がん診療連携拠点病院等の指定に関する検討会審議会議事録 |厚生労働省 |
拠点病院に指定されるか否かは、その地域におけるがん診療の拠点としての役割や、貢献度合いで評価すべきだろう。
上記の議事録が公開されたので読んでみると、非常に興味深い。
岩手県立釜石病院は、人口4万8千人の二次医療圏のがん診療における中核とのこと。人口が4万8千人であっても、空白医療圏とならないように、拠点病院を整備する。この大義は分からなくもないが、その後の議論で登場する栃木県の足利赤十字病院の話を読むと分からなくなってくる。
人口30万人の栃木県両毛医療圏。足利市と佐野市の間では、相互の患者移動がなく、佐野厚生と足利赤十字がそれぞれ中核として医療を提供していることが読み取れる。
以下、議事録から引用
先ほどの両毛圏域でございますが、この圏域からは患者の外への流出がほとんどございません。そして、大部分の診療は現在指定されています佐野厚生病院と新規で出させていただきました足利日赤が賄っております。そして、両市の市民ですが、ほとんど市の境界を越えずに自分の町の病院に通っております。これは歴史的な経緯がありますが、佐野厚生でも35.8%、足利日赤が49.8%と、両毛圏域においてはもはや拠点病院たる施設がどちらか選べる状況にはございません。また、拠点病院が1つでございますと、その病院が格上と誤解されてもおかしくなく、県民にとりましても、また連携をする医療機関にとりましてもメリットにはなっていないのではないかと考えております。
議事録引用以上
二次医療圏内に2つ以上の拠点病院を設置するのはおかしい、という原則を守り、足利赤十字は指定されなかった。
さらには、このあとの議論で東京の話が続くのだが、「東京は特別だよね~」という話で二次医療圏に複数の指定を認めていくのだ。
もう何が何だか分からない。足利赤十字を指定したいのであれば、テクニック的な観点で、両毛東医療圏、両毛西医療圏と二次医療圏を分けるべきだろう。
拠点病院になることで、がん診療の質が向上するのであれば、患者としては歓迎したい。ただ、その議論の中身は、あまりに患者の期待とかけ離れていないだろうか。