2014/05/23

こどもの虫歯から、相関と因果を考える(第10回、最終回)

これまで、虫歯の未処置歯のあるものを減らすためにはどういった取り組みが有用か検討するため、ひとり親世帯の比率や収入、学力や進学率といった仮説から、ハム・ぶどうといった仮説とは呼べないようなものまで、検証してきた。

しかし、所詮は都道府県単位で平均化されたデータだ。本当であれば、個人個人の虫歯有無に対し、家庭事情、好き嫌い、様々な物の購買データ、学歴、行動習慣等の情報をぶつけ、関係性を調査すべきだ。サンプル調査ではなく全量調査。平均データではなく全データ。これがビッグデータ時代の分析だろう。

行動習慣のデータ化、ディープダイブ

歯磨き回数が虫歯のあるものの割合を減らしている話があった。歯磨き自体の上手下手をデータ化することもできるだろう。実際、電動歯ブラシでは磨き方のくせなどを評価してくれる製品もある。

プラチナ・ブラック 7000 |電動歯ブラシ【ブラウンオーラルB】
'Smart' toothbrush grades your brushing habits - CNN.com

磨き方だけでなく、歯磨きの時間から生活習慣などもデータ化されたり、唾液成分から食べた内容を把握したり、様々な情報を取得できるのは、もう夢物語でもなんでもない。現実の話だ。これらのデータから個々人を理解したスモールデータ(ディープデータ)を作り出し、虫歯を減らす策を考えることで、これまでとは全く違う情報が見えてくるかもしれない。このスモールデータを作ることの価値が高まるに違いない。逆に「ビッグデータを扱える」というだけでは価値が下がるだろう。


ビッグデータ、スモールデータ、スマートデータ。様々な用語が流行りの言葉として良く聞くようになった(自分が踊らされている一人でもあることは否定しない)。データを生み出すことの価値、組み合わせることの価値、スモールデータにする(ディープダイブする)価値。様々な価値に注目が集まる中で、基本的な統計や分析の知識・理解は重要だろう。虫歯を例に、実際に分析事例を織り交ぜながら、ビッグデータ時代の基本的なところを見つめなおしてみた。

最後だが、歯磨きは大事、ということだ。


歯と口は 健康・元気の 源だ
平成26年度 歯と口の健康週間実施要領(http://www.jda.or.jp/poster/pdf/eiseishukan_h26.pdfより 



こどもの虫歯から、相関と因果を考える(全10回)