2014/10/11

治癒率の減少はDPCの弊害か!?(中編)

前編では、治癒率の低下が指摘されたことは、ごもっとも、という話と仮説まで説明した。今回は、その仮説の検証をしてみたい。

まず、治癒率の高い疾患を並べてみた。

治癒率の高い疾患TOP10 ※症例数が合計10,000件以上を対象
(クリックすると拡大されます)
出所: 厚生労働省 2013年度DPCデータ(2014/9公開)を基に計算・作成

ほら見たことか。妊娠・分娩か、小児疾患ばかりではないか。転帰上、治癒する疾患と治癒しない疾患があるのだ。

そこで、分かりやすいように全診断群分類番号(DPCコード)をがん・小児(妊娠・分娩を含む)・それ以外の3つに分類し、治癒率を比較してみた。

疾患で分類した治癒率の比較 ※小児には妊娠・分娩を含む
出所: 厚生労働省 2013年度DPCデータ(2014/9公開)を基に計算・作成

治癒率は、小児で14%前後、一方、がんは0.9%と低くなっている。病院に入院して退院したら、もう外来(自院にも他院にも)に来る必要もないまで完治するがんなんて、そうそうあるものではない。

ここまでは想定どおりだが、ここでひとつ疑問が生じる。症例の比率が変わったにせよ、がん・小児以外の治癒率がわずかだが下がっている。また、小児の治癒率も下がっている。(がんの治癒率は小数点第1位では同じ)

さて、ここからが検証の本番である。この先は、疾患別に詳細を見ていく必要がある。つまり、在院日数を短くしたことの影響があるかどうか判断できるのはその先の話だろう。

後編(10/12公開予定)につづく

治癒率の減少はDPCの弊害か!?(前編)

治癒率の減少はDPCの弊害か!?(後編)