2013/03/18

コンサルのイメージ

○○コンサル、という名前。経営コンサルとか人事コンサル、営業コンサル、ITコンサルといった業務の切り口だったり、製造業コンサルとか保険コンサル、医療コンサルとか業種・業態を切り口にしていたり、さらには、就活コンサル、転職コンサル、結婚コンサルとか、イベントを切り口にしていたり様々ある。世の中に悩み・課題があり、知識・経験の移転が価値を生むのであれば、それを生業にできる。実際、もう何でもありなわけで、産後ケアをしている人が「育児コンサル」はまだしも、占いをしている人が「開運コンサル!?」とか。成功するかどうかは別として、開運コンサルなら明日から始められそうだ。
この○○コンサル、このように様々な言葉が頭に付くが、これまでのものとは少し毛色の違う種類で、悪徳コンサル、というのがある。「悪徳」が頭に付く言葉、他には悪徳商法や悪徳業者などがパッと思いつく。どれも、何か悪いことを企み、そそのかしているのでは、というイメージが浮かぶ。

そもそも、コンサルという仕事については、社会人になり、最初の研修を一緒に受けた山村のブログが非常に整理されている。(こういう整理ができる奴が羨ましい)

山村のブログ記事はこちら ⇒http://next-change.blogspot.jp/2013/02/blog-post_17.html

シンプルな例で説明してみる。クライアントが経営的に困っていて、いかに収益を上げようか相談を受け、色々考えた結果、100万円新たに稼ぐ方法が3つあったとする。

  • 1つ目は血のにじむような努力が必要な方法
  • 2つ目は手間はかからないものの100万円稼ぐには1年以上時間を要する方法
  • 3つ目は合法か違法かといえば合法だが、倫理的に明らかに問題がある方法

コンサルタントとしての能力というのは、3つ思いつくこと自体に価値がある場合と、解決方法に付加価値をつけるか(1つ目の血のにじむような努力をいかに負担軽減させるか、2つ目の1年以上時間を要するものをいかに期間短縮するか、3つ目の倫理的な問題をいかにクリアするか)だと思っている。

各クライアントの状況を理解した上で、解決方法にいかに価値を付けるかがコンサルタントに求められていることだと思っている。この価値を付ける作業を怠ってしまうと、クライアントは勝手な判断で、3つ目の倫理的に問題のある手法を選択してしまうかもしれないという自覚がコンサルタントには必要である。

先日公表された厚生労働省 中医協のDPC評価分科会の議事録に、以下のようなくだりがある。
藤森委員のコメント抜粋:「診療密度のところで後発品を使うと診療密度が下がるので、使わないほうがいいですよということを言って歩いているコンサルティングがどうもいるようで、ですからぜひこれは全部先発品に置きかえて再計算をするということをしないと、せっかく医療機関は後発品に置きかえる努力をしているのを無にするところがあるのかなと思います。技術的には大変かもしれませんけれども、そのような手当は必要なのかなと考えておるところです。」
こんな”悪徳”なコンサルがいるのか!?と思ってしまうが、おそらく事実なのだろう。診療密度の評価を高めるには、医療資源を多く投入しなければならない患者を集めることに他ならないのだが、そのコンサルの提案は先発品を使え、というあまりにも愚かな話である。消費税増税など社会的制度・環境に左右されない強固な経営体制を構築していく上では、そういった狭い視野での提案は非常に残念である。また、「診療密度の評価向上」と「先発品使用の財務的負担増」を天秤にかけた適切な判断がなされているか疑問もある。

こういった「コンサル」には、速やかに退場いただきたいものだが、なかなかそうはいかないようだ。自分は、悪徳と呼ばれないよう努力するのではなく、知識・経験の獲得と付加価値向上に努め、結果、悪徳でなくても生きていける人間を目指したい。

余談だが、議事録に、相川委員の発言でDICのことが触れられている。何を基準として判断するかが臨床の現場と乖離している点があるとの内容だが、この件はDPC関係なく自分も聞かれることが多い。レセプトの査定もそうだが、制度を良くするために、現場の声をもっと効果的に吸い上げる仕組みというのが必要なのかもしれない。