2013/08/20

厚労省でコンパニオン・・・

「コンパニオン」と聞いて、接客業やセクシーなイメージしか浮かばなかったとしたら、今日は反省していただきたい。無論、厚労省のお役人がいかがわしいことをしたわけではない。

今日、話をしたいのは、コンパニオンはコンパニオンでも、コンパニオン診断薬だ。

■コンパニオン診断薬とは

コンパニオン診断薬とは、分子標的薬などを用いたテーラーメイド医療を行う上で、あらかじめ遺伝子情報やタンパク質情報などを調べ、その治療の有効性を確認するために用いる薬のことだ。

第5回医療イノベーション会議資料(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/iryou/dai5/siryou4.pdf)から引用
つまり、治療本体で用いる薬も重要だが、事前検査に用いる薬もセットで必要になる。そのため、治験を経て承認するのは、同時進行であって欲しいのだ。

先月頭、厚労省からの通知(http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/doc/tsuchi/T130702I0070.pdf)で、コンパニオン診断薬について、同時申請の認識を高め、同時承認の妨げとならないよう配慮して欲しい旨がアナウンスされた。同時承認については、すでにポテリジオとザーコリの話があるが、そのことは下記資料に詳しく書いてある。

Shibata Lifescience Report コンパニオン診断薬の同時承認に言及したレポート
http://www.shibataintech.co.jp/wp/wp-content/uploads/2012/12/ShibataLifescienceReport-V0051.pdf
テーラーメイドの医療が進むことは、医療の進歩を感じる部分であり、夢と希望を感じる部分でもある。しかし、これまでのマス向けの医療と異なり、テーラーメイドゆえ、医療費は高額になりがちである。それは治療もそうだが、コンパニオン診断薬も高額なのだ。

■診断結果・検査結果は共有できる仕組みを

高額な検査キットを用いて、遺伝子情報などを把握した情報は、その時点の治療方針の判断に使われることはもちろん、将来にわたって有益な情報である可能性が高い。高額な費用をかけて得た情報だからということもあるが、その情報の価値を正当に評価し、情報を保持できる仕組みが早急に必要だと思われる。この情報は本人のみならずその血縁関係者も含め、様々な疾病の罹患リスクを把握できるかもしれないだけに、機密性の極めて高い情報であることは間違いない。そのような情報を、いかに管理するか。医療機関個別の取り組みではなく、国策レベルの取り組みだと思うが、具体的な検討が進むことを期待したい。