一般人にまで向けたものを同時に作成している点は非常に好感が持てる(2013年版以前から作成されている)。

ガイドラインを引用しつつ、最近の動向を整理したものを、下記にまとめた。

花粉症の時期、沖縄のマンスリーマンションを借りて、スギ花粉から逃避する人もいるらしいが、正しい情報で、適切な治療・対処をすることで、楽に過ごしたいものだ。
また、上記資料では、ガイドラインで言及していない民間療法にも触れた。民間療法はハッキリとしたエビデンスがないだけに、それだけに頼ることは非常に危うい。特に、手軽な食品・飲料の類いは、商売として「売りたい」側の思惑を差し引いて、判断・摂取すべきかもしれない。過度な期待は厳禁だ。

まだ花粉症にかかっていない人も、他人事ではない。また、自分も喘息の持病があり、花粉症はそんなに縁遠い疾患とは思えないだけに、様々な情報に目を光らせておきたい。


2013/03/01

関東で風疹が流行。妊婦は特に注意を

去年の夏くらいから、流行の話はあったが、ここに来て、東京、神奈川、千葉で流行しているようだ。
国立感染症研究所 風疹発生動向調査 2013年2月7週

今朝のNHKニュースで流れていたようだが、妊婦の感染の確認が相次いでいるとのこと。NHKニュースの記事中に、三井記念病院の医師のコメントで、「妊婦は人混みを避け、周りの人は予防接種を」とあった。人混みを避けようにも、通勤などで避け切れない人もいるだろうし、買い物にスーパーに行くことだってあるだろう。また、外出を避け家にとじこもっていることで、かえって健康を害してしまっては元も子もない。そう思うと、できる限りの努力としては、周りも協力できる対策としてあげられている予防接種を受けることは非常に重要でないだろうか。ちなみに、『周り』というのは、妊婦の家族だけでなく、誰もが、である。少子化と言われている世の中で、子供を大事にする気持ちがわずかにでもあるならば、行動に移せることがある。そんな風に思った。

また、風疹については、厚生労働省も、情報を発信し続けている。その情報によると、

<風しんの定期接種対象者は、予防接種を受けましょう。>
【風しんの定期予防接種対象者】
1歳児、小学校入学前1年間の幼児、中学校1年生、 高校3年生相当の方は、多くの市区町村において、無料で受けられます。
ただし、中学校1年生、高校3年生相当の方は、平成24年度限りです。

また、妊婦を守る観点から、
特に、
 (1) 妊婦の夫、子ども及びその他の同居家族
 (2) 10代後半から40代の女性(特に、妊娠希望者又は妊娠する可能性の高い方)
 (3) 産褥早期の女性
のうち、抗体価が十分であると確認できた方以外の方は任意での予防接種を受けることをご検討ください。


とのこと。Q&Aなどもあるので参考になれば幸いである。ちなみに、マスクの予防効果は定かではないが、東京都のホームページでは、外出時はマスクの着用を、とのこと。できる限りの努力はしたいものだ。

月1回飲めば良い

「1日3回朝昼晩」や「1日1回寝る前に」や「痛くなったら」など、薬を飲むタイミングは様々。例えば、自分が飲む薬(テオフィリン)は1日2回、飲み忘れても決して2回分をまとめて飲んだり、飲む間隔を狭めてはダメ、というものだ。

この薬の飲み方が様々あるのは、薬の成分、効き方などの都合であるのは疑いようのないことであるが、いっぺんにたくさんの薬を飲む人にとってみると、この薬は朝だけ、こっちは朝昼晩、これは夜だけ、と覚えておくのも大変なようだ。

骨粗鬆症の薬、1ヶ月に1回飲むタイプが発売された(アクトネルとベネット)。これまで1日1回、週1回のタイプがあった。しかし、ここまで来ると、もはや飲むことを忘れるどころか、忘れたことにすら気がつけないのではないだろうか、と思ってしまうが、家族に飲ませる側になると、おそらく相当な負担軽減になるだろう。

エーザイ アクトネル



武田薬品 ベネット

ベネットは、フックにかけて保存可能なように、シートにはパンチ穴があいている。おそらく、壁やカレンダーの脇に掛けたりして、飲み忘れを防ぐ配慮がなされている。

薬を、適切なタイミングで、適切な方法で飲まないことには、どんなに良い薬が発売されても、医師がどんなに頑張って診断・処方してくれても、まったく意味がなくなる。それどころか、むしろ害にすらなってしまう。製薬会社の努力により、飲みやすい、飲み忘れしにくい薬が出ていることに感謝して、適切に飲むようにしたい(余談だが、1ヶ月分の薬、いいお値段になっている)