先日公開された議事録。
がん対策推進協議会審議会議事録 |厚生労働省 |
今後のがん対策の方向性について議論している回なので、非常に重みのある内容が盛りだくさんだ。その中でも、気になった点を紹介したい。
例えば静岡県の場合、伊豆半島から浜名湖まで非常に距離が長い土地で、特に伊豆地方というのは医療過疎のエリアですね。実際にいるのですが、伊豆の下田とか松崎の子供が小児がんにかかると静岡のこども病院にかかるのですが、親は片道、車と新幹線で3時間の道のり、往復6時間かけてこども病院に通っているわけですね。これは日常生活で限界です。もしその子供がより高度医療が必要だといった場合、中部ブロックの場合は名古屋に行くということになります。これは家族が分断されることになりますし、現実的に難しいし、せっかくそういったいい病院があっても現実的にはかかれないという状況になります。
子供が病気になったら、まずは家族で支え合う問題です。ただ、小児がんの場合は、当たり前ですけれども、親は若いですし、仕事を長期休めないとか、収入はどうなるのかとか、交通費とか外食など経済的な負担も大きいものがあります。きょうだいの面倒は誰が見るのか、学校どうするのか、教育どうするのか、小児ならではの問題は多くあります。
そうしたことを考えるとき、拠点病院と各地区の基幹病院とネットワークを組んでいただいて、各県単位ぐらいで同様の治療が受けられるような仕組みを構築していただけないかと思います。がん診療の集約化において、すでに小児がんは片道3時間、往復6時間といった話が出てくる。しかも、人口的に少ない東北や日本海側の地域ではなく、太平洋側、静岡での話だ。
医療者と患者・家族がより近い距離感で、自宅に近い地域の中で治療とか社会的、心理的な支援を受けられる環境をつくっていけるといいなあと思います。
それから、基幹病院の均てん化以前に、開業医の皆さんに小児がんを疑う意識づけをお願いしたいと思います。小児がんというのは、先ほども言いましたように、症例も少ないことから、どうしても正確な診断がおくれるということもあります。
医療の集約化は、限られた医療資源の活用や診療の質の向上において重要な施策だ。しかし、こういった問題は常に発生することを意識しなければならない。確かに理想は議事録にあるとおり、ネットワークを構築して・・・ということだろう。ここで目指すべき医療提供体制は、治療のフェーズも細かく考えていくべきだろう。手術など医療資源を集中的に投じる必要のあるタイミングでは拠点病院で(多少の移動や、一定期間の家族の分断は仕方ない)、一方、その後の継続的なフォローは、地域の基幹病院で受けられるようにする、といったネットワークだろう。
現在、小児がんや希少がんの議論が先行しているが、これは患者数が限られていて、かつ医療資源が限られているからだ。今後、地域の人口動態が変化する中で、それ以外のがんや疾患についても同じ議論が必要になるに違いない。つまり、現在なされている議論は他人事ではないということだ。
なお、小児がんの診療でも有名な国立成育医療センターに併設されているマクドナルドハウス、今週末、オープンハウスを開催するようだ。近くの方は足を運んでみてはいかがだろうか。
ドナルド・マクドナルド・ハウス BLOG: オープンハウスのお知らせ!(せたがやハウス) |
※初回公開時、タイトルがありませんでしたので、追加しました(2014/10/16 13:00)