2014/07/22

患者満足度より患者納得度

先日、家の掃除をしながら、本棚の整理をしていた。数年前の雑誌や資料を見返していたら、『「患者満足度」よりも「患者納得度」が大事だ』なんて話が書いてあった。当時はピンと来なかったのだろう。読み込んだ記憶はあまり残っていない。

食事が不味い・味が薄いという患者を満足させるには、味を濃くするか、薄い味付けを意識させないような食事にするか。前者の味を濃くしてしまえば、満足はするだろうが、患者のためにはならない。後者の薄い味付けを意識させない食事にすれば、そのときは良いかもしれないが、自宅に帰ったあと、いつもの食事になれば、いつもの濃さで食べてしまうかもしれない。

大事なのは、患者の病状・健康状態を考慮し、薄味で食べることを納得してもらうことだ。納得してもらうことに、医療チームが全力を尽くす。納得できない患者と満足できない患者。これはそもそも意味が違う。

病気で入院している時点で、そもそも健康状態に満足はできないだろうし、きれいさっぱり治るような病気でない限り、治療に100%の満足を得ることは難しい。
一方で、「納得」は違う。納得できない状態で医療を行うのは、医療者と患者・患者家族にとって良くないことである。

薄い味付けの食事を守らないと大変な状態にあることを納得させる。いかに納得させるか。それが医療者の腕の見せどころ、なのかもしれない。もちろん、そんな腕を客観的に評価できる方法はない(知らないだけであるのかもしれないが、少なくとも一般的な評価方法になっていない)。

Informed Consentという言葉。Consentは「合意」という訳が一般的だが、「納得」に近いと思う。なので、医療者から、薄味の食事を勧められて、納得できないから濃い味で食べる、というのもアリだと思う(個々人の意思は尊重されるべき。健康を害する人が国民皆保険の存続を危ぶんでいる点は十分考えなければならないが)。

「満足」よりも「納得」

ちょっと意識してみてはいかがだろうか。